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作家たちの「入口」・(年代順)

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とっつきにくそうな作家や難しそうな作品の、分かりやすい「入口」をご提案します。
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記事一覧

ポストモダン文学の入口②(アメリカ編)~カート・ヴォネガット「スローターハウス5…

(ややネタバレ) 1950~60年代のアメリカ文学には、それまで主流であったリアリズム重視の文学…

福田尚弘
2年前
52

人それぞれの、孤独とぬくもり~『伊豆の踊子』川端康成

今回は、「伊豆の踊子」を取り上げます。 あまりに有名な作品ですが、終盤、舞台設定ががらり…

福田尚弘
1か月前
359

ビート文学の入口 「オン・ザ・ロード~路上」ジャック・ケルアック(改訂)

ケルアックは、バロウズやギンズバーグらとともに、1950~60年代アメリカの「ビート・ジェネレ…

福田尚弘
7か月前
248

ポストモダン文学の入口 ①(欧州編) ~サミュエル・ベケット(改…

「ポストモダン文学」は、第二次大戦後に生まれた前衛文学を指します。 この「ポストモダン」…

福田尚弘
7か月前
193

決して手が届くことのない「美」~ウラジミール・ナボコフ 『夢に生きる人』(改訂)

ナボコフは、19世紀末に帝政ロシアで生まれました。 しかし、革命後の1919年にイギリスへ亡命…

福田尚弘
1か月前
344

世界を、何となく覆う「悲しみ」~新美南吉『川』(他)

今回は、『ごんぎつね』であまりにも有名な新美南吉の作品群の中で、彼が晩年に残した「少年も…

福田尚弘
2か月前
300

サン=テグジュペリの入口~「星の王子さま」「夜間飛行」(改訂)

自身がプロの飛行士であったサン=テグジュペリは、その体験を題材とした小説を、全く異なった視点から描いています。 ①星の王子さま 世界中で広く愛されている「星の王子さま」。この物語の中では、「本当に大切なものは、目には見えない」というテーマが、表現を変えて何度も語られます。 ②「夜間飛行」 「夜間飛行」(1931)は一転して、空を仕事場に選んだ者が背負うべき使命と責任が、短い物語の中で厳しく描かれています。 サン=テグジュペリはパイロットとして活躍しながら小説を書き続け

永遠の今~『シッダールタ』ヘルマン・ヘッセ(改訂)

ヘッセは、詩と小説によって知られる20世紀前半のドイツ文学を代表する作家です。 「シッダ…

福田尚弘
2週間前
325

原人にだけ見える風景~梶井基次郎『檸檬』(他)

今回は、有名な『檸檬』を中心に、梶井基次郎の作品といくつかのエピソードをあわせて紹介して…

福田尚弘
3か月前
348

モーム「人間の絆」~ペルシア絨毯に込められたメッセージ

人生の意味とは? 「人間の絆」(1915)は、モームの自伝色が濃い成長物語です。 文庫版で12…

福田尚弘
5か月前
235

「ロスト・ジェネレーション」の入口~ヘミングウェイとフィッツジェラルド・ふたつの…

ロスト・ジェネレーション 1920年代から世に出たヘミングウェイらの世代は、「ロスト・ジェネ…

福田尚弘
6か月前
214

ヘミングウェイの入口②「老人と海」

(ほぼネタバレ) ヘミングウェイは、自身の小説のスタイルについて以下のように述べてい…

福田尚弘
2年前
93

モームの入口①「月と六ペンス」

(ややネタバレ) モームの小説には、テーマが具体的なものが多く見られます。 例え…

福田尚弘
2年前
120

モームの入口②「コスモポリタンズ」

(ややネタバレ) 「月と六ペンス」(1919)等の長編で知られるモームは、短編の名手でもあります。 いくつかの短編集がありますが、中でも10ページ前後の小話が30篇も収められている「コスモポリタンズ」は、少し時間が空いた時などに楽しめる一冊です。 生涯世界各地を旅したモームが、旅先で出会った個性的な人々を取り上げていきます。短い中で展開される話は切れ味鋭く、まさに職人芸と言えます。 その中のひとつThe Bum(浮浪者)は、エンディングの苦みが際立った作品です。 ウィ