見出し画像

あしたのための本(シリーズ4冊)

あしたのための本
プランテルグループ・あかね書房
---

こちら、4冊セットのシリーズものです。絵本です。
https://www.akaneshobo.co.jp/search/series.php?isbn=S9784251014313

・社会格差はどこから?
・独裁政治とは?
・民主主義は誰のもの?
・女の男のちがいって?

社会の仕組みを4つのテーマからわかりやすく著した作品です。
このシリーズの原作は2019年時点で「40年ほど前にスペインで出版されたもの」で、絵本という形で翻訳・リメイクし、若い読者が考えるきっかけになれば、と企画されたもののようです。

絵本なので全て簡潔で読みやすいのですが、テーマが深く歴史が長いものばかりということもあるので、物語のようにめでたしめでたし…といった締めでもありません。絵本という形式をとっていますが、内容は大人のほうがより考えさせられるものではないでしょうか。
上記にもある通り「考えるきっかけ」を目的にしている本なので、繰り返し読んだり自分で調べたりして知識を深めていくのが良いのではないかと思います。訳はうまいことされていますが、テーマを強調するためなのか、少しこう…意地悪な書き方をされているところもあるので、読み手に偏った刷り込みみたいなものが出ないといいな、て点もちょっとあります。ただ、そこも読み手の自由かな。

個人的に一番面白かった…面白いて表現が適切かはわかりませんが、興味深く読めたのは「独裁政治とは?」で、表紙裏におどろきの
「独裁者一覧(24名)」
が載ってます。そして大変恥ずかしながらわたし、この24名のうち名前を知ってて国名も把握していた人物がわずか8名。名前だけはなんとか知ってた、て人物がプラス4名ほどで、つまりこの一覧だけでも全体の半分ぐらいしか知らなかったんですね。時代や政権の詳細も言えるとなるとほんとうに驚くほどちょっぴりで、さすがにもうちょっと歴史を知っておかないとな…と思った次第です。めちゃ目立つとか比較的最近の人物だけで、相当な人が相当なことをやってきた歴史があるんだろうし…
書いてある内容も「独裁政治」なので、タッチは軽めに書かれておきつつも内容まあまあエグいんですけれど、絵がめちゃかわいい…おのれ…独裁者一覧も…絵がめちゃかわいい……絵本はこういうところが…
当然ながら絵を描かれた方のお名前やプロフィールも巻末に載っているんですが、このかわいい絵の方、
「シリーズの4人のイラストレーターのなかで、ただひとり独裁の時代を生きた経験がある」
と書かれてて、おぅ…外国の方は…うかつに話をすると大変な時代と世界を生きていたりする…と、こちらの知識と経験の浅さに恥じ入るばかりです。
いや、平和は恥じるものではないんでしょうけれど、「知らない」ということは多くの場合で他人に寄り添うことがうまくできなくなることもあるんだなと思った次第です。ちなみにイラストレーターさんは4作品とも全員違う方で、皆さんスペイン生まれの様子です。原作スペインだもんね。

日本にもいろんな問題があるし、現役で改善中のよろしくない部分もあるわけですが、歴史や他国を学ぶほどに
「現代日本、ものすごくいい場所と時代だな…」
と思わずにはいられません。いや比較対象をどこに置くかもありますけれど、道を歩いていて突然の暴力!とか、魔女狩りみたいなことは一応ありませんし…暴力はまれに会われる方もいるけれど、暴動だとかデモを叩き潰すみたいな大規模なものは無いですし…略奪とかね…そういうのが日常にあるって本当にキツいことだと思うんですよね…

いずれのテーマも大変興味深く読めました。なるほど、考えるための本ですね。ついでに「調べ物・勉強のきっかけ」にもなって、個人的にもありがたい機会でした。
「社会格差はどこから?」の金持ちについての記述がね、ちょっとね、金持ちに悪意がある感じで面白かったけどね!(個人の感想です)

ということで、こちらのシリーズ、図書館とかなら結構置いてるかもですね。興味が出た方はぜひぜひ。わたしはスペインの歴史と独裁者一覧の知らなかった人らのWikipedia読むところから初めてみます。

この記事が参加している募集

読書感想文

いただけたサポートは9割5分以上の確率で本に化けます。使い切ってみせる…!!