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建設現場の事故、リスク軽減に色彩の活用を!(3)色で視認性向上対策

危険を察知するのに重要な誘目性と視認性

昨日は色彩による業務効率化とリスク軽減について、看護師の事例をご紹介しました。医療現場では事故を防ぐための様々な取り組みが行われており、そこでも色が多く役立てられています。

危険は見えないところにこそ多く潜んでいます。目に見えないリスクを可視化(見える化)することは、はさまれ・まきこまれ、転倒、墜落などの事故防止につながります。
事故のリスクを軽減するためにも、危険箇所には誘目性と視認性の高い色彩で表示を施す必要があります。

色は危険を可視化して、事故の防止を手助けする

誘目性とは、周囲の環境の中から目を引くはたらき、視認性とは対象を探すときの認識のしやすさを意味します。
特に誘目性の高い色は、見る人の興味や関心に関係なく、人の目を引き付けるため、リスクマネジメントにおいてはとても重要です。

建設現場では危険、禁止などの重要度の高い情報は人が意識する、しないに関わらずすぐ目に飛び込んでくるようにしなければなりません。
また日常的には、危険を知らせる踏切の遮断機の黄色と黒の配色が、視認性が高い色の代表例となります。
「見つけやすく」「わかりやすい」視認性の高い色は危険を回避するのに役立ちます。
(一部 今と未来がわかる色彩心理(ナツメ社)南 涼子著より引用)

鮮やかな赤、オレンジ、黄色は誘目性が高く、明るく鮮やかな色と黒の配色は視認性を高める

現場の混乱を回避するためにも色分けを

ところで、もうひとつご紹介したいのが、私が2019年に建設現場で色がどのように役立つのかを知るために、現場の安全を守る「場内誘導」と「監視員」を行った時の話です。

現場で実際に場内誘導と監視を行う筆者

入場ゲートがいくつもある大きな現場であったため、資材などを搬入するドライバーさんが、ゲートを間違えて入って来てしまい、現場が混乱するという事例に幾度か出くわしました。

ゲートによっては、中が狭く込み合っている場合もあり、ドライバーさんが苛立ちを隠せないケースもよくあり、場合によっては接触事故も起こりかねない状況でした。
このような光景を目の当たりにするたびに、(ゲートも色分けしてくれれば良いのに)と、何度も思ったことを今でもよく覚えています。

識別・区別を容易にする色

また環境への配慮が進み。ゴミの分別が徹底されるようになったのは喜ばしいことですが、国際化が進む今、ゴミの仕分けルール、ゴミ箱の分類などを国籍の異なる作業員に伝えるのも一苦労だという話もよく耳にしました。

ここでも色は、識別・区別に役立ちます。コンテナの色ごとにゴミの種別を定める、例えば燃えるゴミは赤、プラスチックごみは黄色、木くずゴミは緑色、金属くずは青などにすれば、文字が読めない外国籍の人にもスムーズに伝わるはずです。

ゴミコンテナ色別イメージ

今回の内容については、日刊建設通信新聞にて連載した、「≪色≫で築く現場の安全」連載2回目@「ゲートの色分けで視認性アップ」でも詳しく述べています。ぜひご一読くださいませ。

日刊建設通信新聞連載 国際化に備えゴミ箱の色分け、パイロンの色もルール化など

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