『興味がない』のと『期待しない』のは紙一重?

夕べは少しうつらうつら出来たので、ようやく少し回復に向かってきているなと実感。それでも眠い。

結局、遠距離恋愛中の彼との別れ話は微妙な終着点を迎えた。

前回まで↓

5.睡眠は擬似的な死

30分の時間をもらっていたが、やはり話は困窮し、3時間に膨れ上がった。

しかも、喘息発作で苦しいので、最終的に私がこれ以上喋れない!となって電話を切った。

結論から言うと、"1週間以内にあなたから連絡が無ければ、このまますっぱりと縁を切り金輪際関わることはない"、ことを告げた。

興味がないわけではない

彼に私の事をどう思っているか尋ねると、彼は急にここ最近の自分の経緯を語り出した。

私は時間もない事だし、と思って、あえて簡単に答えられるように(私自身が感情的になって話さないようにという意図もあった)質問形式にしてフローチャートにまとめたのだが、彼は話を聞いて欲しかったのだと思い、黙って聞くことにした。

立て続けに起こったアクシデントで貯金も底をつき、行きていく為に仕事をしなきゃと焦っている中、棚ぼた的に嬉しいチャンスが訪れた。
関西で活動していた彼は、新たな仕事の場を求め、昨年末東京進出を目論んだばかり。その一歩にもなるようなチャンスだったかもしれない。しかし金銭的に全く余裕も無く、用意する時間も無いかもしれない、という状況から泣く泣く断念せざるを得なかった。
一念発起して上京したのにも関わらず、思ったように仕事に繋がらない。自分からみすみすチャンスを逃すような状況に陥ってしまっていたことに疲弊していた。
更に今週末は大学時代のイベントに参加しなけらばならず、その準備もありバタバタしていて、心も体ももはやキャパオーバー。他の事を考える余裕が全く無く、私の相手をする余裕は何処にもなかった。

そして、私の事は好きだけど、1ヶ月前のSNSを巡る論争から、"このノリには付いていけない、と、気持ちが引いてしまってから少し距離を置きたいと思うようになった"、と告げた。

私は今社会人を経て学生をしていた(まもなく卒業、という目前で体調を崩し、これまでの数年を無駄にしてしまいそうな危機的状況ではあるが、それは今関係ないので割愛する)。私は周りの人間の影響をとても大きく受けてしまうタイプなので、私の年下友人関係においても、かなり学生のノリが強かったのだ。

SNSに対する価値観や考え方は元々幼い部分はあったと思うが、それに拍車を掛けてしまい、彼の事をひどく振り回した。それは自覚もあるし、本当に後悔しかない。とにかく私が幼稚過ぎたのだ。彼でなくても距離を置きたいと思って当然である。

そのSNS関連について、一度電話で話した際、彼は私が彼の機嫌を取るような話し方であった事が気になったと言った。私は仲直りしたいと思っていたから当然なのだが、彼は合わないものを無理合わせようとする感じに違和感を感じたようだ。

そして、その後に私は面白いだろうと勝手に女友達同士で撮った学生ノリの下ネタ動画を送ってしまったのだ。そのノリ自体が悪いわけではないが、彼にはかつて自分もやっていた事の中で、下ネタで盛り上がるという行為を軽蔑していたのだ。下ネタで盛り上がることは好きでは無いはずなのに、学生のノリでそう言う話で盛り上がってしまったという過去が、彼にとっての黒歴史だったらしく、それを思い出すので不快だったと、昨日初めて告げてきた。その辺りから私へのリスペクトの気持ちが薄れていったそうだ。

それも何も言わないのだから、私がわかるはずもなく、私は元気を出して欲しくて良かれと思い込んでやってしまっていたので、何が悪かったのかわからないまま距離を置かれ、パニックになってしまった。

今なら極限状態を超え、少し冷静に自分を観察出来ているが、当時は精神崩壊が最高潮で、情緒不安定の極み。周りが全く見えていない状態でだったので、余計に相手を責めたくなってしまったのだ。

