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「おわり」のない映画と人生~君たちはどう生きるか~

映画鑑賞感想文です。
感想文というか備忘録的な感じで、私が感じたことをただ書き連ねてるだけです。
観たのは結構前だけど一生懸命考え思い出しながら書いてたら時間経っちゃった!
ネタバレになるかもしれないのでご注意ください。


先日TBSラジオ「ハライチのターン!」で、ハライチ岩井が「君たちはどう生きるか」の感想を述べていた。

岩井の感想はざっくり言うと「ついていけなかった」というものだった。
元々ジブリ映画は、物語内のおやくそくを鑑賞者に説明する描写的なものが特になく、今作はそれが顕著だったという。
そして宮崎駿というアーティストへの敬意を表して総じて「理解出来なかった」というところへ落ち着いたらしい。

そしてもう1つ。
これはあくまでも仮説ではあるが、「ベテランのドンズベリ」ではないか説
そしてベテラン故にイジってもらえないやばいパターンのやつ。
ベテランのドンズベリってパワーワード過ぎない?笑
あまりの衝撃に思わず笑ってしまったし、元々観ようと思っていた気持ちがさらに大きくなった。


というわけで観てきました、「君たちはどう生きるか」。


今回のジブリの戦略?として予告なし事前情報なしということで、ジブリがそう出るなら私もまっさらな状態で観てやんよ!と思っていたので、公開日からなるべくネタバレや情報を見ずに過ごした。
そんな私が避けられずに得たのは、岩井の感想(2パターン)と、木村拓哉と柴咲コウが声優をやっているらしいという情報。
まあ、、、ほぼまっさらみたいなもんですよね。


観終わった私の頭の上に浮かんだのは大量の「?」だった。
なんというか、狐につままれたような、124分の間神隠しにあっていたような感覚。
さっきまで見ていた夢を必死に思い出しながら記憶に焼き付けていくような、そんな作業が私には必要だった。

色々考えてみて気付いたのが、どの登場人物にもあまり感情移入出来なかったということ。
感情移入出来ないというか、パッと見で表現されている以上の感情があまりわからなかった。
最低限の喜怒哀楽はわかるけど、腹の内というか「心の声」的なやつが読み取りづらかったような気がする。
でもそれって現実世界の人間と同じだなあと思ったりもして、逆にリアルだったかもしれない。

映画に出てくる謎の塔があって、その塔は色んな空間と繋がっている。
どの空間・世界にいても見た目は同じ。
見た目は同じだけど全く別の空間・世界にある。
どちらが最適かがわからない。
同じ物かもしれないし違う物かもしれない。

タイトルの基となった小説「君たちはどう生きるか」を読んだことがないので何とも言えないけど、ちらっっっと調べてみたところ、自分の在り方や世界の在り方について書かれているらしい。
(違ってるかも。あとでちゃんと読んでみます。)
自分を中心とした世界なのか、世界の中のどこかに自分がいるのか。

きっとあの塔と自分も同じなのだろうな。
自分に対しての中の世界と外の世界は当たり前に誰にでもあるから。
どっちが本物・偽物とかはなくて、どっちも本物で、時には偽物にもなったりもする。
主人公である眞人は最終的に元の世界に戻って生きることを選んだけど、それもホントにどっちでも良くて、自分で選んで結論を出すことが大切だったのかなと感じた。


展開がすごく多くて内容も深いんだか浅いんだかよくわかってない自分でも、冒頭の火事の中を走るシーンはゾクゾクし、青サギの羽をたたむシーンやこちらに向かって飛んでくるシーンはリアルでハッとした(実際は普通にビクッとした)。
お屋敷は荘厳でひんやりとしてかっこよくて、塔は無機質で不気味。
ワラワラは可愛くて神秘的で、インコたちは可愛いんだか怖いんだか。
その他にもたくさんすげーなって思うシーンはいっぱいあって、ジブリってまだこんな魅せ方あるんだって感心した。

宮崎駿監督の伝えたいことを読み取って、良い感じの言葉と文章で残したいのに、それが出来ないのが悔しい。
めっちゃ良いこと言いたい。
ちゃんと理解出来るやつだと思われたい(笑)。

そんな邪な気持ちが膨れ上がるばかりで、マジで感じたことを書き連ねるだけになってしまった。

「〇〇だと思った」
「あ、でも違うかも!〇〇かも!」
みたいなことの繰り返しで、映画を観終わっても全然自分の中で完結というか納得していなくて、それは自分の浅さとか理解力のなさのせいかもしれないんだけど、とにかくずっと映画について考えている。
わからなすぎて、ついていけなさすぎて、気になって仕方がないというか考えずにはいられないような状態。
答えが欲しい。
答え合わせがしたい。
宮崎駿監督に解説してほしいけどそれも野暮ってもんよね。


「監督:宮崎駿」というだけで深読みしがちだけど、もう見たまんま・感じたまんまで良いような気もしてきた。
実際どの映画でもそうなんだろうけどさ。
宮崎駿監督は以前、アニメは子どものためにあるべきものだと語っていた。
そしてアニメを通して『この世は生きるのに値するものだ』と伝えたいという。
そしてそれを純粋に楽しむこと、観た後に自分なりに考え理解すること。
そういうことが大事で、それが自分の人生の糧となり、生きることに繋がるんじゃないかな。

「ここはあの映画(過去のジブリ作品)っぽい!」と思う箇所が多くてニヤニヤしたのだけど、それと同時に「これは宮崎駿の集大成映画か?」という考えが過った。
映像的にもストーリーの流れ的にも、要所要所でそういう箇所があって。

最後大伯父は13個の石を、そして自分が積み上げて創った世界を、眞人に託そうとした。
石の前に座る大伯父の背中は、なんだか少し寂しそうに見えて切なかった。
自分が世界を創ったこと、役割を手放せず(手放さず?)そこから離れられないことは、望んで得たものだとしてもプレッシャーで、孤独だったのかもしれない。

どっかのレビューで、あの13個の石は今までに宮崎駿監督が手掛けた作品の数と一緒だと書かれているのを見た。
大伯父は宮崎駿監督だったのか?
眞人が大伯父の申し出を断ったところを考えると、自分が創った世界をぶち壊してくれるような、自分とは対極にいるような人間を求めているのかもしれない。


映画の最後、「おわり」で終わらなかったところにどんな狙いや意図があったのか。
「おわらない」のは誰のためなのか。
私のように未だ完結出来ていない人間を見越してのことならすげーな。
ないと思うけど(笑)

結局まだまだずっと考えながら、私の人生もぐるぐる回って続いていくんだろうな。

また観たいな。


ちなみに、岩井の「ベテランのドンズベリ説」は、否定も肯定もしません。
それもまたひとつの感想ということで。

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