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ミノルタAマウントレンズは永く使えるか

みなさんこんにちは。うにょーん(@giondoll)です。さて今回は1985年から始まるミノルタαシステムのレンズマウントであるAマウントレンズは「永く」使えるかという話題です。

永く使うとは?

ミノルタAマウントは電子接点を有するAFレンズ群に対応したマウントですが、焦点合わせに伴う光学の移動や絞りに関しては従来のレンズの様にヘリコイドとギアで動いています。つまり昨今のミラーレス用AFレンズなどに代表される完全電子制御レンズでは無いということです。
これはつまりレンズ情報の読み取りとAFを諦める事が出来れば特殊なマウントアダプターを使用することで所謂オールドレンズの様に使用できる可能性を示唆しています。実際に、絞り制御をマウントアダプターで行う事で様々なMILCでAマウントをMFで使用できるアダプターが発売されています。

こうする事で名だたる銘玉が揃うGレンズ群や親の残した思い出の詰まったレンズ群を使えるかもしれません。
しかしながら、永く使う為にはある程度の不具合を修理できる設計であるか否かが問われます。例えば、戦前の子供向け簡易カメラの様に完全機械式のフィルムカメラであっても、ボディが劣化しやすく脆い素材で作られていれば修理どころか、オーバーホールですら困難です。

Aマウントレンズ修理を阻む壁

さて、先ずは結論から。Aマウントレンズは永く使えるレンズと使えないレンズがはっきりと分かれます。
その差は光学が「ユニット化」されているか否かの差と言い換える事が出来ます。

これ以上分解出来ない前群ユニット

まず光学のユニット化とは何か。これは複数のレンズを纏めて固定したものです。必ずしも光学的な群とユニットの位置が相関する訳ではありませんが、ある程度はレンズ構成と当時の新品価格などからユニット位置を想定する事は可能です。
光学系がユニット化される事で製造や修理工程が簡略化されると共に在庫管理も簡便化するので生産の効率化やコストダウンの方法として多くの企業が採用しました。
しかしながら製造から40年以上経った今、ユニット内部のガラスにカビや曇りが発生した場合修理が出来なくなりました。また、ユニットを固定する接着剤がコバと化学的作用を起こしコバ落ちやレンズコーティングの腐食を引き起こす例もあります。
これら不具合が発生した場合には当時のサービスマニュアルに従えばユニットを交換する事で対処する既定になっていましたが、現在ではMINOLTA製品の修理サービスは公式には行われておらず、修理店がストックしていたユニットも多くが破棄または故障品と同様の現象が起きてしまっています。
中にはユニットを分解することの出来る方法も存在する様ですが、本来不可逆的な加工をされたユニットを分解する事で生じる不具合は計り知れません。

延命措置を図る

上記のことから、ユニット化されたレンズを含むAマウントレンズを永く使うには基礎的なレンズの扱い、つまり衝撃、水分、湿気、紫煙、塩分…ありとあらゆる光学に悪影響を与える要素を遠ざけつつ労って使う事を忠実に実行する必要が出てきます。「修理が出来ない」オールドレンズですから、その扱いはかなりシビアな訳です。

MINOLTA AF APO TELE 80-200mm F/2.8の前玉に生えたカビ


無論、こんな理想論を実行するのは殆ど不可能です。しかしながら、これほどにデリケートなレンズを扱っているという認識はあった方が良いかも知れません。見た目は新しさを感じるデザインをしていて、時にはジャンク品として青箱の中で群れているレンズは、実態は100年前のレンズよりもデリケートなのです。

でも、使って欲しい

この記事を読んで、Aマウントレンズ購入や使用を躊躇してしまう方もいるかもしれません。これは今までの主張とある意味で矛盾してしまうのですが、まだ「αショック」を体験していない人にも、昔αと共に時を過ごした方も、今こそ是非使って頂きたいのです。一世を風靡した日本の光学技術のひとつの金字塔、それがαシステムです。しかしながらボディは10年後動く個体は殆どないでしょう。30年後にはどのレンズもカビたり曇ったりしているかもしれません。今が「αショック」を体感出来る最後のチャンスではないかと、私は思っています。

日本の半導体技術の結晶たるAFシステム、カーボン入りプラスティックの手触り、KONICA MINOLTAやSONYのAマウントボディ、各社マウントアダプターを使ってデジタルで楽しむのも面白いでしょう。MINOLTA最初で最後のAFシステムでαチャンスを楽しんでみませんか。


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