軽トラ市

経済効果ゼロ?責任者不在?八女軽トラ市に八女の末期を感じる。

徒然なるままに、毎月2回福岡県八女市で開催されている地方のイベント、八女軽トラ市がある。
八女軽トラ市とは毎月第二、第四日曜日の朝9:00〜12:00の間に開催される市場のことで、会場は八女観光物産館ときめき前の駐車場だ。
軽トラ市には地元の飲食、雑貨、衣料のお店が出店。出店者は自前の軽トラック、またはテントなどを用いてブースを作り、商品を販売する。
八女軽トラ市では商品の販売だけでなく、二つのイベントを開催している。
それは「たまごのつかみどり」と「輪投げでぽん」だ。

たまごのつかみどり」は10:00から開催される。
名前のインパクトが強すぎて参加者は最初「卵を掴み取るの? 割れない?」と心配するが、大丈夫。
掴み取るのは卵ではなくゴルフボールだ。
丸い穴の開いた箱の中に片腕を突っ込み、掴み取れるだけゴルフボールを掴み箱の中から腕を出す。取り出したゴルフボールの数だけ卵と交換する。
要は4個ゴルフボールを掴めば、4個の卵と交換である。難易度が高いのは6個。なかなか6個のゴルフボールを掴める猛者はいない。
たまごのつかみどりは参加費が無料だが、一応軽トラ市で買い物をした人限定ということになっている。

輪投げでぽん」は文字通り輪投げである。
軽トラ市で買い物をしたお客さんはスタンプカードにスタンプを押され、スタンプ10個で一回輪っかを投げることができる。入った輪っかの数だけ景品と交換できる。
景品は軽トラ市に出店している出店者からもらう。
お惣菜屋さんからはお惣菜をもらえ、八百屋からは野菜がもらえる。

八女軽トラ市は物産館ときめきの弱点を補うために始められた。
八女観光物産館ときめきは法律上生物(なまもの)を取り扱うことができない。
なのでときめきは皆さんがイメージする道の駅のように野菜や生肉、魚、卵などを扱うことはできないのである。
それではお客さんにとってあんまりなので、八女軽トラ市を開催することでお客さんに地元の野菜や卵や魚介などを提供することにしたのだ。

さてKYismの読者なら、そろそろこの記事が批判モードに変わっていくのがわかるかと思う。
もちろん、このまま八女軽トラ市を解説して、よくある町づくりを紹介するメディアのように「八女軽トラ市は素朴ながら工夫が凝らされたコミュニティスペースで、八女には都会人が忘れた温かみがあった」なんてしょうもない文章で締めくくったりはしない。
本記事のタイトルにも書いた通り八女軽トラ市は経済効果がゼロであるし、イベントの全体を把握している責任者も不在なのだ。

経済効果がなぜゼロなのかというと、八女軽トラ市の運営者の誰も来場者数や売上を把握していないからである。
八女軽トラ市は、八女軽トラ市実行委員会が運営をしている。
実行委員会のメンバーは八女伝統工芸館八女商工会議所八女市役所の職員から構成されている。
私が各組織に八女軽トラ市の毎回の来場者数、売上を訊いてみたが、誰も答えられない
八女商工会議所はただ手伝いに来ているという感じ。
八女市役所は「伝統工芸館さんが把握してるんじゃないですか?」と話を濁す。
八女伝統工芸館は「今日も賑わいました!」と根拠もなく言い張っている。それも正式な運営会議でだ(おそらく探せば議事録が出てくる)。
実行委員会という曖昧な形式で運営しているせいで、責任者が不明なのだ。お互いがお互いに「いや、あいつが把握してるんじゃない?」と思い込んでいる。
しかも130回以上もそんな状態で八女軽トラ市を運営してきたので、いまさら誰かが主体的に運営体制を見直そうとはしない。
繰り返すがもう130回以上責任者不在のまま地方のイベントを開催してきたのだ。
八女軽トラ市のチラシを見る限り、問い合わせ先は八女伝統工芸館となっている。
ということは、本来ならば実行委員会の主体は八女伝統工芸館なのだ。
ところが、この八女伝統工芸館が肝心な来場者数や売上を把握していない。
最近八女伝統工芸館の館長が新しくなった。
もともと八女市役所観光振興課に勤めていた人である。
この新館長、経歴からして、さぞ地域に人を呼んでくれるのだろうなと思ったが、残念それは問屋が卸さない。
館長は、なんと八女軽トラ市のルールをよくわかっていないのだ。
自分がよくルールをわかっていないので、とにかく現場の運営はパート任せ
つまり八女軽トラ市の運営主体はパートという非正規社員に移ってしまった。
そもそも八女伝統工芸館の館長は基本的に改革をしたがらない。
なぜなら、歴代の館長は市役所を退職した人が天下ってやって来ているからだ。
そのため、数年なんのトラブルも起こさず館長席に座っていたらそこそこの給料をもらえて余生を過ごせるのである。
わざわざ八女軽トラ市のために尽力しようなんて思わないだろう。

さて、この八女軽トラ市はどうやって経営しているのだろうか。
運営がパート主体であることは前述の通りはっきりした。
次は八女軽トラ市のお金について記述していこうと思う。
八女軽トラ市は出店者からの出店料で賄っている。
出店料は一店舗につき¥500
ちなみにこの¥500は税込みなんだろうね。そうじゃないとおかしいもんね。
一回の八女軽トラ市辺り出店数は19〜23。
平均するとだいたい20店舗である。
ここで簡単な算数。

¥500×20=¥10,000

ん?
えーと、これ八女伝統工芸館と八女商工会議所と八女市役所が共同でやってる事業だよね。
それなのに売上が¥10,000??
まあ、置いとこう。
この売上から経費を引いていく。
この記事の最初の方に書いた通り八女軽トラ市では「たまごのつかみどり」というイベントをしている。
掴み取るための卵は買わないといけない。
繰り返すが買わないといけないのだ!! 経費で!!
たまごのつかみどり」のための卵は八女軽トラ市一回辺り540個買う。
卵540個をいくらで買っているのか。
実は約¥9,500で買っている!!

¥9,500

ということは、出店料で売り上げた¥10,000から卵分の経費を引くと残りは¥500
八女軽トラ市の利益は一回辺り¥500なのだ。
いやいや、ちょっと待て、人件費は?? のぼり法被などの経費は??? 会場に音楽を流すために電気も使ってるんだよ????
そう。八女軽トラ市は大赤字なのだ。
なのに、それを隠している。
経済効果がゼロどころかマイナスだった。
八女軽トラ市は責任者不在で経済効果はマイナスだったのだ!!!

さらにさらに、八女軽トラ市にはさらなる問題がある。
八女軽トラ市には金を出せば誰でも出店できる。
「え? それの何がいけないの?」と思ってはいけない。
もしあなたがそう思ったのなら、それはあなたが地方脳になっている。
ここで軽トラ市ネットワークの公式サイトを見てみよう。

ここから先は

1,251字 / 2画像

¥ 150

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?