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サブスクサービスだからこそ、U-NEXT映画部が気をつけていることについて

猛烈サザンファンの長男(中3)とともに、茅ヶ崎ライブに行ってきました。しかもファイナルの10月1日!U-NEXT映画部・林です。

昼過ぎの茅ヶ崎駅に降り立ってから、桑田さんが生まれ育った街を散策しつつ、屋台が出てお祭りムードのサザンビーチへ。息子とふたり、江ノ島と烏帽子岩を眺めながら砂まじりの昼飯を食べて、完全無欠のサザン詣で。後年まで語り継がれるであろう伝説のライブの目撃者となるべく準備万端、いざ、夕刻の茅ヶ崎公園野球場へ!

左に江ノ島、右に烏帽子岩

ライブの中身はそれはもう……言葉が無力だということをこんなに感じたことはないですね。

本当に、至高の上すぎて、伝える言葉がない。
強いていうなら、もはや「感謝」という言葉でしょうか。

45年の間に積み上げられた数百の名曲の中から選ばれた、ありえないレベルでスーパー豪華な26曲が、完璧なパフォーマンスと演出で披露され続けました。「C調言葉に御用心」「YOU」「涙のキッス」「夏をあきらめて」「いとしのエリー」「東京VICTORY」「栞のテーマ」「太陽は罪な奴」「真夏の果実」「LOVE AFFAIR」「ミス・ブランニュー・デイ」「みんなのうた」「マンピーのG★スポット」「Ya Ya」「希望の轍」「勝手にシンドバッド」……どれだけ続くんだこの四番打者しかいない打線。

ずっとジーンマイク経由で聴いてるのかってくらいジーーーンと痺れてしまって、もはや現実とは思えない時間でした。

自分が2歳の時から、人生の中にはいつもサザンの歌があって、今は息子とともに聖地・茅ヶ崎でこの風景を目の当たりにしている。気持ちのよい秋の潮風に揺れる桑田さんの衣装が目に焼き付いていて、2週間経った今もまだ、痺れ続けているような気がします。


すべてに、感謝です。


ファンの皆さんのマナーも最上級だったなぁ…

……と書きながら、僕のサザンファン度は、3年前まではそこまで胸を張れるものではありませんでした。ベスト盤と何枚かのオリジナルアルバムを持っていた&90年代のシングル曲は大体歌える、くらいの40代日本人男性の平均値、サザン義務教育レベル。一方で長男はサザン大学院の博士課程を修了しそうな勢いのサザンエリートに仕上がっています。

長男が仕上がったキッカケはコロナ禍、U-NEXTでも配信したサザンライブでした。それを横目で観て「ん?」となった長男は、みるみるサザン研究を重ねていき、全オリジナルアルバム、全ベストアルバム、全シングルのカップリング曲までを繰り返しプレイ。そんな彼に「へぇ、そんな曲もあったの?」と教えられる形で僕も復習と新規学習を重ね、サザンの、そして桑田さんの凄まじさを再認識したのです。

この活動に不可欠だったものは、やはり音楽サブスクです。サザンと桑田さんの楽曲は全曲、コロナ禍直前の2019年12月20日に解禁されていたのでした。

長男の研究フィールドはやがてサブスクからはみ出し、WEBや桑田さんのラジオからの情報収集はもちろん、お小遣いでライブBlu-rayやサザン本、雑誌をコレクトするようになり、今も追加リサーチに余念がありません。そろそろ博士論文が上がってくるのではないでしょうか。Blu-rayって父もここしばらく買ってないのに、こういうことが起きるものなんですね。

「"サブスクリプション"まるで分かんねぇ!」なんて桑田さん自虐的に歌ってますけど、サブスクがなければ我が家のこの状況は絶対に作れませんでした。サブスクの功罪の「罪」はよく語られるところで、それをザックリまとめると結局「音楽を雑に聴く」ということになるのだと思いますが、やはり余りある「功」があると思うんですよね。

  • その気になれば、歴史的、文化的資料に容易にアクセスできる

  • その気になれば、同じ人やテーマで掘って掘って掘りまくることができる

  • その気になれば、時代もジャンルも超越した夢のプレイリストが作れる

要は「その気」にさえなれば、割となんでもできる音の宝物殿です。

小学生の次男も、サブスクの機能を活用して、人生ベストのプレイリストを日々更新して楽しんでいます(人生といってもまだ12年ですが)。その中にはYOASOBIやヒゲダンやKing GnuやVaundyと並んで、サザン、スピッツ、椎名林檎、くるり、フジファブリック、玉置浩二……とベテラン勢の20-40年前の楽曲が並んでいます。完全にフラットに、自分にとっての「いい曲」を見つけているのです。自分が小学生の時には、1940-60年代の曲を「今」のヒット曲と横並びで楽しむ、なんてことはできませんでした。この経験はたぶん彼らにとってものすごく大切な、文化的原体験になるのでしょう。

サザン本、読んでみようかしら

翻って映画の話。サブスクサービスだからこそ、U-NEXT映画部が気をつけていることについて。

サブスクから切り拓かれる無限の可能性は、映画だって同じはずです。サブスクがあるから、過去の映画たちに簡単にアクセスして、同じ監督の作品を一気見することができる。その経験から、同じ監督の最新作や、あるいは伝説の作品の4Kリバイバルを観に、映画館に足を運ぶ流れが生まれる。

アクセスのしやすさ、という我々が元来持つ最強の機能だけに甘えて、「作品を無機質な倉庫に雑に転がしているだけ」にしては絶対にならないと肝に銘じています。美術館のキュレーターやラジオのDJ、ビデオレンタル店の名物店長と同様に、特集を組んだり、今ご覧になった作品と似た映画を紹介したり、スタッフ・キャスト紹介を充実させたりして、お客さんが横へ横へと繋げられる、あるいは縦に深く深く掘っていける、そもそも「その気」になっていただける、そんな工夫をこれからも続けていきます。

ぜひ皆さん、サブスクをフル活用して、素敵なカルチャーライフを!

そして我が家は、茅ヶ崎ライブ2023のBlu-rayが出るのを、今か今かと楽しみに待っております!