見出し画像

【実体験】鉄道会社に入社するには?

 自己紹介代わりに、私の学生時代から鉄道会社に採用されるまでをお話しします。
 鉄道員を目指している人の学校選びと就職活動で役立つ知識を書きましたので、参考にしてください。私の就職活動は15年ほど前のものですが、今でも通用する話が多々あります。


1.高校は昭和鉄道か、岩倉高校に行かないとダメなの!?

 電車の運転士になるには、いわゆる鉄道学校(昭和鉄道高校や岩倉高校、東京交通短大、その他交通・旅行業界のことが学べる専門学校など)を卒業するか、または高卒でその学校に求人の来ている地元の鉄道会社に就職するのが普通だと思っていませんか?
 実は、私はそのどちらでもないのです。


・・・鉄道学校って就職に有利なの?・・・
 鉄道学校は鉄道会社への就職実績が多いわけですから、確かに鉄道会社に就職するには有利です。実際に昭和鉄道高校のHPで公開されている、「卒業生の過去5年の進路実績」のグラフ(2021年3月現在掲載中のデータ)を見ると、86.2%の生徒が就職し、そのうちの94.8%が鉄道関連の会社で働いているのがわかります。やっぱりすごいのです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 しかし、鉄道系の高校は都内にしかないし、私立だし、通うのに覚悟がいるわけです。そもそも私は中学生の頃は毎日友達と遊んでばかりいて、自分の将来について全然考えていませんでした。なので、なんとなく地元の高校に通いました。


2.高卒で鉄道会社に就職することの難しさ。

 高校生になるとさすがに自分の今後を真剣に考えだして、今から15年ほど前の当時の「鉄道員になるには?」の本を読みました。そこには「電車の運転士になるには高卒で鉄道会社に入社することが必須」「大卒は総合職(本社の事務)で採用される」と書かれていました。
 この情報は当時だってたぶん古い情報だったし、今ではもう完全に間違った情報です。私の周りには大卒でも異業種からの中途採用でも大手私鉄で運転士をしている人がたくさんいるのですから。

 私の通っていた普通の高校でも、地元の鉄道会社への就職実績があったので、進路の面接で担任の先生に「鉄道会社に入社したい」と伝えました。すると先生は「学年で成績が真ん中ぐらいのお前が内定をもらえるはずがないから」と言って、地元鉄道会社の入社試験を受けさせてもらえなかったのです。高校生での就職活動は先生を通して行われますから、まず先生の判断が絶対なのです。


3.本当に行きたい会社の入社試験を受けるには!

 鉄道会社への就職の道が断たれた私は、仕方なく進学しました。
 しかし、これが正解でした。大学でも、専門学校でも、短大でも、就職活動は「自分で」行えるようになるからです。
 当時、学校で教わった通り学生用就職情報サイトの「マイナビ」で徹底的に鉄道会社を調べてエントリーして、どんどん入社試験を受けました。
 私は電車の乗務員になりたかったので、現業職(駅員として入社して、乗務員を目指せる)希望でエントリーしました。現業職採用は高校生が有利とまだ言われていた当時でしたが、大卒や専門学校卒の人の集まる受験会場に、すごい数の人が来ていたのを覚えています。やっぱり鉄道会社は大手であればあるほど人気です。


