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【展示会報告】リテールテックジャパン2019を無人店舗/省人化店舗の観点から振り返って

2019年のリテールテックジャパン(以下RTJ2019)も無事終了しみなさまほっと一息しているところなのだと思いますが、2019年は日本における無人店舗元年となりそうな感じの展示が多くありました。それぞれの企業さんの取り組みは既にハイライトでお伝えしていますので、ここではもう少し掘り下げて「日本における無人店舗(含む無人レジ)の状況」をお伝えしようと思います。

《参考:ハイライト編一覧》
■NEC編
https://twitter.com/AutoIntelliMode/status/1104215865010970624
■飛天ジャパン編
https://twitter.com/AutoIntelliMode/status/1104216014793826305
■日本マイクロソフト編
https://twitter.com/AutoIntelliMode/status/1104216277009129473
■東芝テック編
https://twitter.com/AutoIntelliMode/status/1104216448069562368
■富士電機編
https://twitter.com/AutoIntelliMode/status/1104216685215510528
■Viscovery編
https://twitter.com/AutoIntelliMode/status/1104216940749316096

■決済端末繚乱

今年は特に決済端末の展示が非常に多くありました。INFOX全盛時代からSuiCaやQRコード決済による「クレカ以外の決済方法」が増えた結果、それを束ねる決済端末が多数出るのは予想通りでしたが、クレカ単体だけの対応からバーコードリーダー搭載型まで様々な決済端末が出そろった気がします。

■まずはレジの無人化が先行

去年のモバイルPOSレジ全盛時代と比べて今年は店舗レジの無人化技術がたくさん出ていました。トライアルさんが使われているスマートカート(カートにスキャン機能を搭載したもの)タイプやベルトコンベアで商品スキャンするレジなど、セミセルフからの脱却を目指した商品が目立っていた気がします。セミセルフはレジの通過速度を上げることに貢献しても結局人件費的にはあまり変わらないので、最終目標はやはりフルセルフなのでしょうけど、現在の店舗を無人/省人化することを考えるとここは一旦スマートカートが最適解なような気がしました。

■画像認識型はまだ未来の話

SMTS2019に引き続きRTJ2019でも無人店舗技術は画像認識が多かったです。NECさんやVAAKさんなどのオープン型から高千穂交易さんのクローズフリッジ型まで様々な種類の画像認識タイプが出ていました。

ただ、みなさんと話をして共通するのは「まだ先の話である」という点です。画像認識そのものがまだ出て間もないの技術であり、まだまだ高額な機材が必要(カメラが安くてもCPUは安くない)だとか、そもそも運用面が全く完成されていない(商品画像追加の運用方法について明確に答えられた企業はありませんでした)ため、これを実用化まで持ち上げるのは正直まだまだ先の話であるとは思います。

(このあたりの問題は別のスレッドで語ろうかな、と思っていますのでそちらをお待ちください)

ちなみに特化することでその辺りをカバーすることに成功しそうな企業はありました。Viscoveryという会社で割と古くからある総菜パン系に特化した画像認識型無人レジで、価格も20万弱と安く、商品画像登録も本体で対応可能だとのことでした。店舗内で全ての運用がカバーできるのは分かりやすかったですね。

■RFIDタグは衣料を中心に普及

コンビニ1000億枚タグなどで今後の普及が期待されるRFIDタグですが、こちらは衣料系でまず増えそうですね。GUさんの無人レジでUHFタグが使われているのは割と有名ですが、そうしたタグだけではなくBlueTooth技術を使ったタグやWiFiの電波から発電して稼働するアクティブタグの展示などもあり、今後は用途に合った高額タグとコスト競争により使勝手の良い製品としての普及タグが出てくるようになる気がしました。

■大本命老舗の出番はナシ

去年のRTJ2018では無人店舗として最も注目を浴びていたサインポストさんについては今年の出展はJR東日本さんとしても含めてありませんでした。本来であれば赤羽の実証実験を土産に出展したら最も注目されたブースになりそうだったのですが今年は特に何も出さずでした。赤羽の話は別としてスーパーワンダーレジぐらいは出展するかなと思ったのですがそれもなし。

赤羽の結果があまり芳しくなかったとの噂から考えると今は雌伏の時なのかもしれません。次の動きが注目です。

■総評

去年のサインポストさん一強状態から見れば本当にさまざまな無人/省人化技術が出てきていると思います。ただ、無人という観点からはまだ発展途上で、まだまだ新技術のお披露目会的な色彩が強い。特に運用面での言及をほとんどの企業ができていないとなると実運用としてはまだ先の話なのかもしれません。

ただ、これだけ多くの人が参考とはいえ出展されている現状を見る限り、無人/省人化に対するニーズは確実にあることだけは分かります。今後はどれだけ実運用を見据えられるかがカギになるのでしょうね。

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