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【どこよりも詳しい】スワローズ新外国人キオーニ・ケラ投手徹底分析

こんにちは、シュバルベです( ✌︎'ω')✌︎

セリーグ連覇を果たした東京ヤクルトスワローズ。すでに12月頭にライネル・エスピナル投手を、そして12月20日にディロン・ピーターズ投手を獲得。積極的な海外スカウトの動きを見せています。

息つく間もなく、スワローズの外国籍選手補強第3弾の一報が入ってきました。現ロサンゼルス・ドジャースのキオーニ・ケラ投手です。

背番号はなんと「11」。今年まで奥川恭伸投手が着用していましたが背番号変更で空いていた番号ですが、一般的にエースナンバーの一つです。ただスワローズ的にはここ10年間で着用した佐藤由規投手や奥川投手が怪我を患ってしまったこともあり、一度外国籍の選手で浄化?お清め?したいみたいな意志は少しあるのかもしれません(オカルト的ですが笑)。

22年オフにA.J.コール投手、A.スアレス投手、S.マクガフ投手の3投手がチームを去り、大きく入れ替わりが発生する投手陣。ケラ投手の獲得により、投手の人数的にはプラスマイナス0となりました。

チーム3連覇に向かって新戦力の台頭はマスト。本noteではキオーニ・ケラ投手がどんな投手か、そしてチームにどうフィットしていくかを考えていきましょう。


0.キオーニ・ケラ投手のプロフィール

アメリカのカルフォルニア州出身のキオーニ・ケラ投手は、身長185cm体重99kgのMLBでは平均的な体格の右投手です。祖父母はハワイで暮らしており、幼少期から多くの時間を過ごしていたとのこと。

1993年4月16日生まれの29歳。スワローズの同年齢には原樹理投手や、塩見選手らがいる世代となります。スワローズの既存・新規の外国籍選手は非常に年齢が近く、早くチームに馴染めるように意図的にこの30歳前後で揃えているのでしょう。

スワローズ所属の外国籍選手年齢
29歳:ケラ
30歳:サイスニード、ピーターズ、オスナ、サンタナ
31歳:エスピナル

※2023年4月1日時点の年齢

キオーニ・ケラ投手は2012年にテキサス・レンジャーズからドラフト12位で指名。2011年にもシアトル・マリナーズにドラフト29位で指名されていましたが、エバレット・コミュニティ・カレッジへの進学を選択し、ドラフト順位を上げて翌年指名された形です。

マイナーリーグでリリーバーとして順調に成績を残し2015年にMLBデビューを果たすと、いきなり68試合に登板。防御率2.39、22ホールドとセンセーショナルな結果を記録しました。

以降、パイレーツ、パドレス、ドジャースと3球団を渡り歩き、MLBではその登板すべてがリリーフ登板という完全なるリリーフ投手です。2018年にはレンジャーズの抑えを担い24セーブ。ニックネームはスペイン語で「」を意味する「Llave」だそうです。

近年は怪我に苦しんでおり、20年に右前腕部の張り、21年に右肩のインピジメントおよび再度右肘痛を患い、21年5月にトミー・ジョン手術を受けています。

幸い2022年7月に復帰登板を果たし、今年はマイナーリーグのみの投球でシーズンを終えて現在に至ります。ケラ投手はMLB243登板とバリバリの実績を誇る分、怪我がなければ日本ではお目にかかることのなかった投手の一人でしょう。

スワローズとは推定年俸100万ドル(約1億3180万円)プラス出来高払いとのこと。既に今年獲得したエスピナル投手、ピーターズ投手よりも好待遇での契約となります。

1.キオーニ・ケラ投手の投球成績

ここから具体的な成績・数字を見て行きましょう。

直近、2022年のマイナーリーグAAAでのキオーニ・ケラ投手の登板成績は次の通りです。

トミー・ジョン手術明けで16試合の登板に留まりました。成績はややネガティブなもので、与四球率が高く、多くのランナーを常時背負う形となっています。奪三振率も21.3K%で本来の力を発揮できていません。

過去4年間のMLBおよびAAAの成績はこちらです。

直近3年間は怪我の影響で稼働が少なく気がかりですが、投げられさえすれば非常に高い奪三振能力を誇っています通算29.9K%は素晴らしく、狙って三振を取れる点はクローザー~セットアッパーにとって何より必要な要素でしょう。

