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詩ことばの森(146)「古い日記帳を繰るように」

(古い日記帳を繰るように)

古い日記帳を繰るように
小さな花びらの一枚一枚を
指先に触れてみれば

乾いた私の心の皮膚から
さらさらと剥離する感触

桜の花の下で別れたきり
過ぎゆく季節に薄れゆく
記憶の色さえ失われて
 
川面に漂う淡い光
もう空に舞うことのないまま
懐かしい人へと 流れる花びら
 
誰の目に触れることなく
春のページを 静かに閉じる

(森雪拾)

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