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ダージリンへ行くために

空港を出ると、タクシーとリクシャーの勧誘をすべて無視し空港の外へ向かって歩きだした。空港から市内までは10キロ以上ある。歩いていくことは考えていないが、空港内では思いきりボラれるだろう。とりあえず外で車を捕まえたい。
外に出たものの、どこまで続いているのか一本道があるだけだった。同じようにこの道を歩く地元の人たちがいる。彼らもこの通りでリクシャーを捕まえたいようだ。シェアできるならそのほうが安く済むので様子を見ながら歩みを進める。交渉するのは現地の人同士。わたしは言葉が分からないのでただ眺めているだけだ。ところがこれがなかなか決まらない。そんなこんなしている間にそのうちのひとりと話すようになり、彼の提案でわたしたちはバスを捕まえることにした。バスならずっと安いはずだ。
しばらく歩くと大通りに出た。彼はわたしに「ダージリンに行くならダージリンモールから車が出ているからそこに行くといい」と親切に教えてくれた。彼とは行き先が違うようだが、同じ小型のバスにわたしたちは乗りこんだ。

ちょっと変わった小型バスで、私たちは足元の荷物を抱えながら、窓のない後部座席に後ろ向きで座っていた。
心地いい風を感じながら熱帯気候の国にありそうな鬱蒼とした緑を見ていると、フィリピンを思い出した。なんだか懐かしい感じだ……。風が忘れてしまっていた大切な何かを、一緒に運んできたようだった。

わたしはこれでその「ダージリンモール」ってところまで行けるのかと思っていたが、全然途中で降ろされた。これがものすごい安くて、わたしは細かい現金はまだ持っていなかった。するとこの国ではお釣りがなくて払えないということがしばしばある。困っていると一緒に乗ってくれた彼がわたしの分まで払ってくれた。申し訳ないのでわたしはすぐに崩して返そうとしたのだが、生憎彼も急いでいるようで、わたしは奢られるだけで、彼と別れることになった。
そこからまたすぐに別のバスに乗って(これも彼が最後に教えてくれたのだが)ダージリンモールまでかなり時間がかかったが無事到着した。料金は30ルピー、ここまではえらい安く来れた。

地図で見るとダージリンモアと書いているように見えるがダージリンモールと呼ぶのだろう。ここからシェアジープでダージリンへ向かう。朝食を取って近くのジープがたくさん停まっているところまで歩いた。
料金を訊くと300ルピー。確実のボラれている気がしたが、多少人より多く払っても助手席を確保したいわたしは、まぁそれでも構わなかった。閉所恐怖症なので、3列シートの一番後ろや、人と人との間には座れない。これちなみに、バックパッカーにとってかなり致命的である。
運転席の横の横。トラックのように、トラックほどのスペースなんてないのに最前列は3人席になる。わたしは窓側を取ったのだが、ここを取る際にもうひとり、ここに座りたいという男性がいた。しかし、わたしも譲れなかった。これが後になって、譲ってあげればよかったと思う事件が発生する。

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