右肘の状態と術後の経過が非常に気になる点で、今年もソフトバンクのチャットウッド投手などは怪我で1試合も投げられず7月にチームを去りました。ケラ投手もそうならないよう、こればかりは祈るしかないですね笑。


2.キオーニ・ケラ投手の投球内容

続いてはキオーニ・ケラ投手の具体的な投球内容について見ていきましょう。

2022年はMLBでの投球が無いため、TJ手術前の2021年MLBで投じたボールは次のようになります。

これはケラ投手のどの年をとっても言えることですが、フォーシームとカーブのほぼツーピッチです。21年はフォーシームが53%、カーブが46%。チェンジアップは記録されてはいるものの、12登板でわずか1球です。

フォーシームは平均150km/hを超えていますが21年は被打率が悪く、空振り率も13%と低くなってしまいました。離脱前最後の試合では145km/hという異常値を計測している一方、開幕当初は149km/h~155km/hのレンジで安定しています。

カーブは平均131km/hと一般的な投手のスライダーに近い球速帯で、被打率.179、空振り率30%と非常に効果的なボールとなっています。

更に具体的な投球の質を見ていきましょう。2021年に投じたボールの変化量はこちら。

フォーシームは平均してシュート成分16cm、ホップ成分49cm。

回転軸から見事なバックスピンのかかるボールとなっており、平均回転数2,335も平均を上回る数値で、来日する投手としては異次元のホップ成分を構築しています。狙ったコース通りに投げ切った高めのフォーシームは威力十分で、日本人好みの「綺麗なストレート」が来年見られることでしょう。

カーブは平均してスライド成分1cm、ドロップ成分21cm。

回転軸からトップスピンのかかった大きく落ちるカーブとなっていますが、回転数は2,452回転と平均的。ただ平均球速が先に書いたように131km/hと速く「パワーカーブ」と呼んでいいでしょう。同様の球種で活躍した投手に元阪神のピアース・ジョンソンが挙げられます。

他のNPBに所属していたもしくは所属している投手との比較をしてみましょう。

ワゲスパック投手(オリックス)、カイル・ケラー投手(阪神)、ロベルト・スアレス投手(元阪神)、A.J.コール投手(元ヤクルト)、ピアース・ジョンソン投手(元阪神)の5投手を比較対象として入れてみました。
(いずれもフォーシームとカーブを持ち球としており、特にケラー投手とジョンソン投手はケラ投手同様にフォーシームとカーブのツーピッチです。)

ケラ投手のフォーシームはシュート成分が少なく、ホップ成分はこの中でも頭一つ抜きんでていることが分かります。21年の成績を残せていないシーズンでもフォーシームは高い質を誇っており、完治した時はNPBレベルなら十分席巻できるレベル感という期待を持てます。

続いて、カーブの比較です。

ケラ投手以外の投手のカーブはいずれもスライド成分が大きいものです。ケラ投手のパワーカーブは、スライド成分は少ないですが落差はロベルト・スアレス投手クラスのもので、MLBの中でも異質なボールといって良いでしょう。横変化量は少なく、今のMLBのトレンドとは異なりますが、高低の落差の大きな攻め方は日本ではまだ多くの三振が期待できるのではないでしょうか。

打者の左右でもツーピッチを貫き、割合も戦術のほぼ5分5分です。

右打者に対しては伸びのあるフォーシームをストライクゾーンにどんどん投げ込み、アウトローのカーブでカウントを整え、三振を狙って低めのボールゾーンにパワーカーブを落とす攻め方がテンプレの一つです。

左打者に対してもパワーカーブの曲がり幅が狭い分アウトコースへの狙いをつけやすく、左右どちらの打者に対してもカーブは追い込んでからの決め球の役割を果たしています。

ランナーを背負った状態での被打率は、怪我に苦しんでいる2019年~21年の3年間いずれも2割を切っており、メンタル面で非常に安定していることを伺わせます。

流石MLBで通算243試合をリリーフで投げているだけあって、終盤を担う投手として必要な能力はあらかた備えており、やはり怪我の状況次第という感じです。


3.キオーニ・ケラ投手に求められる役割

最後に、キオーニ・ケラ投手がスワローズで果たす役割についてです。

ずばり、2年間守護神を担ったマクガフ投手の穴埋め役でしょう。

サンスポの獲得報道時には次のように編成担当者のコメントが掲載されています。

奥村政之編成部国際グループ担当部長は「彼に抑えをやってもらうつもりで取りました。いきなり抑えのエースとしてやってもらわないと困る」と大きな期待を口にした。

2022年12月21日付サンスポより)

