デザインには美しさ以上に、その背後に潜む物語や哲学が真の魅力を生み出す鍵となる。私が注力しているのは、商品やプロダクトに纏わるコンセプトストーリーだ。なぜこの商品が誕生し、どのような源流から発展してきたのか、その思想や哲学が商品にどのように表れているのか、これがデザインの本質への鍵である。

コンセプトストーリーは、デザインスケッチを通じて形になるものだ。私はデザインスケッチを通して、商品が環境や社会とどのように結びついているかを視覚的に具現化する。その背景には、SDG（持続可能な開発目標）への貢献や、無駄のない素材の使用、ロングライフデザインの追求など、社会的・環境的な側面が含まれている。美しさだけでなく、デザインが持続可能性や生産性の向上に焦点を当てることで、商品は形だけでなく、社会に深い意味を持つ存在となる。

たとえば、環境への影響を最小限に抑えるデザインは、単なるトレンドや流行の追求ではなく、未来の世代に向けた責任感から生まれる。デザインにはルーツがあり、そのルーツがコンセプトストーリーとして表れることで、商品には深みと感情移入が生まれる。

美観だけでなく、物語を大切にすることは、社会的な視点からも非常に重要だ。持続可能なデザインは、瞬時のトレンドを超越し、未来においても意義を持ち続ける。デザインの奥深さを理解し、コンセプトストーリーを通じて商品が社会にどのような影響を与えるのかを明らかにすることで、私たちは未来への扉を開く役割を果たしている。