見出し画像

詩ことばの森(151)「残照」

残照

川辺りに広がる夕空を
渡ってゆく鳥の飛翔よ
無言のうちに
秘められた残照が
わたしの心に迫ってくる

まるで水の影となって
心の深奥に迫るかのようだ
悲しみを知り  憎しみさえも
噛み締め   咀嚼したあとの
苦い思いが
胃腑からあふれてきて

静寂はいったい
なにと引き換えに訪れたことだろう
夜空に散らされた星たちの
暗示された運命を数えながら
天と地のあいだを
夕暮が消えていく 

(森雪拾)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?