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福祉の求人広告では出会えない相手とリアルに出会う価値と方法

前々回は介護の魅力よりも大切なこと、前回はメディア活用方法とクリエイティブディレクションについてお話ししました。今回は、リアルに人と出会えるイベントの作り方についてお話ししていきます。

求人広告では出会えない相手とリアルに出会う価値と方法

人材獲得を目指すにあたって、多くの事業所は求人広告を出し、そこに応募してくる人たちと面談して採用する、という形を取っているのではないでしょうか?
しかし、ただでさえ競争率の激しい人材を、他の事業所も切実に探している環境下で、そういった「待ち」の姿勢だけではもったいないと思いませんか?

これまでの連鎖の中で、自分達のスタンスやペルソナ、デザインについてお話をしましたが、その全てを融合して表現できるものがイベントだと思っています。
イベントという手法は、アイデンティティを詰め込むことができるもの。それを表現することで、自分達が実現したい世界を表現することができます。就職とかする気のない学生や転職とかする気のない従事者でさえ巻き込み、ファンにさせることができる、そんな可能性があるのです。
気をつけないといけないのは、「求人」がメインのイベントにはしないということです。自分達が何を目指しているのか、何を作りたいのかということを表現するイベントを開催することで、価値観を共有した上での人材獲得を目指すことができる。ミスマッチを減らし、関係性を持続させるための重要なキーポイントがそこにはあるのです。

イベントをやることのメリットを並べます。
・やり方さえ分かれば、誰でもいつでもどこでもできる
・フランクな感情の中で、直接人に出会える
・狙いを定めて、自分が来て欲しいと思う層の人を呼ぶことができる

求人広告を何十万もかけて出すより、自主イベントで知り合った方が早くて確実ではないですか?

私たちUbdobeは、これまでイベント制作という手法をメインに活動してきました。

SOCiAL FUNK!:医療福祉がテーマのクラブイベントで、20-30代の若者たちへアプローチ。難病や障害や介護などのテーマが練り込まれたブースやDJやライブを体感することで医療福祉をカジュアルに捉え、興味関心を持ってもらうためのイベント。

Mystic Minds:医療福祉がテーマの謎解きイベントで、小中学生とそのファミリー層へアプローチ。進路などを考え始める高校に進む前から医療福祉の仕事の存在を知ってもらい、その選択肢の一つとして考えてもらうためのイベント。

福祉留学:医療福祉がテーマのマッチングイベント。医療福祉の学生や従事者がいろいろな現場を見ることで自分の理想を実現できる場所を日本全国をフィールドに探すことができるプラットフォームとなっている。

WellCON:医療福祉がテーマのトークイベント。医療福祉現場で働いている人や経営者が立場関係なく同じテーマを話すことで、自分が働いている環境の狭さに気づいたり、隣の人の考え方がヒントになる。そうやって外部から刺激を受けることで、業界離れを防ぐこともできる。業界のことをフラットに見れるし人とも繋がれるし自分のやりたいことを見つけることもできるというイベント。

この4つの中で、イベント経験が豊富でなくてもできるイベントは4つ目のWellCONのような「トークイベント」になるかと思います。会場を決めて、トークテーマを決めて、ゲストを決めて、広報を行い集客し、当日は運営を行う。この基本的な工程を行うことで、イベントを実施することができます。もちろん、広報にあたって告知ページを作ったりフライヤーを作ったりというデザインは発生しますが企画の中身に関してはスタッフや仲間達で話し合って決めることができます。この話し合い自体が事業所の内部活性化にも繋がったりもします。大規模なことを最初からやる必要はありません。まずは10人集められるイベントをやってみましょう!回を重ねるごとにどんどん経験も積み上がり、企画も良くなっていくことと思います。何かわからなかったり困ったりしたら連絡くださいw イベントのプロが伴走しますので!

