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詩ことばの森(87)「昔の侍」

その村は、川の近くにあって
昔から   そこに住む人がいた

中洲には   小さな祠があって
そこは   古い時代の戦場だった

倒れた侍を  村人がお祀りして
何百年ものあいだ    大切にしてきた
場所なのだそうだ
侍の名前は忘れてしまったが
祠に書いてあるらしい

いなくなってもなお
名を残した彼は
ある意味
永遠に生き続ける存在なのだろう

不生不滅の言葉が
川の流れる音とともに
ぼくの脳裏に
響いては流れていく

(森雪拾)

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