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ウユニに来て50日

初心忘るべからずで書いたように、今年を最後の年にするつもりだった。
だったが……いや、それは変わらない。
今までと同じようにこの季節にやってきて安宿に泊まり、ホダカを拠点にして営業するような生活は本当にもういいかなと思う。
7年……最初こそサンドウィッチを売っていたが、今では好きな写真を撮ってお金をもらえるようになった。
これまで積み重ねてきたノウハウや人脈をここで手放すのはもったいないことのようにも思うが、今のやりかたではこの先も生活が安定することはないだろう。
もし、来年もこのウユニの地を訪れるのだとしたら、多分もうわたしは自分で旅行代理店を起こしたほうがいいのだと思う。

仮にそうだと考えると、何が必要でどのように営業したいのか?
まず引っかかるのは1年中この地にいるつもりがないということだ。
1月から3月の雨季と呼ばれるウユニ塩湖が鏡張りになる季節、日本人相手に商売するのなら、この3ヶ月は開けているいつ必要があるだろう。それと前後2ヶ月。雨季と言っても年によっては雨が降ったり降らなかったりする。マックス12月から4月、そこまで開けておけばいいだろうと考える。
ところがそれでは、残りの季節、店舗を借りるのだとすればどうすればいいのだろうか?
5月から11月は店を開けないのだから、その間は無駄に家賃を払うことになるだろうか、それともそもそも店舗など借りないほうがいいのだろうか。
旅行代店を興すなら最低1台のランクルは必要だ。そいつを維持するためにも土地は必要だし、やはり車をほったらかしておくのもよくない……。
はい、そう考えると移住したくないわたしには非現実的な案に思える。
ウユニの観光業はまだまだ需要があるだろうし、提供できる新たなサービスのアイディアも持っている。しかし、現実的にこの方法では自分が定住するか、誰かに任せるほか維持できないだろう。

こうやって書きだしてみると、誰かに任せればいいのだということに気がつく。
自分自身も写真を撮りたいが、何も自分自身でやらなければならないわけでもない。わたしより上手に写真を撮る人なら五万といるだろう。
わたしは知識とお金を提供すればいい。
こっちで会社を興すのに何が必要なのかは調べてみないと分からない。
そもそも外国人にそれが可能なのかも分からない。
ふと、頭を回してみると、地元の人と組むことも可能だと思える。

この企画、お金があればやるだろうか?
何のために?
日本語でガイドができて、日本人のウェディングフォトなどを撮る。
今まで仲よくやってきたホダカと仲が悪くなるだろうことは想像に難くない。
それでもこれをやることに理由をつけるなら、もっとクオリティの高いプランを提供できるから、とか。地元の人に仕事を与えられるから、とか。日本人にもっとウユニ塩湖を知ってもらいたいから、とかになるだろうか。
あー、そんなことを考えていると、何もそこまでしてやることでもないかと思えてくる。

絵を描く人とか、何かを創る人、クリエイターを尊敬する。
そういう人に会うと自分などまだまだだなと思えるし、向上心も増す。
だからビジネスをすることより、自分には自分の何かを延ばすことのほうにより強く興味が湧く。
何かで読んだが、ビジネスとアートは近いものらしい。
わたしはそのふたつは相反するものだと思っていたのだが、それを読んだときに妙に納得した。
だから1番はそれなんだと思う。
自分が面白いと思えることを自分だけでするのではなく、もっと大きな形にして世に出すこと。
それができれば1番いいなと思う。
そのアイディアを持っていることと、その動機が「面白いと思ったから」ということであれば、今すぐそれを始めるべきだ。

そう、ごちゃごちゃ言っていないで始めればいいのだ。
いつも思うが、どこで結びつくのだろう?
面白いと思うことならすぐにでの始められるのに、儲かるだろうかと考えだすと始めることができない。
アイディアと実際にやるかどうかは、本当にどこで結びつくのだろう。
「人の役に立つこと」などの大義名分では始められない。
儲かるかどうかを考えても始められない。
わたしがいつも自身で始めるものの動機には必ず「面白いと思ったから」がある。
それがすべてで、それが唯一の原動力。

読んでいただけて嬉しいです。ありがとうございます。 面白いものが書けるように頑張ります。 読んでくれる人がいることが励みです。活力です。 これからもよろしくお願いします。 もし、サポートしていただけるようでしたら 今後の旅の資金に充てさせていただきます。