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引き寄せ合う縁

2023/6/18

ヴァンヴィエンを離れ、首都ヴィエンチャンへ向かう。
オオヒラ君も一緒だ。
同じミニバンに乗り、同じ宿を予約した。

それぞれの旅路が交差し
行方を共に
そしてまた、お互いの道を歩む

そんな「らしさ」に憧れがあったのだが
ようやく叶った
彼にはとても感謝している


ヴィエンチャンへは約2時間程、特にトラブルもなく到着。

流石に首都なだけあり、街も比較的大きい。
そうはいっても、半日もあれば中心部を大体周れてしまいそうな規模だが。

宿にチェックインし、8人相部屋の2段ベッド下段に私、上段にオオヒラ君。

彼は早々に外出し、私はベッドで一休みする事にした。

『その前にまずトイレに行っとこう』

ドアを開けると、近くにいたインド人らしき男性が私に何か話し掛けてきた。

しかし、何を言っているのかわからない…。

聞き返すと、その男性は手洗い場の蛇口をキュッキュッと捻ってみせた。





なるほどOK!断水ですね!






もう何も驚かない





ベッドに戻り、ウトウトと微睡んでいるとオオヒラ君が外から戻ってきた。
それぞれのベッドで休み、しばらくすると相部屋のドアが開く音に気付く。

スタッフがベッドを手配し、説明している。
私はただ目を瞑り、寝転がっていた。

その時、聞こえた言葉


「サンキュー」





日本人の発音だ






「よいしょっ」






よいしょって言った…!




私はパッと目を見開いた。

と同時に上段からスッと顔を覗かせ、オオヒラ君がキラキラした目で私に話しかける。


「日本人っぽいっすね…!」


私は微かに笑い、コクッと頷き返事をした。
もしかすると、私達がルアンパバーンの相部屋で偶然出会った時の事を思いだしていたのかもしれない。
少なくとも私はそうデジャヴを感じていた。


その男性、ミツルさんはやはり日本人で、聞くとラオスで初めて自分以外の邦人と出会ったと言う。

「20年程前はもっと日本人が沢山いたのに」

と、今の余りの少なさに驚いていたようだ。

確かに当時バックパッカーが大勢いたという話は私も色々な本で読み、知っていた。

世界的に流行したコロナウイルスの余波。
それだけではないのだろう。
インターネット等で世界の情報が手に入りやすくなった事も影響しているのかもしれない。

まぁだからこそ、こんな時代に旅をしている人とは気の合う場合が多いんじゃないだろうか。

実際に見て感じないとわからない事がある

それを知りたい

その部分が共通しているからなのだと思う。


すぐに私とオオヒラ君、ミツルさんの3人は意気投合し、街で適当に見つけた店の軒先でグラスを交わした。


それぞれ世代も違うのだが、お互い旅をする仲間同士だ。
年齢の差など関係無い。
特に最年長のミツルさんは私達に気を遣ってくださり

「そんなん全然気にせんでええて」

とフランクに接してくれた。

夕刻前から日没後まで、初対面とは思えぬ話の盛り上がりの末、ミツルさんは一足先に宿へ。

私とオオヒラ君はナイトマーケットに立ち寄り、その後コンビニでカップラーメンとおにぎりを買い、

「今までありがとう」

と御礼を言い合いながら、宿へ戻った。



明朝、彼はラオスを離れ
タイへ入国する

そろそろお別れの時だ


2023年3月から世界中を旅して周り、その時の出来事や感じた事を極力リアルタイムで綴っています。 なので今後どうなるかは私にもわかりません。 その様子を楽しんで頂けましたら幸いです。 サポートは旅の活動費にありがたく使用させて頂きます。 もし良ければ、宜しくお願いいたします。