見出し画像

いのちに欠かせない水の話

水というのはあまりにも身近で、見落とされる話だ。
水道というのは、各自治体で管理されているもの。
その話について、この夏、考えざるを得なくなった。

私が住む泉大津市では、信太山浄水場の廃止が、この夏、賛成8人反対7人で決まった。

水道が危ない (朝日新書) 菅沼 栄一郎 https://www.amazon.co.jp/dp/B07YV2RZM3/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_QAERFbMQ35ZQ2 @amazonJPより

この本では、高石市の話として紹介されている。

信太山浄水場は、生物ろ過を使った安価で安全な水の提供を可能にしている浄水場だが、施設の建て替えが必要なことを理由に、水道の縮小、ダウンサイジングのために廃止されることになった。

本当に残念な話である。

そもそもCOVID-19が蔓延する中で議論することか、という点もある。
そして、たとえ、一時的にお金がかかったとしても、将来的に安価な水が提供できるなら、続けたほうがよかっただろう。

さて、そういう水道の話がきっかけで読んだ本だったのだが、他の話もとても面白い!
バブルのころに水道を作りまくったが、民間では節水技術が進んでしまい、見込んでいた水需要が減る一方。そんな中で、どうやって、水道を縮小していくのかという、公務員たちの議論が、とても身に迫る。人員不足の話も、身を摘まされてる。
公務員など減らせばいい!と言ってきたしわ寄せが、ここで具体的に展開されており、いかに公務員縮小という話がバカげているか、自分たちの身を削っているかというのを読めば実感できるだろう。ネオリベに疑問を持つ人はぜひ一度読んでみてはいかがだろう。そして、公務員の真面目さに目を見張る!

また、今年の1月に和歌山で大規模な断水危機があった。

【検証】和歌山市が断水回避。よかった?悪かった?断水は全国で起きる?(橋本淳司) - Y!ニュース https://news.yahoo.co.jp/byline/hashimotojunji/20200122-00159814/

この話とは別で、数年前に起きた断水にまつわる事件のことを詳細に描かれているのだが、これが本当に面白い!
まるで、サスペンスドラマを見ているような、白熱した危機感と判断の連続で、手に汗を握った。
また、細かなケータリングの補充や人間が生きているということも当たり前だが、ノンフィクションなのでつづられていることで、本当にあったことなのだという実感が迫る。この記録が保存され、公開されているということこそが、公文書の役割なのかもしれないと思えた。

私はこの本を、自分の自治体で起こっていることがきっかけで読むことになったが、持続可能な社会について考えるなら、読んで損はないだろう。

水道水の浄水技術についての詳細、別の自治体の話だが紹介されていて、これもまた考えさせられるものである。

近すぎるのに忘れられる、大事な水の話。
ちょっとだけ考えてみる一助に読んでみてください。

#読書の秋2020

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?