・・・鉄道会社に学歴フィルターってあるの?・・・
 ここで鉄道会社の学歴フィルターについてお話しします。
 例えば国内最大手の鉄道会社JR東日本は「入社試験をどんなに頑張っても、一流大学を出ていないと最初からフィルターではじかれて相手にされない」というは噂、一度は聞いたことがありますよね?
 実はこの話、半分本当で、半分嘘です。
 JR東日本も採用選考の職種が、総合職とエリア職(現業職)に分かれていますが、学歴フィルターがあるのは総合職で、エリア職は学校名が重視されません。
 総合職も事務系・技術系と別れていて、エリア職も事務系・駅・技術系と別れています。
 2019年度入社のデータによると、総合職は国立大学か私立なら早稲田・慶應・上智の採用が多く、MARCH・東京理科は総合職と現業職の半々、日東駒専は圧倒的に現業職採用となっています。総合職では事務系は文系、技術系は理系が主流で、エリア職も事務系・駅は文系、技術系は理系が主流という傾向にあるようです。
 JR東日本の総合職ってそれぐらい倍率すごいよ、ってお話でした。
 裏を返せば、エリア職なら誰でも公平にチャンスがあるので、現業職(駅員・運転士など)希望の人は学歴を気にせず挑戦してみるべき、ということです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 就職活動を始めるにあたり、私は適性検査や入社試験のための準備以上に徹底していたものがありました。それは、電車オタクの雰囲気を消すことです。


・・・電車オタクは鉄道会社に入社できないの?・・・
 これもまた、半分本当で、半分嘘です。
実際に私を含めて、鉄道会社で運転士をしている電車好きはたくさんいますので。
 正確に言うと、鉄道会社に受かるマニアと落ちるマニアがいるのです。
 鉄道に関して勉強熱心で、鉄道の仕事が好きで情熱を持て働ける。そんなマニアなら会社は喜んで採用するでしょう。
 マニアの中には鉄道以外のことに興味や関心がなく、不潔な外見をしていて、挙動不審で相手の意見を聞けないような人もいます。こういった人は採用されません。
 鉄道会社の仕事は乗客に対しても職場の仲間に対しても、協調性や思いやりが大切なのです。危険な仕事もありますから、周囲の意見を大切にして、間違った時は自分の非を認めなければなりません。
また、珍しい車両が来たからと、勤務中に持ち場を離れて撮影に行ってしまうような撮り鉄でも困ります。
 鉄道会社の会社説明会や面接の場面で、自分の鉄道知識を周りにひけらかすことを目的にその場にそぐわない内容の質問などすると、後者のマニアだと判断される場合があるので注意しましょう。
 鉄道オタクは鉄道会社に就職できますが、社会人としての良識のなる人間であることが大前提なのです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 変なオタクだと思われマイナスになる可能性を排除するため、私は鉄道好きだというアピールは一切しませんでした。
 具体的に「御社でこう活躍したいので、今まで○○や○○について勉強してきた」と面接で伝えました。

 ある鉄道会社の適性検査と筆記試験を通過して面接を受けた時のことでした。他の受験者二人と一緒に、三人同時に受けたグループ面接でした。
 同じ質問を進行役の面接官から名指しされて、順番に答えていたのですが、最後の質問になって、その面接官は私の番を抜かしました。 面接官はその進行役の他に二人いましたが、信じられないことに私が指されなかったことに誰も気づいていないのです。
 私が自分から申し出ようか迷っているうちに、面接官は「面接は以上です」と締めくくってしまったのです。
 私が進行役の面接官の顔をじっと見ていたので、その面接官もやっと気づいて「あ、」という顔をしましたが、もう退室の流れになっていました。
 面接官三人のうち進行役の人が圧倒的に若そうに見えたし、役割的に他の面接官の部下のようだったので、面接官のミスを指摘するのは悪いと思い、そのことは黙って何事もなかったかのように退席しました。
 帰宅してからも申し出なかったことを後悔し、しばらくは自己嫌悪の感情に陥っていたのですが、驚いたことに面接は通過していました。どうしてかわかりませんが、もしかしたら、協調性が評価されたのかもしれません。
 それから面接は続き、結局その会社から、私は内定をもらいました。


 これが私の学生時代~鉄道会社に採用されるまでの出来事です。

 今回、話の途中で少し触れたように、現在では鉄道会社って、異業種からの中途採用で入社する人もかなり多いです。またそういう人でもバンバン運転士になっています。
それについて詳しく書いた記事はこちらです。
https://note.com/untenshi/n/na2cf7bed41b1

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?