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【感想】読書感想文「世界でいちばん透きとおった物語」_非実在女子大生、空清水紗織の感想Vol.0038

大御所ミステリ作家の宮内彰吾が死去した。
宮内は妻帯者ながら多くの女性と交際し、そのうちの一人と子供までつくっていた。それが僕だ。
「親父が『世界でいちばん透きとおった物語』という小説を死ぬ間際に書いていたらしい。何か知らないか」
宮内の長男からの連絡をきっかけに始まった遺稿探し。編集者の霧子さんの助言をもとに調べるのだが――。
予測不能の結末が待つ、衝撃の物語。

杉井光 『世界でいちばん透きとおった物語』 | 新潮社
https://www.shinchosha.co.jp/book/180262/

ネタバレあり感想。


すんごい仕掛けだなあ。
本そのものが芸術作品。
とんでもない労力がかかったんだろうなぁ……。
発想も素敵だし、それを形にした情熱にも胸を打たれました。

作中で登場する「世界でいちばん透きとおった物語」が、今読んでいる本そのものなんだろうなという予想は、割と早い段階でできたけれど、まさか台割りに仕掛けがあるとは思わなかった。
ペラペラとページを捲っていても気付かなかったなあ。
主人公の目の後遺症も、どこかで繋がってくるとは思いつつも、こういう風に回収されるとは。

見た目の読みやすさとは別で、お話の中身としても読みやすかった。
さらっと読めるけれど、それ以上の感動が味わえる作品だなと思いました。

素敵な体験をありがとうございました。


余談
泡坂妻夫先生の「しあわせの書」、ますます読みたくなってしまった。
どこの本屋に行っても置いてないんだよなあ……。
ネットで買うしかないのかな……。

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