そして突然ですが、、、

デジタルが可能にする新たな事業所運営

「介護の魅力」というテーマを中心にこれまでイベントやデザインについて語ってきましたが、今回は一風変わった内容についてお話ししたいと思います。一言で言うと「介護や福祉業界におけるデジタル技術の活用」についてです。わたしはNPO法人Ubdobeと並行して株式会社デジリハという法人も経営しております。どういった事業内容かというと、デジタルアートやセンサーなどの技術とリハビリを掛け合わせたプロダクトの開発と提供を行なっている会社です。まだ会社として立ち上がって1年ほど、サービスインして10ヶ月ほどの会社ではありますが、現在全国15ヵ所を超える病院や施設で導入されています。

私たちがこのデジタル技術を活用する上で気を付けている点と、いわゆる業務のICT化を考える上で大切だと思っている点を参考までに記したいと思います。
まず、私たちが開発や提供をする中で最も気をつけていることは「マーケットから人を見ない」ということです。昨今のヘルスケアテック業界というのは投資も集まりかなり順調にマーケットとして増大してきています。が、プロダクトやサービスを開発する上で当たり前だと言われているマーケティングを私たちは基本的に最初からは行いません。そこを気にしすぎると一体どこの誰のための製品なのかが分からなくなってしまうからです。私たちは「目の前のたった一人と、その先にいる世界10億人を見据えて」事業を作っています。この目の前のたった一人というのが本当に大切で、これまでお話ししてきた介護や福祉の魅力発信の話にも通ずるのですが、相手がどこの誰で、何を求めているのかをしっかり理解できるように、仮想のペルソナを立てるのではなく、この世に実在する誰かのためにモノづくりを行なっています。その先にいる10億人というのは、私たちが現在メインターゲットとしている障害児者が世界人口の15%ほどいると言われており、その数は10億人に上るとされています。これが逆転すると、どうでしょうか?「世界10億人と、その先にいるたった一人を見据えて」となった途端に、誰の話をしているのかわからなくなりませんか?ここがかなり大事だと思っています。

さらに、数年前からICT化という言葉が叫ばれていますが、介護や福祉業界で事業所のICT化を推進する際に大切にしたほうがいいと思っていることもお話しさせていただきます。ICTってそもそもなんでしょうか?「Information and Communication Technology」の略で、通信技術を活用したコミュニケーションを意味します。これも、逆に捉えられがちなことがあります。「コミュニケーション」が大切なのであって、「技術」はただの手段でしかありません。つまり、技術を採用しても、コミュニケーション(交流)が生まれなければ意味がないのです。ICT、ICTと言われていますが、その目的を本気で議論したことはありますか?職員同士の交流なのか、職員と利用者の交流なのか、職員とご家族の交流なのか、職員と管理職の交流なのか、利用者と利用者の交流なのか、ご家族と利用者の交流なのか、地域と施設の交流なのか、、、この組み合わせは無限とあるはずです。この目的の部分をしっかりと議論せずにただICT化というのが必要そうだから何かツールを導入してみようというのは非常にもったいないです。また、これまで話してきたイベントやデザインと同様、ICTにもその道のプロがいますので、そういう人から情報をもらい、事業所内で議論をし、本当に現場が求めているICTというのがなんなのかをじっくりと考える必要があると思っています。この議論そのものが、事業所のICTに対するスタンスを示す重要なものとなります。

いかがでしたでしょうか?今の僕が考えていることや感じてきたことをある程度言語化できたかと思います。私自身もイベント企画やデザイン制作やデジタル開発を行いながら、居宅介護や重度訪問介護や移動支援の事業所も運営しています。自分達の感覚でなんとなくやってきたことが今回のように、誰かにまとまって発信されていくことが自分達を見つめ直す上でもとても大切な機会となりました。

最後に一言、、、

僕はこの福祉業界が大好きです。福祉というのは全人類の生活の全てだと思っています。無限の課題と、無限の可能性に満ち溢れています。これからもこの福祉業界で様々な活動をしてまいりたいと思います。皆様引き続きよろしくお願いします!!!!

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