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デッドクロスって何?

こんにちは大家兼不動産屋の廣田です。

不動産投資や賃貸経営の情報を収集していると「デッドクロス」という単語を見たことがある人が多と思います。今回はこのデッドクロスについて書いていきます。

デッドクロスとは

「デッドクロス」は、株式投資やFXなどのテクニカル分析の世界ではよく耳にする単語かもしれません。しかし、不動産投資や、賃貸経営の「デッドクロス」は、テクニカル分析での「デッドクロス」と意味合いは違います。

不動産投資での「デッドクロス」とは、借入金の返済額が減価償却費より高くなることを言います。このデッドクロスが起きると、キャッシュフローが悪化します。

デッドクロスが起きる時期

借入金の元金返済額は、元利均等返済の場合、返済当初は少なく、返済は進むにごとに多くなっていきます。反対に、減価償却費は、耐用年数を経過してしまうとゼロになります。

下のグラフは、借入金の元金返済額と減価償却費の経年変化のグラフです。
デッドクロスは、借入金で物件を購入後数年経過した頃の発生し、その時期は、建物の価格、構造、借入金の額、返済条件によっても変化します。

デッドクロスグラフ

このグラフの条件では、15~16後にデッドクロスが起きています。
減価償却期間の短い、中古物件を購入した場合は、デッドクロスが起きる時期が早く到来するので注意が必要です。

なぜ、キャッシュフローが悪化するのか

下の図は、デッドクロスの前後のキャッシュフローと課税所得の計算を示しています。
デッドクロス発生前は、現金の支出をと伴わず経費として計上できる減価償却費は、元金の返済額を上回っているため、その差額分だけ、課税所得を圧縮することができます。結果、税引き前キャッシュフローに対し、税額が少なくなりため、より多くの現金を残すことができます。
デッドクロス発生後は、減価償却費と元本返済額の関係が逆転して、税引き前キャッシュフローが課税所得より少なくなり、その分税額が高くなります。
場合によっては、税額が税引き前キャッシュフローより高くなり、その差額分の現金がマイナスする状況もあり得ます。

デッドクロス

キャッシュフローの悪化がなぜダメなのか

キャッシュフローが悪化すると、当然ですが手元の現金が減少していきます。手元の現金が減少すると、適切な修繕など、経営上必要な経費を使うことができず、結果、物件の価値がさがり、稼働率が低下、家賃収入の減少という悪循環を招き、最悪のシナリオとしては、破綻することもあり得ます。「黒字倒産」という状況です。

発生時期を予測する

不動産投資や賃貸経営でいうところのデッドクロスの起こる時期を予測するには、事業計画を立案することです。
事業計画は、物件の購入を起点の10年以上の期間の家賃収入から課税所得、キャッシュフローの予測をまとめたもので、この事業計画を作成することでデッドクロスの発生時期と影響度合いが予測できます。(事業計画のと作成方法は、別の記事で書いていきます)

デッドクロスにどう対応するか

発生時期と影響度合いにより対応の仕方は変わってきますが、対応策しては、
   ①自己資金を投入   (頭金の増額、繰上げ返済)
   ②元金均等返済を選択 (影響度が低下)
   ③借入条件の見直し  (借り換えなど)
   ④物件の売却     (買換え)
   ⑤現金を貯める
などがあります。対応策は、まったく影響をなくすことができなくても、影響度合いを下げられれ、乗り切れる場合もあります。個人の状況によっても対応策は変わっています。

ほかにも、
         物件を購入して減価償却費を増やす
という方法もありますが、この方法を選択するとリスクを高くなるので、事業計画を立てて十分な検討が必要です。

まとめ

デッドクロスは、不動産投資、賃貸経営 特有の現象です。デッドクロスが起きるから、賃貸経営へ危険という訳ではなく、起きる時期と影響度合いを把握することが重要です。事業計画を立てることで、購入前に予測可能です。予測ができれば、適切な対策をとることができます。また、影響度合いによっては、特に対策を取らなくても問題のないケースも思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。
今日はこの辺で、次回また。

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