雪、詩、白の譜(糸井茂莉『ノート/夜、波のように』)
今日は夕方から雪が積もりはじめた。家に着くまでに通りの往来も少なくなり、いまいる部屋から耳を澄ましても、車の音はもう聞こえない。
耳を澄ましても静か、という時間がいちばん落ち着く。
気持ちが静まるときにだけ波が引いてゆく、わたしの一部であるはずのひと気のない明るい浜辺がどこか遠くにあり、砂の奥にふだん隠れていたものが、波が引いたおかげでやっと見えてくる。
それはたぶん甘く曇ったシーグラスか、割れずに残っていた小さい貝殻か。それは自分が埋めたものでもあり、もう地図には