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おもいでぽろぽろ⑩堂々巡り[母が認知症になりました。]

私は決して母親思いの優しい娘ではないと思う。
その証拠にほら、認知症の母を弟に任せっきりで頻繁に実家に帰ってはいない。介護もなんにもしてあげられない。

でも、母のことはいつも気になっている。
デイサービスでお風呂に入れてもらっているのか?
手足の爪を切ってもらっているのか?
まだ、自分でトイレに行けるのか?
ご飯も自分で食べることができるのか?
最後に会ってから、そろそろ1年が経とうとしている。

……まだ、私のことを憶えていてくれるのだろうか?

そんな考えに囚われて、2023年12月に入ると落ち着かなくなってきた。
気になって気になって仕方がない。
いつも気になって考えているからといって何だというのだ!(自問自答)

弟(弟という響きは可愛いが、来年は還暦のおっさん)にLINEでたずねたら、母の様子は別に変わっていないという。
大晦日〜元日は、今年は帰省しない。
都市型小型スーパーの早朝シフトがずっと入っているから。

身体を動かす仕事は楽しい。じっとノートPCに向かう仕事は同じ考えに一度囚われると、室内の空気がどんよりと重くのしかかってくる。外に出たり、動いたりして気分を変えなくてはいけない。早朝バイトは気に入っている。

年末年始はずっと出勤予定。元旦も、初日の出の時間にはお店のシャッターを開ける。こんな元旦は生まれて初めてでおもしろい。

でも、お正月のシフトが一段落すれば、1月第2週は急でもお休みもらえるかもしれない。
そう思ったら「日帰りで母の様子を見に行く」計画が自分の中で爆上がりしてきた。

弟からの情報(無口なので大した情報は聞かないと分からない)で、母がお世話になっているデイサービスのお休みは火曜日と日曜日。

日曜日は弟の嫁がいるけど、火曜日は母一人だろうとふんで、1月9日に日帰りで帰省することにした。

バイト先の店長に事情を話して、急遽お休みをいただいた。それが12月28日のこと。
それから急いで新幹線チケット(往復)を購入。1月9日分はラクにとれた。
お土産の菓子折も購入。大して喜ばれないのもわかっているが、ないよりはマシ程度。

昨年の帰省と違い、今回はWi-Fiレンタル(ルーター)をする余裕がなかった。日帰りだし、まぁいいかと思ったが、繋がらないとやっぱりストレスだったが。

日帰りだから帰る時間も考え、逆算すると、実家に滞在時間は3時間程度。
何ができるんだ?
何やってんだ私……。
でも、自分の気が済むんならまぁ、いいか。
結局は自己満足に過ぎないじゃないか。
堂々巡りだが、「下手な考え 休むに似たり」なので今回は動く!

新幹線のお陰で北陸だと日帰りできる。
日帰りの良さは、泊まり準備がいらないところだ。
これで準備万端。

年末年始はノンストップでスーパーのバイトに精を出そう。主婦のバイトさんが急遽インフルエンザにかかったり、家族でお出かけの人の代わりに目一杯シフトが入った。
体力持つか分からんが、稼ぐぞー!って感じだ。

そしたら、元日の夕方頃に、あんな地震だ。
驚いたし、心配だし、ジリジリした。
テレビは特別報道番組になったが、この時点で、被害の全容があまり分かっていなかった気がする。
弟にもLINEで何も聞いたりしなかった。
こういう時、弟は今まで報道をだいたい「みんな、大げさやなー!」と言って鼻で嗤う。
「大雪警報」「台風上陸」…今度はどうだろう?
母は無事だろうか?
でも、「いちいち、うるさい!」と怒られそうだし、あいつが災害用伝言ダイヤルに登録なんかするはずがない。
またまた堂々巡りだが、ありがたいきっかけがもたらされた。

父方のいとこからのショートメッセージが来たのだ。
「みなさまはご無事でしょうか?」
これはありがたい!
弟は父と同様、外面がいい。私に対して無愛想だが、親戚に対してはちゃんと笑顔で話す(何だよ、それ!よく考えたら腹立つな)。この問合せに私ものっかればいいのだ!

「いとこの●●ちゃんから心配のメッセージが来ています。私から返しておきますが、そちらは大丈夫ですか?」

「なんともないよー」

よし!よかった。とりあえず、無事らしい。
すげー考えすぎのうえに、フツーに考えたら簡単な話のように思われるかもしれない。
でもさ、結構、うるさがられて、イヤな感じになることが多いのよ。微妙な家族関係だよね、昔っからだけど。だから、私は一人の方がラクなのよ。寂しさってサイコー!

でも、この時期に行って、新幹線は大混雑じゃないかな?
いや、今の時期に北陸に行く方が神経を疑われるのではないのか?
「私は地震が起こる前に新幹線チケットを買っていました!」って誰に言うんだ?
そんなんどっちでもいいか……。
でも……。

またまた堂々巡りが始まってしまった。
行きゃいいじゃん、私。バカだねー。

とりあえず、富山駅の駅ビルにある「8番ラーメン」を食べることだけは決めた(笑)。

母が認知症になりました。離れて暮らしているので、介護を任せている後ろめたさが常にあります。心配、驚き、寂しさ、悲しさ、後悔、後ろめたさ。決断と感謝と孤独。感情的にならずに淡々と書きますが、時々泣きます(笑)。一人暮らし還暦クリエイターによる☞脱力記録です。不定期で綴っていきます。

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