本当にこれに尽きると思います。編成部アドバイザーのトニー・バーネット氏の推薦もあったようで、2015年の優勝に貢献した同選手のコメントも日刊スポーツでは掲載されていました。

マクガフ投手は19年の来日以降4年続けて50試合以上の登板を果たし、最初の2年は8回のセットアッパーを、21-22年の連覇シーズンではクローザーを担い、通算80セーブを挙げています。

マクガフ投手をMLBに快く送り出した一方で、日本シリーズ終了直後には残留濃厚と報じられていたように流出は編成的には想定外の事態であったと考えられます。

2022シーズン終了時点でのスワローズの中継ぎ投手のイニング数と防御率はこちら。

※赤線はリーグの中継ぎ投手の平均防御率

先発投手が残念ながらリーグで最少のイニングしか消化できていなかったため、首脳陣が上手く運用し離脱を最小限にできたもののリリーフ投手には負荷が掛かりました。

抑えの候補は清水投手、石山投手ら既存投手がいるものの、両者ともこの3年で登板数が嵩んでおり、競争面で考えてもキオーニ・ケラ投手がヘルシーな状態で守護神争いに絡んでくることはチームとして助かります。

ただ、開幕戦からケラ投手が抑えを担うべきかという問いには、現時点で私はNOの立場です。

2章の投球内容編で見たように、ケラ投手はフォーシームとカーブのツーピッチ。日本の慣れないマウンドとボール、環境の中で、怪我明けのケラ投手をいきなりクローザー起用するのは博打性が高いと言わざるを得ません。

似たようなピッチング構成のカイル・ケラー投手を22年開幕カードでスワローズが攻略し、一気に波に乗ったのは余りにも記憶に新しい出来事です。

同じ阪神でも、やはりフォーシームとカーブのツーピッチで活躍したピアース・ジョンソン投手に近い役回りで、ケラ投手には7~8回での起用からスタートして欲しいと考えています。

1年目から怪我を最小限に40登板。防御率2点台前半。これを一つの目安として期待したいですね。

ケラ投手/ケラー投手/ジョンソン投手の3人の投球マップを最後に並べておきます。2章に入れたかったのですが、イマイチ入れる余地がなく、せっかく作ったので笑

阪神のケラー投手は3月の開幕カード2試合でスワローズが自責5を付けましたが、その後二軍再調整時にスプリットを習得。再昇格後は32試合30イニングを防御率2.03まで整え、阪神の外国籍選手の中で唯一再契約を結びました。

スワローズに来るキオーニ・ケラ投手はまず怪我を完治した状態で浦添キャンプに乗り込んでほしいと思いますし、ドミニカでのウィンターリーグにも出場予定だった点である程度そこは保証できそうです。あとは日本の環境にどこまで慣れられるかでしょうね。

マクガフ投手が外国籍選手のリーダーとしてNPBのことや立ち居振る舞いを導いてくれていた役割を、サイスニード投手やオスナ選手が担って近い年齢の選手たちで高めあってくれることに期待したいと思います。

キオーニ・ケラ投手のコメントで締めたいと思います。

来季、スワローズの一員としてプレーする事をとても嬉しく思います。私と家族は、この機会を与えてくれた球団に深く感謝しており、コーチやチームメイトから日本の野球を学び、チームの優勝に貢献する為に全力を尽くします。スワローズを応援してくれるファンの皆さんと一緒に素晴らしい事を成し遂げ、スワローズにさらなる成功をもたらすことができると確信しています。この素晴らしい機会に改めて感謝します。
来シーズンが待ちきれない気持ちです。

東京ヤクルトスワローズ公式HPより

来日まで私たちも待ちきれない気持ちですね!素晴らしい事を成し遂げましょう。

活躍を期待しましょう!!Go, Keone!!


■出典


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