それでも私は彼と険悪なまま終わりたく無かったので、自分から距離を置こうと提案することになった。近々会う約束をしていたが、それもお互いの状況からやめることにした。

しかし、私にとっては距離を置くことで、確かに冷静にはなったのだが、逆に相手の粗が見え始め、よくわからない怒りが芽生え始めてしまった。自分の事を棚に上げて、相手を責めようとする心理は幼い人間にはよくある事だろう。私は未だそのレベルから抜け出せないでいる。分かっていても、そう簡単に変われる訳ではないのが問題だ。

今更粗を探して嫌いになるという訳でもない。好きだから余計に気になるだけだ。だが、これ以上彼を振り回すのも可哀想だし、私もさっさとこの関係を綺麗に終わらせて、自分の人生に向き直す必要があると思い、別れを切り出す決意をした。また一方的に別れる、などと言っても、相手の気持ちを確かめてからではないといけない気がした。

彼は私に"バレンタインのチョコレートを買っていたんだ"、と寂しそうに言った。

会いたくなかったわけじゃなかった。LINEが来れば見ずにはいられなかった。


人間関係とは

私は人間関係では多くの失敗を犯している。幼い頃から自己肯定感が低いせいか、友達相手に対しても嫉妬束縛の感情を抱きやすい。何故自分を理解してくれないのかと、相手に気持ちを押し付けがちだ。それは未だに感じてしまう負の感情だ。それは私が幼い故であることは間違いない。自分に自信がないから、離れてしまうのではないか、飽きられてしまうのではないか、という不安に駆り立てられる。

それでも私は友人が多い方だ。何故かは分からないが、私と友人でいてくれる人々は、破天荒な私を面白いと奇妙な目で見てくれているのだろう。転職が多く安定しない私の人生を見ていて飽きないとも。長い付き合いになる友達は、大概たまに会う程度の距離感だ。恐らくそれがちょうど良い。

私の家族は不安定な人間が多い。そのため私は毎日感情を激しく揺らす。自分以上の破天荒な人間を毎日相手をしてると疲れるし、攻撃性が強まる。そんな環境も良くないのはわかっている。

程よい距離感を保てる相手には友好的に接する事ができるのに、心を許すと極めて攻撃的になってしまう。誰にも心を許してはいけない人間なのだ。それが私の孤独である。

基本的に私は他人を信じていないのかも知れないが、その反面他人と関わりたいという気持ちが強い。

他人を完全に理解する事は出来ないとわかっているが、知りたいし、理解されたいという思いをなかなか捨て去れない。

他人に期待しなければ良い話なのだろうが、私は他人に期待しないということは、他人に興味がないと同じ事だと感じてしまっているのだ。一時期そうやって他人に何の関心も持たなくなった時は、たしかに毎日気楽に過ごせていた。しかし、どうしても寂しくなってしまった。私は人と関わりたいのだ。

私が誰かに対して、こうしてほしいと期待してしまうのは相手に好意を持っているからに他ならない。好きだから求めてしまう。見返りは期待してはいけないとしても、こうであってほしいと期待する事を止める事は出来ない。

それを押し付けてしまう、拘ってしまう。

それがわるい癖なのだろう。しかし、その想い自体を悪いとは思えない。

相手も自分もお互い変わっていければ、良い関係を築けるのではないかと信じたかった。

根本的な部分は変えられくとも、お互いの気持ちがあれば歩み寄り、近づける事は出来ると思っている。

人の理想は叶わない。理想は現実には決してならないからだ。それでも夢見てしまう。それと同じだと思う。

この疑問に答えはないと思う。人それぞれに人生経験によって捉え方が違うだろうからだ。

私の中の彼との理想と、彼の中の私との理想は大きくかけ離れている。

どうしても気になっていた事

3時間の電話の中で、私は聞きたかった事、話したかった事を概ね伝えることができた。

例の元カノとの関係についても、予め聞きたかった項目に返答してもらうことができた。彼は元カノと4年間同棲しながらユニットを組み映像系の仕事や休日に集まるイベントをしていた。そして、仕事での意見の食い違いから同棲を解消して別れていた。しかし、別れた後も彼は元カノとのユニット名義を流用して、ほぼ一人で活動をしているという状況であった事がわかった。

