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2023年の「いい日本映画」TOP10発表!

U-NEXT映画部の林です。いよいよ今年の映画賞レースも大詰め。ということで昨年に引き続き、各映画賞の結果を強引に得点化して、2023年の日本映画を評価軸でまとめてみます。

映画業界内で「権威がある」とされていたり、長い歴史があったり、受賞者が喜んで授賞式に訪れたり、という点を考慮して、8つの映画賞をピックアップ。

●キネマ旬報ベスト・テン(1924年)
● 毎日映画コンクール‎(1946年)
● ブルーリボン賞(1950年)
● 報知映画賞(1976年)
● おおさかシネマフェスティバル(1976年)
● ヨコハマ映画祭(1980年)
● 高崎映画祭(1987年)
● 日刊スポーツ映画大賞(1988年)

( )は開始年

部門の作りが特殊ではなく、既に今年も発表されているアワードに限定しているので、「あの賞がない!」ということがあったとしてもご了承ください。そして、各作品が賞を1つ受賞するごとにゲットできるポイントを、部門別に定めました。これも力強く独断。

作品賞:5pt. …当然の最重要部門です
監督賞:4pt. …映画はやっぱり監督のもの
脚本賞:3pt. …「いい映画」には「いいホン」がマスト
主演賞:2pt. …もちろん大事
助演賞・新人賞:1pt. …複数作品受賞も多いのでこのくらいに

昨年日本国内で公開された日本映画は676本。と考えると、実は1点獲るのも至難の業なのです。ではまいりましょう。「第3回 映画賞まぜまぜ映画賞」、栄えあるTOP10の発表です!

第10位 雑魚どもよ、大志を抱け! (4点)

少年時代の葛藤、勇気、そして旅立ちを描いた感動の青春物語

監督賞(足立紳)①:高崎

第10位 劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』 (4点)

救命医療チーム・TOKYO MERの活躍を描く人気ドラマの劇場版

主演男優賞(鈴木亮平)②:ヨコハマ・日刊

第10位 ほかげ (4点)

塚本晋也監督が終戦直後の闇市に生きる人々の姿を描く祈りの物語

主演女優賞(趣里)①:キネ旬
助演男優賞(森山未來)①:高崎
新人賞(塚尾桜雅)①:キネ旬

第8位 正欲 (6点)

家庭環境、性的指向、容姿…。異なる背景を持つ5人の関係が交差していく

脚本賞(港岳彦)①:おおさか
助演男優賞(磯村勇斗)③:キネ旬・ヨコハマ・日刊

第8位 茶飲友達 (6点)

実在の事件をもとに、高齢者売春クラブを舞台に描く社会派群像劇

監督賞(外山文治)①:高崎
主演女優賞(岡本玲)①:高崎

第7位 ケイコ 目を澄ませて (7点)

聴覚障害のある元プロボクサー・小笠原恵子の実話をもとに描いた人間ドラマ

作品賞①:ヨコハマ
主演女優賞(岸井ゆきの)①:ヨコハマ

※本作は前年度の1位。公開が2022年12月だったため、映画賞によって受賞年度が分かれました

第6位 エゴイスト (10点)

与えることで満たされていく“愛の献身”を描いたヒューマンドラマ

主演男優賞(鈴木亮平)④:毎日・報知・おおさか・ヨコハマ・日刊
助演男優賞(宮沢氷魚)①:毎日
新人賞(宮沢氷魚)①:日刊

第4位 ゴジラ-1.0 (12点)

北米でも大ヒット中!ゴジラ生誕70周年記念作品

作品賞①:ブルー
監督賞(山崎貴)①:報知
主演男優賞(神木隆之介)①:ブルー
助演女優賞(浜辺美波)①:ブルー

第4位 PERFECT DAYS (12点)

トイレの清掃員に扮した役所広司がカンヌで男優賞を受賞

作品賞①:おおさか
監督賞(ヴィム・ヴェンダース)①:キネ旬
主演男優賞(役所広司)①:キネ旬
新人賞(中野有紗)①:おおさか

第3位 愛にイナズマ (14点)

豪華キャストが大集結!愛と希望に満ちた石井裕也監督オリジナル作品

監督賞(石井裕也)②:ヨコハマ・日刊
主演女優賞(松岡茉優)②:おおさか・日刊
助演男優賞(佐藤浩市)②:ブルー・ヨコハマ

第2位 せかいのおきく (24点)

阪本順治監督が、江戸時代末期の若者たちの姿を黒木華主演で描く青春時代劇

作品賞③:キネ旬・毎日・高崎
脚本賞(阪本順治)②:キネ旬・毎日
主演女優賞(黒木華)①:ヨコハマ
助演男優賞(佐藤浩市)①:ヨコハマ

第1位 月 (38点)

実際に起きた障がい者殺傷事件を題材にした辺見庸の同名小説を映画化

作品賞②:報知・日刊
監督賞(石井裕也)⑤:毎日・ブルー・おおさか・ヨコハマ・日刊
助演男優賞(磯村勇斗)⑤:キネ旬・報知・おおさか・ヨコハマ・日刊
助演女優賞(二階堂ふみ)③:キネ旬・報知・日刊

いかがでしたでしょうか。戦後の闇市、特殊な性的指向、高齢者売春クラブ、トイレの清掃員、江戸時代の汚穢屋、障がい者施設……2023年はいつも以上に弱い立場の人々を描いたものが目立ち、心にズシンとくる作品が多かったように思います。それでいて、ただ下を向かせるだけでなく、希望や平穏、感動や清涼感をもたらす映画も多く、日本映画の力強さを改めて感じさせてもらいました。

個人的には、ONLY ON U-NEXTとして配信している(していた)ものが、4本ランクインした(『TOKYO MER~走る緊急救命室~』『正欲』『エゴイスト』『せかいのおきく』)のは嬉しい限りです。

中でも2位に入った『せかいのおきく』は、循環型社会の重要性を伝えるYOIHI PROJECTの第1回映画作品で、U-NEXTはプロジェクトパートナーとして、そして本作の配給委員会メンバーとして深く関わってきました。もっともっと多くの皆さんにご覧いただきたい作品です。

その他、配信開始済みのものは作品名に傍線を施して、そこから飛べるようになっていますので、珠玉の日本映画たちを、ぜひお楽しみください。


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