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日本一押しの強い方言。

生まれは神戸。育ちは明石。
どちらも兵庫県であるが、方言は似ているようで微妙に違う。
兵庫県は広いが、西に行くほど言葉が荒っぽく男前になっていく傾向にある。

明石は東播磨のエリアで、西播磨よりはマイルドな方言だとこの辺りに住む人々は主張するのが基本である。

『ガラ悪いなぁ!』などと自分たちは西播磨の言葉に驚いたりしているが、それ以外の関西地区から見れば
『味噌もクソも同じや、アホが!』と思われているようである。

大阪から遊びにくる友人たちは、電車で明石に向かう途中に窓から見える明石大橋や海を眺めながら、旅行気分や!などとはしゃいでいるが、いよいよ明石に着くと、えっ?えっ?という表情をするのである。

『なぁなぁuni、あんな可愛い女の子たちが、雨ふっとーわぁとか、◯◯しとん?とかイカツイ方言使うの見ると不思議やわぁ。』などと声を潜めて言ってくるのである。

私は職場が長年大阪だったこともあって明石の言葉は自然と使わなくなっていたので、大阪の友人たちからすればこちらの言葉を初体験すると不思議で仕方ないようなのである。

確かに明石では『雨降ってる?』とは言わない。
『雨降っとん?』
『降っとんで!』である。

これが神戸だと
『雨降っとー?』
『降っとーで!』になる。

何しとん?
勉強しとん?
ご飯食べとん?

語尾が『とん』が明石。

何しとーの?
勉強しとーの?
ご飯食べとーの?

語尾を『とー』と伸ばすのが神戸である。

しかしキレて勢いづくとこうはいかなくなってくるのが播州クオリティである。

『あんた何しよん?アホちゃうか‼︎たいがいにせーよ‼︎』
これが腹立ち度合い小レベル。

『おまえ何してくれとんじゃ!ボケが‼︎しばくぞゴラァ‼︎』
これが腹立ち度合い中レベル。

『ワレなんしよんどい!クソダボが‼︎ホンマいてまうぞワレ‼︎』
最大級の怒りレベルになるとまるでその筋の方々レベルである。

夫スナフキンは神戸の東灘区の生まれで、言葉使いはまぁ丁寧な方である。

ドカ弁やちゃっかりにキレたとしても、
『いい加減にしときよ。』くらいである。

『uniちゃん、播州弁って日本一押しの強い方言って知ってた?』

先日スナフキンが訊ねてきたのである。

『それは西の人らだけやろ?』

あくまで東播磨人としての返事をする私にスナフキンが言った。

『いや、あんまり区別つかへんねんけど。』

『はーっ⁉︎なんでやねん‼︎全然ちゃうわ‼︎ちゃんと目開けて見とん⁈耳かきしてへんのんちゃうん⁈ちょっとほんまスナフキン大丈夫⁉︎スナフキンがたまたまけったいなヤツに遭遇したんちゃうん⁉︎えっ?』

『フフフ…。』

『キタキタ!いつものヤツなー‼︎フフフってな‼︎言いたいことあるならちゃっちゃ言いよ‼︎』

『フフフ…。だから。そういうのが日本一押しの強いって言われるとこちゃうんかなー。』

のんびりした様子で答えるスナフキン。

やはり『日本一押しの強い方言』と言われても仕方ないのかもしれないと自覚した瞬間であった。

ちなみに。

播州弁で『強烈に腹立つー‼︎』と言うときの言葉は。

『むっさ、ごーわくで!』である。

これはさすがに女子で使う人はほとんどいない。

これを使う男子に対して、言葉の意味を知らない上品な男子は首をかしげ、
『むっちゃ迷惑?迷惑ってなんやねん!おまえに迷惑なんかかけてないわ‼︎』
などと返事をしてしまい、何が何やらになることがあるので、もしも押しの強い播州弁でそう言われた時は、とっとと逃げるが勝ちであることをおすすめしておこう。

#エッセイ
#cakesコンテスト

















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