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【ジョージアに住む人たち】刺青と人 漆黒のあぶり-001 2024/02/15前半

レギュラーの無名人インタビューを受けていただいた人で、ああこの人は追いかけておいたほうがいいなと思った人に継続してインタビューしてみる「≪何か≫と人」インタビューシリーズですが、今回は「刺青の人」という看板で、漆黒のあぶりさんにインタビューしました。
通常の無名人インタビュー記事はこちらからお読みください。

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23歳、大卒後ジョージアというアジアとヨーロッパの間らへんの国に単身きて、タトゥーアーティストになろうとしている女性へのインタビューです。
在学中はYoutuberをしていたり、ジョージアにきてからはストリート書道をしてテレビにとりあげられたり、行動はけばけばしく見えるかもしれません。ただ、多くの10代、20代が抱えるであろう普遍的悩みを内包した人だなと思い。インタビューを。
お楽しみにね。
まえがき:qbc(無名人インタビュー主催・作家)

漆黒年表

2019年04月 大学入学
2022年11月 ジョージア来訪:海外ノマド体験ワークショップ(帰国)
2023年03月 大学卒業
2023年04月 病んで自宅ひきこもり
2023年05月 ノマドニア時代の友人と日本で会って刺激される
2023年04月 病んで自宅ひきこもり(重)
2023年07月 ジョージア来訪:出日本
2024年01月 ストリート書道、さあやさんと出会う、地元テレビ出演
2024年02月 長崎広島原爆セミナー登壇、タトゥーアーティスト修行開始、書道クラス講師開始


ストリート書道してたら海外のテレビに出た

qbc:今、人生のどういう状況ですか?

漆黒のあぶり:2023年の3月に大学を卒業して、ちょうど1年くらい経ってるんですけど。ジョージアという国に来ていて、タトゥーのトレーニングが始まったところで。
それでジョージアの日本語センターに今いるんですけど、ここで書道のクラスを持たせてもらえるかもしれないっていう。
また、新たなことが始まりそうな感じです。

qbc:おお。日本語センターとは?

漆黒のあぶり:語学学校っていうのが一番想像して近いかなと思うんですけど、ちょうどそのお話をしに来たのが本当、このインタビューの30分前とかなので、まだ具体的なことは決まってないんですけど。
あとは他でも生活費を稼がなければいけないので、今現地の日本食店居酒屋でアルバイトしようかなと思っているところです。

qbc:なるほど。

漆黒のあぶり:最近大変なのが、仕事の契約関連で。
日本のバイトだったら、交渉とかって別に必要ないじゃないですか。求人が出ていて、それに応募するだけなんですけど。でもジョージアは、仕事の話が来て、値段の交渉から契約形態も自分でやらなきゃいけなかったりするので。

qbc:ジョージアには、いつから来てるんでしたっけ?

漆黒のあぶり:去年の7月からですね。それから1回も帰ってないです。帰るのにもお金がかかるので、帰れないです。

qbc:人生、どうするんです?

漆黒のあぶり:どうしよう。私が一番聞きたいんです。
今、走り出して、道も見えているけど。本当に大丈夫かと思いながら。
正直、先週受けたインタビューで、自分にはもうタトゥーアーティストしかないんですよと言ったものの、いや本当に大丈夫かなみたいな。
弟子入りして勉強するから、一時的にめちゃくちゃお金なくなるし。
本当は私、家にいて静かに暮らしていきたいのになとか思いながら、結構弱気になってたんですけど。
けど、今日いろいろ収支の計算とかをちょっとして、これなら私自身は死なないっていう見通しがひとまず立ったので、やるしかないかなっていうふうに思えてきたって感じです。

qbc:なるほどなるほど。今年からの出来事をちょっと追ってみましょうか。1月は何をしてたんでしたっけ?

漆黒のあぶり:お正月にストリートで書道を始めました。
中旬に、タトゥーを彫って稼ぐことを決めました。
そして下旬は、日本食のバイトを辞めて、あとはテレビの撮影ですかね。

qbc:バイト辞めたのはどうしてですか?

漆黒のあぶり:書道ですね。タトゥー含めて書道系にもっと全振りしたかった。

qbc:なるほど。テレビは?

漆黒のあぶり:本当にもう無茶振りというか、スケジュールとかも、今から来れる? みたいな。とにかく大変でした。
SNSのインプレッションとか、3.5万とか初めて見た数字になったんですけど、その数字やテレビだけを見たらすごいねってなるんですけど、あれやってこれやってって言われてやるけど、ノーギャラみたいな。
でもそれがきっかけでいろんな人に知ってもらえたので、良かったかなと思っています。

出演したテレビ番組!!!!!

qbc:あと、インスタで見かけたんですが、長崎・広島の原爆の式典に参加された?

漆黒のあぶり:そうですね、先週、バトゥミっていうも日本でいう湘南みたいなエリアがあって、海のそばに国立大学があるんですけど。
そこで行われた長崎・広島原爆記念式典に、JICAの方に声をかけてもらって、書道をしてきました。
その様子も、バトゥミのテレビで紹介してもらえました。

qbc:あ、それもテレビに。

漆黒のあぶり:そのJICAの方の紹介で、大学とは別の日本語センターに今いるんですけど。なんかいろいろ書道の需要があるみたいで。

qbc:それは、単発のデモンストレーションではなくて、シリーズの授業?

