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NO MERCY

落ちて落ちてどん底まで落ちたい時がある。
一度足を踏み外して体制が崩れてしまえば、いっそもっとぼろぼろに傷ついてしまいたくなる。
痛みをまとめて一度で引き受けたいわけじゃない。何もかも手放す感じというか、どうせどうにもならないという諦めと開放感が生む感覚。どうせ痛いのならもっと強く傷つけてくれ、と笑いながら言ってしまいそうになる。

更に深く傷つくであろう未来の自分に少しだけ申し訳なく思いながら、さらに落ちてしまいたくなる。
そんな、落ちていくよろこびのようなものを人は生まれてから備えていると思う。

落ちていく中で抗うことなんてできないのなら、いっそ悲しみの海に沈みきってしまいたい。底に身体を打ち受けて、これからの恐怖や苦しみを痛みでごまかして、ほんのひとときだけ目を閉じる
この感覚を何と呼ぼう

#エッセイ

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