そらはやはり私が想像した通りの展開であり、今はもう一緒に仕事が出来ていないようだ。であればどう考えても解散するべきなのだが、彼の言い分では、今後ユニットをどうするか決めたいが、相手が忙しいせいで話し合いが出来ず、膠着状態が続き解決していないのだそうだ。

私はカチンときた。だったらさっさと解決させろと思った。

彼女と付き合っている時に始めたイベントや仕事のユニットが、彼の今までを支えてきたのもわかる。そのユニット名での仕事があるから、その実績を元に仕事を取るというのもわかるが、今はもうその時と同じ環境でも内容でも無くなっているはずだ。

新体制を迎えた会社は、時に社名を変える。それは内容が変わるからだ。新しい事にチャレンジする為に、心機一転することは、大切な儀式である。

彼が東京進出に失敗した要因はここにあると思った。

新しい事を始めるには、まず新しい土台が必要だ。彼が彼女とのユニット名を使って仕事をしようというのは、当初あった価値ももはやなくなり、使い古された減価償却残りの古い寝床をそのまま持って行ってしまったようなものだ。それではうまくいくはずがない。

東京へ進出する前に、彼女とちゃんと話してきっぱり処理すべき問題だったのだ。相手が忙しいというのは言い訳にならない。

相手が忙しいと言って話し合いの場を設けないのは、彼女にとってもはやユニットなどどうでも良い存在だからだ。自分からその名義を使うのをやめるべきなのだ。そこが未練たらしくて気持ち悪いと感じてしまった。

自覚が無いようなのではっきりと伝えた。

彼は私が指摘すると、私以外にも、周りから散々言われていると言った。当然だろうと思ったが、周りに言われているにも関わらずそうやってグダグダとしているから、回る運気も回らないのだ。

そう言う意味で、彼は今回の事で自分の計画性の無さと覚悟のなさを痛感せねばならないと感じた。

距離を置くとは

私はわたしの主観でしか語らないので、彼の本当の言い分はここには残らない。言わなければわからないことを、彼はわかっていないからだ。

だから私は彼のことを私のフィルターを通してしか表現できない。彼が言い返せないのは可哀想だとも思う。

だが、私は彼のことを語らずにいられない。

彼に対して私が、"あなたには地位も経済力もない"と言ったことは真実であり、彼にとって凄く辛い言葉であったと思う。

私は冷酷で酷いことを言う人間だ。たとえそれが事実であっても、言っていいことと悪い事があるのは理解している。

しかし、彼があまりにも甘ったれた事を言ったせいで、思わず口から飛び出してしまった。私は衝動性を抑えられなかった。

因みに私は、地位も経済力も無いのに、むやみに女に手を出すなとも言った。それは私と別れた後、同じような事をすれば、また相手の女性を彼が振り回す恐れがあるからだ。

だが、もちろんその事を責めるだけにそんな酷い事を言ったわけじゃない。今自分の仕事が無くて経済力が無いのだから、バイトでもなんでもしてとりあえず経済力を立て直せって事が言いたかった。なるべくならそういうクリエイター関係の仕事以外のバイトはしたくないと言う気持ちもわかるが、どう考えてもそんな事言っている場合ではないし、立て直すためにはやるしかないだろう。それを理解していなかったからだ。

彼は私とはとにかく距離を置きたいのだと言った。経済的にいつ安定するかもわからないから、いつまでとは言えない、しかしこのまま縁が切れて欲しくはない、と。

経済力が無い事は、彼の責任であり、かといって今はどうしようもない事だ。私は経済力が無いからといって彼を切り捨てるつもりはない。むしろ、少しでも力になれたらという気持ちもあった。

しかし、彼の仕事に対する覚悟というものが、わたしが想像していたものより案外いい加減であることに気づき、腹が立ってきた。なんだ、あれだけ散々凄い事言ってたのに、覚悟足りてないじゃん、と思ってしまった。尊敬していたのに、がっかりだ。

