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オマージュの旗手:シルバノ・マッツァが築いた新たな革靴の領域

シルバノ・マッツァ(Silvano Mazza)は、1975年にイタリアのマルケ地方で誕生した靴ブランドです。その目標は「靴の最高峰」を追求することでした。

特に1990年代後半に発表された靴のデザイン、「スクエア・トゥ」は世界中で大ヒットしました。現在はブランド展開を終了していますが、その名声は今もなお根強く残っています。

シルバノ・マッツァを創設したのはシルバノ・ソリーニ氏という方で、彼はかつてプラダ(PRADA)のシューズデザイナーとしても知られていました。

また、シルバノ・マッツァの発祥地であるマルケには、シルバノ・ラッタンジ氏が設立した「ジンターラ(ZINTALA)」という世界的に有名な靴ブランドもあります。

この地は靴のメッカとして知られておりソリーニ氏とラッタンジ氏は「ふたりのシルバノ」としてその名を轟かせていました。

ちなみに、2人はかつて1885年に設立された「エンドレス社」というシューズメーカーで共に働いた経験もありました。

シルバノ・マッツァの靴には、常に最高級の素材が使用されていました。

革は一流のタンナー工場から取り寄せられ彼らの厳しい基準に合致する最高品質のものだけが選ばれました。

さらに、靴の内側に使われるライニングにはイギリス産の革が使用されソールにはフランス製のものが選ばれました。

ラバーソールはモデルに合わせてシルバノ・マッツァ氏自身がデザインするなど、靴の各パーツに対して細部にわたるこだわりがありました。

手作業が基本で、イタリアらしいデザインの優れた耐久性を兼ね備えたのも、シルバノ・マッツァの特徴でした。

1975年、シルバノ・ソリーニ氏はイタリアのマルケ地方に自身の名前を冠したシューズメーカー「シルバノ・マッツァ」を設立しました。ブランド名には、ファクトリーのオーナーであるグラツィアーノ・マッツァ氏の名前も含まれています。


90年代後半から2000年ごろにかけてモンキーブーツが大ブレークしました。
当時、モードブランドやインポートブランドが絶大な人気を誇りスクエアトゥを得意とするイタリアのシューズブランドが数多く存在していました。
その中でも、シルバノマッツァはその筆頭として名を馳せていました。

シルバノマッツァはボリューム感のあるスクエアトゥにダブルソールのダービーシューズやサイドゴアブーツなどを提供し、特にスタイリストたちから圧倒的な支持を得ていました。
その中でも、看板アイテムとなったのがモンキーブーツでした。

もちろん、モンキーブーツ自体は以前から存在していましたがシルバノマッツァのリリースによってその存在が広まったように感じられます。
ヒットマンなどのフットウェアのハイエンドセレクトショップをはじめ数々の有名セレクトショップでシルバノマッツァのモンキーブーツは取り扱われ常に品薄状態であり、一時期は店頭にすら並ぶことがありませんでした。

こうしてシルバノマッツァは革靴だけでなくブーツの概念を変えていくこととなりました。
その結果として生まれたのがオマージュです。

現在ではMaison MargielaやHender Schemeなどが筆頭として挙げられますが当時は非常に斬新な存在でした。

有名な作品として、ホワイツ(WHITE'S)をオマージュした作品があります。

実は、当時HIGH BRIDGE INTERNATIONALが特別注文したモデルで「ホワイツのノースウェストをラグジュアリーにアップデートさせる」というコンセプトで作られていました。

ジンターラが得意とするバケッタレザーを使用しつつビブラム(Vibram)のホワイトクレープソールを履くなど忠実に再現されています。

ジンターラは様々な靴をサンプリングし再現することに取り組んでおりその中にはレッドウィングのアイリッシュセッターを元にしたフラノ(FURANO)というモデルも含まれていました。

ちなみに、CARPE DIEMのブーツもサンプリングされてしまい、デザイナーのマウリツィオ・アルティエリが激怒したという逸話もありました。

シルバノマッツァはその革新的なアイテムやオマージュラインを通じて靴の世界に新たな風を吹き込んだブランドとして今なお語り継がれています。


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神奈川・三浦海岸に位置するビンテージ・セレクトショップ「UNKNOWN」の
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