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エッセイ集

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今の思いをつらつらと。
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退屈な時は、何もしなくていい。 #288

退屈という恐怖退屈というのは不思議な感覚だ。忙しい時は暇な時間が欲しいと思っているのに、いざ暇な時間が生まれると「退屈だ」と感じるのは何故だろうか? 退屈な時の何とも言えない不快感の正体は何なのだろうか? 退屈な時には頭の中で何が起きているのだろうか? 脳科学的に言えば、退屈な時は「デフォルトモードネットワーク」が作動しており、頭の中では過去のトラウマや未来の不安が渦巻いているらしい。何もしていないと嫌な思い出を思い出したり将来起こるかもしれない悲劇を想像してしまうから、退

綺麗じゃなくても、丁寧に。 #333

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文章を書くのは、割に合わない。 #330

ライターとして活動するようになり、「ライター」がどのような職業なのかを考えるようになった。そこで感じるのは、「ライターって軽視されていない?」というものだった。特に原稿料の算出方法からその一端が垣間見える。

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2023年の振り返り、2024年の抱負。 #328

あけましておめでとうございます。3年ぶりに日本での年末年始を過ごしています。年越しそばを食べて紅白歌合戦を観るという日本らしい大みそか。ニューヨークでは年越しと同時に近所で花火が打ち上がっていたのと比べると静かな夜でした。今回は新年最初の記事ということで、2023年の振り返りと2024年の抱負を書いてみます。 2023年の振り返りパーソンズ美術大学・Transdisciplinary Design修了 2023年の個人的一大イベントは、約2年に渡るパーソンズ美術大学・Tr

注意経済が奪う退屈さへの憧れ #324

時折、私はうつ状態になる。SNSをチェックできなくなり、すべてのフォローを外す。くだらないニュースが飛び交う無秩序さ、著名な人や無名な人の成功談の眩しさ。その全ての情報を飲み込めない、むしろ飲み込まれていく。だから、私はテクノロジーやメディアとの向き合い方について考えるようになった。 現代はコンテンツが見切れないほどあふれている。稲田豊史の『映画を早送りで観る人たち』では、特に若者は自分が見たいからというよりも友人と話を合わせるためにコンテンツを見ており、多くのコンテンツの

「デザイナーになりたい」と思い始めて3年。 #302

まずはご報告から。2023年6月から株式会社インクワイアと株式会社ACTANTにて働くことになりました。どちらも業務委託&リモートで参加します。 ・株式会社インクワイア オープンポジションでの採用のため仕事内容の詳細は要相談ですが、デザインリサーチや執筆などが中心の予定です。 ・株式会社ACTANT 以下のページに記載の「ACTANTによる関連企画」のお手伝いをさせていただく予定で、システミックデザインを日本に広めるプロジェクトに携わらせていただきます。 パーソンズ

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全ては毒にも薬にもなる。 #290

New York Zen Centerに毎週通いながら禅を学んでいます。今は卒業制作で禅の精神をデザインに取り入れるために、「Zen-Inspired Ethical Guidelines for designers(デザイナー向けの禅にインスパイアされた倫理ガイドライン)」を考えています。 特に在家の仏教徒向けの戒律である五戒の一つの不飲酒戒に着目し、「中毒性のある商品をデザインしない(ドーパミンハックをしない)」という考え方を提案しようと考えています。 僧侶に質問だ!

ユダヤ教について教えてもらった。 #280

私が卒業制作のためのリサーチも兼ねて毎週通っているNew York Zen Centerで「Zen×Shabbat」という禅の視点からユダヤ教の安息日を学ぶイベントが来月開催されます。もともとユダヤ教の安息日には興味があったのでぜひ参加しようと思っています。 その事前準備として、Transdisciplinary Designの同級生にユダヤ教徒の人がいるのでユダヤ教や安息日について教えてもらうことにしました。1時間ほど話したのですが、この記事ではその一部を共有できればと思

デザインの時代が来る予感。 #276

デザインを本格的に学び始めて二年弱。少しずつデザインがわかってきたような気がしつつも、まだわからないことの多さも感じています。デザインを学んでいると「なんでこんな考え方をするの?」「なんでこの方法を使うの?」という疑問が浮かび、気づけば西洋哲学やデザインの歴史を調べるようになっていました。 ざっくり西洋思想史私の場合、キリスト教的(=一神教的)世界観を把握することで、西洋を中心とした思想史が理解しやすくなりました。というのも、西洋の思想の流れを脱キリスト教的世界観の歴史とし

日本をもっと学びたい。 #275

海外留学をして良かったことの一つに、「日本をもっと好きになった」というものがある。私が今暮らしているニューヨークは華やかなイメージがあるかもしれないが、実際はそうでもない。街にゴミが散乱しているし、トイレが駅に設置されていないなど不便なこともある。日本では当たり前だと思っていたことが実は当たり前ではないということに気づけたのはありがたいが。 何より日本食が高い、というよりそもそも物価が高い。家賃を抑えるためには基本的にシェアハウスに住む必要があるほどで、学生が住むのに適して

2022年をnoteで振り返る。 #274

あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします! 2022年は一年間ずっとニューヨークにいました。夏休み前にブルックリンからクイーンズへ引っ越して心機一転、2年目の留学生活を迎えた年でもありました。 そんな2022年は一年間noteに記事を投稿し続けていました。新年最初の記事で2022年の抱負を掲げていた中に「noteの継続」とあったのですが、無事に達成していました。ちなみに、筋トレ・ストレッチは冬休みに入ってから思い出したように再開しています。 デザイナ

儀式のある生活をデザインできるか? #265

以前の記事で、私がパーソンズ美術大学・Transdisciplinary Designの修士論文で取り組んでいる内容を紹介していました。今回はその続編です。 一か月ほど前からストライキが継続中のため授業がなく、クラスメイトや先生からフィードバックをもらう機会がほとんどないこともあって、目立った進捗はありません。学期末の最終発表もなさそうなので、とりあえずこれまで自分なりに考えたことをまとめておくことにします。(ただ、学生主催でのExhibitionを行うことにはなりました。

退屈さを楽しみたい。 #264

2週間前に初めて行ったNew York Zen Centerに再び訪問してきました。前回の体験は以下の記事に書いています。前回開始時刻に少し遅れてしまった反省を踏まえて早めに家を出たので、無事に遅刻することなく参加できました。 まずは般若心経(英語版)を唱えます。日本人ならお葬式などで耳にしたことがあるであろう般若心経。漢字だけの文字列を見ても意味がわかりにくいですが、英語版の方がむしろ意味が分かるという不思議な現象が起きていました。たとえば、色即是空、空即是色は"Form

ニューヨークで坐禅を体験してみた。 #261

日曜日の朝。セットしておいたアラームより少し早めに目が覚めて、そのまま朝ごはんにコーンフレークを食べる。顔を洗ったり着替えたりと身支度を済ませて、足早に家を出る。 外の気温は氷点下。マフラーで顔を覆いながら歩く休日の朝は、平日と違って人が少なく静かだ。電車も休日ダイヤだったりメンテナンス中の区間があったりと、街はいつもよりのんびりしたペースで時間が進んでいる。 電車で向かっているのはNew York Zen Center。「ニューヨーク・マンハッタンのど真ん中で禅が体験で