♡今日のひと言♡谷川俊太郎 223 福田尚弘 2023年11月28日 21:50 『ネロ ---愛された小さな犬に』~ 二十億光年の孤独(1952)谷川俊太郎(1931~東京・詩人、翻訳家、絵本作家、脚本家)1952年に「二十億光年の孤独」でデビュー。以降、詩作にとどまらず、さまざまな分野で活躍を続けている。受賞作品多数。代表作に詩集「六十二のソネット」(1953)、「落首九十九」(1972)、訳詩集「マザーグースのうた」(1975)など。ネロ―― 愛された小さな犬に 谷川俊太郎ネロもうじき又夏がやってくるお前の舌お前の眼お前の昼寝姿が今はっきりと僕の前によみがえるお前はたった二回程夏を知っただけだった僕はもう十八回の夏を知っているそして今僕は自分のや又自分のでないいろいろの夏を思い出しているメゾンラフィットの夏淀の夏ウイリアムスバーグ橋の夏オランの夏そして僕は考える人間はいったいもう何回位の夏を知っているのだろうとネロもうじき又夏がやってくるしかしそれはお前のいた夏ではない又別の夏全く別の夏なのだ新しい夏がやってくるそして新しいいろいろのことを僕は知ってゆく美しいこと みにくいこと 僕を元気づけてくれるようなこと 僕をかなしくするようなことそして僕は質問するいったい何だろういったい何故だろういったいどうするべきなのだろうとネロお前は死んだ誰にも知れないようにひとりで遠くへ行ってお前の声お前の感触お前の気持ちまでもが今はっきりと僕の前によみがえるしかしネロもうじき又夏がやってくる新しい無限に広い夏がやってくるそして僕はやっぱり歩いてゆくだろう新しい夏をむかえ 秋をむかえ 冬をむかえ春をむかえ 更に新しい夏を期待してすべての新しいことを知るためにそしてすべての僕の質問に自ら答えるために『二十億光年の孤独』東京創元社(1952) 二十億光年の孤独 (集英社文庫) www.amazon.co.jp 616円 (2023年11月28日 14:55時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する ↑英訳付きのバージョン2023.11.28Planet Earth ダウンロード copy #現代詩 #谷川俊太郎 #二十億光年の孤独 223