漆黒のあぶり:そうなんですよね、授業をしてほしいということで。
元々、私は教職が取れる大学を選んでいたり、教育概論の単位も取ったりはしていて。教育に対しての興味もあったんですよ。
ここで繋がったか、というふうに思ってますが。まさか自分がジョージアで書道の先生やるとは思わなかっていなかったので。

タトゥー

qbc:書道をきっかけにタトゥーアーティストを志したり、書道関係の仕事が見つかりそうになったり、さらにテレビに取りあげられたり。
今、どんな気持ちですか?

漆黒のあぶり:私、何かしていないと考えすぎちゃうので、もうひたすら何かしてる感じです。仕事いただいたからやる、みたいな。私はお金を稼がないといけないからやる、みたいな、そういう感じです。

さっき友達と電話して、めちゃくちゃ騒ぎ散らかしたので、なんか落ち着きました。日本で普通に働いている友達なんですけど、仕事の話とかしてて、いろいろわかるわかるみたいなこと言いあってたら、仕事ってそういうもんだよね、みたいな。もうやることやるみたいな。私もどうなるかわかんないし、って。

qbc:なるほどなるほど。

漆黒のあぶり:実際私も生活の目処っていうか、これならジョージアで一人で生活していけるっていう計算を、本当今日の朝、計算したところなので。

最悪のことを考えてたんですよ。最悪お金がゼロになったときどうするかと思って。
もう黙って日本に帰るか、どうにかこうにかしてジョージアで生きていくのか。なんて言うんですかね、プライドじゃないけど。

あとそう思えるようになったのも、タトゥーの修行を今週の頭からやり始めて、めちゃくちゃ自分これだな、みたいに思いこむしかなくなってきてるからなのかもしれないけど。
自分にはタトゥーしかないなと思いながら、毎日ずっと線を書く練習をしてるんですけど。
タトゥーのためだったら、自分は頑張れるっていうか。
自分がタトゥーアーティストになる未来があるから、今は他のこともできるみたいな、そんな感じです。

qbc:そうだそうだ、タトゥーの修業はどんな感じですか?

漆黒のあぶり:教えてくれてる先生も多分ロシア人の方なので、英語がすごくできるわけでもないし、私も英語すごいできるわけじゃないから。なんかお互いニュアンスを探りながらみたいな。
これだけじゃちょっとわかんないとこがあるなと思ったので、YouTubeとかで動画を見ながら知識を補ってる感じです。見て覚えるみたいなところが多いので。タトゥーショップで教えてもらってるんですけど、先生もお店に常駐しているわけではないので。写真送ってもらえばいつでもフィードバックするから、いつでも遠慮なく連絡してって言われてるんですが。

qbc:けっこうラフなのね。

漆黒のあぶり:そうですね。今は、フェイクスキンにずっと彫ってます。人の肌の感覚を想像しながら。
私は早くお金を稼ぎたいから最短でタトゥーアーティストになるしかないんですけど、焦りながらやっても技術は身につくものでもないし。だから今は繰り返しやるしかないですね。1本1本の線を丁寧に彫っていって、どうやって彫る感覚を身につけるかっていう。

qbc:どれくらいでデビューできるようになるんですかね。

漆黒のあぶり:別に資格が必要になるとかじゃないから、自分で自信持てるようになったらOKですね。私もいつ頃デビューできる、先生に聞いてみたんですよ。そしたら、3人に彫ったらそれでいいんじゃない? みたいに言ってました。
これはもう、自分次第だなと思って。こういう質問自体が野暮なのかな、と思って。ただもう、今は練習するしかないから練習みたいな。

qbc:なるほど。

漆黒のあぶり:人の肌って、みんな違うので。乾燥肌とか、国籍や肌の色でも違うし、入れる色とかによっても違うし。
痛みも入れ方で違うんですよね。力をあんまり入れないでやると、インクは入らないし。痛いのわかって来てるんだし、どうせ痛い思いするんだったら、めちゃくちゃ痛い思いを1回だけして一発で入れる方がいいかとか思いながら、力の加減を考えたりして、今は線を彫ってます。
私もタトゥー入れたことがあるから、その痛みはわかるんですよね。

qbc:なるほど。

漆黒のあぶり:私、線をなぞるのが多分得意なんですよね。まだ曲線はちょっといびつですけど。でも、今日もめちゃくちゃ狂ったようにやってました。はい、もうなんか、めちゃくちゃ集中して。

qbc:漆黒さんは、どこになんのタトゥーを入れていたんでしたっけ?

漆黒のあぶり:左肩に、中絶した日にちを入れています。あと、イラストも。

qbc:なんのイラスト?

漆黒のあぶり:妊娠の発覚した日が、めちゃくちゃ雪降ってて。なんかドラマみたいな感じだったんですよ。婦人科出た瞬間に、雪がチラチラ降ってて。それがなんか、ドラマみたいで印象的だったので。
日付だけって、なんか囚人番号みたいな感じで嫌じゃないですか。だから、何かアスタリスクみたいな形にして、雪を彫りました。

漆黒のあぶりSNS

x:https://twitter.com/jetblack_aburi
tiktok:https://www.tiktok.com/@jetblack_aburii
instagram:https://www.instagram.com/jetblack_aburii

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終わりに

先に結論めいたものというか、私なりの物語の見立てを書いておくと。
母国で中絶という「タトゥー」を日本でつけられた人が、生まれ育った国を離れる。
たどり着いた国で自らが「タトゥー」を彫る側にまわる。
今後、彼女が「タトゥー」を彫るままでいるのか、そこから離れるのかわからないが、これはそのまま思春期の葛藤なんじゃない? て。
自分がどう、この世界におさまるのかというせめぎあい。

制作:qbc(無名人インタビュー主催・作家)

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