彼は私を敵だと言った。

経済力とか、そんなの自分でもわかってる。わかってる事をあえて言わなくてもいいのに。俺にはキリエさんが敵に感じるよ。

私は味方だからわざわざ言うんだよ、と返した。これは人それぞれの考え方によるだろうが、私は酷い事を言ってくれる人の方が自分の味方だと思っている。自分でも自覚している事を他人から酸っぱく言われるのは誰だって辛いし我慢ならない。しかし、彼だって私に散々指摘してきたと言うのに、自分が言われたら急に声をあげるなんて、笑ってしまう。

彼は私のネガティブなところを散々指摘した。色々大変な時で落ち込んでいて、どうしようもない時もある事を私は知っている。

しかし、彼に言われたのだ。

もしいつか自分もそう言う感じでネガティブになってたら、もちろん俺が言った事そのまま指摘してもらって構わないよ。

腹いせかも知れない。そう言われたから言ったんだ、という題目を唱えて腹いせに言ってやった。

追い詰められてどうしようもない状況のとき、人はなかなかネガティブから抜け出せない。それを痛感して欲しかった。

彼も案外メンタルが弱かったようだ。強がっていただけなのかも知れない。

途端に可哀想になってしまった。

彼は私の事を忘れられないと思う。

このまま私と別れれば絶対彼は後悔するし、今後このまま独りよがりでやっていっても絶対成功出来ないと直感的に感じたからだ。

おそらく今ここでこのいっぱいいっぱいで壊れそうな最悪な状況を乗り越えなければ、彼は10年後今と変わらない生活を送っているだろう。

そして、それを変えるためには、おそらく、私という存在が絶対必要になるだろうという、予感というものがする。

そう簡単に理解できないだろう直感だ。

私は彼と別れたらそんな事関係が無い。私は私で今とても最悪な状況の中、もがいてもがいて絶望の中希望を見出そうとしている。

残念ながら、私だってもっと経済力があってイケメンで苦労しない相手の方がいい。しかし、今の私はもう別にそんな相手に出逢う必要もないし、自分で未来を切り開くしかないという覚悟もある。今はまだスタート地点にも立てていない自覚もある。しかし、やるしかない。

彼と出会わなければ、きっとこの境地には至らなかった確信もある。だからこそ、ほっておけない。

なんてスパルタかも知らないが、私は彼にもこの一番辛い時に踏ん張って欲しかった。ここを乗り越えられれば先に進めるのだと、知ってほしい。

私は待つ事を拒否した。経済的に安定するまで距離を置くというのは、意味がないからだ。

仕事の事があたまがいっぱいといつつも、気晴らしに映画を見たり甘いものを食べることはするだろう。私はそれと同等の存在でも良かった。

だが、距離を置く期間について彼はいつまでという目標は立てられないと言った。1ヶ月とも言えないと。

だから私は断った。目標を見据えられない今の彼に甘えて欲しく無いからだ。わたしはそんな情けない人の為にそこまで待つ気はない。

距離を置くなら私はもうあなたとは連絡を一切とらないし、金輪際関わらないと伝えた。

彼もそれならばそれでも仕方ない、私には誰かいい人見つけて結婚してくれればいいよ、と投げやりに言った。

それがまた腹が立ってしまった。分かるからだ。つらくて逃げたい、逃げ出してしまいたいから、諦めるしかないと言い聞かせようとしている感情が丸出しだった。

彼は乗り越える力があるのに、今逃げ出そうとしている。それを感じるから、わたしはこんな非道に出ている。

正直彼が私を諦める決意をしたなら、私は即座に彼と関わる事をやめるが、いつかどうしているだろうかと気にかけるだろう。

私は傲慢にも、彼が私を忘れられないと確信しているから、彼に後悔して欲しく無くて、こんな意地悪を言ってしまっているかも知れない。

とにかく彼に判断を委ねることにした。

1週間後、彼から連絡が無ければ、私は一つの関係に終止符を打つことになる。