台北駅から十份、九份へ

2023/5/9

午前9時。
台北駅からMRT(地下鉄)に乗り、十份に向かう。

モンゴルで同部屋だったハウスメイトから

「九份の方が有名だけど、十份は願いを書いてランタンを空に飛ばしてくれるサービスがあるから、行った方がいいよ」

と聞いていたので、楽しみにしていた。

途中、端芳駅という所で乗り換えるのだが、駅員に確認すると丁寧に説明してくださり

「日本人ですか?」

と好意的に聞かれる。
台湾、ましてや観光地に来る日本人など珍しくはないはずだが、歓迎されている様で嬉しい。

無事に到着し、店が立ち並ぶ老街(ラオガイ)を練り歩く。

店員が、人も入れそうな程大きな袋を見せ

「どうですか?」

とセールスしてくるが

「すいません、結構です」

と躱し


街の端まで着いた。





『あれ?ランタンは?』




ネットで確認してみる。
空高く飛ぶランタンの画像を見て少し考え





『もしかして、あのデカい袋がランタン?』



来た道を戻り、先程の店員に確認すると
「そうだ」
と答えるので、1つお願いした。


『何かイメージと違ったけど、まぁいいか』

ランタン(袋)には多数の色があり、選ぶ事ができる。

私は【健康】を意味する赤にした。

それに願い事などを習字で書くのだが、いきなり聞かされても何を書いて良いのやら…。

とりあえず関わってくださる皆への感謝と健康、平安、幸せ、そして名前を書いた。

書き終わると、店員が写真を撮ってくれるというのでお願いすると、流石に慣れている様子でポーズを指定される。

指ハートなんて初めてやったよ…
たぶん最初で最後だ。

写真を撮り終わる頃には飛ばす準備が整い、手を離すとランタン(袋)は空高く昇っていった。

おぉ〜っ…!


十份はランタン発祥の地ともいわれているらしく、そこで飛ばせるのは嬉しいし楽しい。



それと同時に





『あの袋、どこに落ちるんだろう?』

『怪我とかゴミ問題とか大丈夫なのかな?』


と思ってしまった私は夢の無い人間である。



その後、十份のもう一つの見所といわれる十份瀑布を見に行く事に。

台湾のナイアガラ、と呼ばれているらしい。

適度に歩き応えのあるコースを40分程進むと、見えてくる滝。

静かに萌える山の木々と、止めどなく流れる滝
そのコントラストに自然の素晴らしさを感じる
歩いてきて見る価値は十分感じた


十份を後にし、今度は九份へ。
先程乗り換えるた端芳駅まで戻り、今度はバスで向かう。

運転手に

「九份まで行きますか?」

と聞くと、大丈夫だと答えてくれたので安心したが、考えてみるとバスは鉄道と違って毎度停まるわけではない。

降車客がいなければ、そのまま通り過ぎてしまう。

『まぁ、有名所だし他に誰か降りるだろう。見たら九份だとわかるはずだ』

そう思って余裕に構えていたら、ウトウトと眠ってしまった。






「九份に着きましたよ」


運転手に声を掛けられ、目が覚める。

後方の席に座っていたのに…。
本当に、何故こんなに親切なんだろう。

もう相手の人種とか国籍以前に、基本的に穏やかで優しい国民性なのかもしれない。
南の国らしいリラックス感というか、皆せかせかしていない。


バスを降り、九份老街を散策。

ここはジブリ作品のモチーフにもなったという話もある場所。
ジブリ通ではないが、当作品は私も印象に残っているので、楽しみにしていた場所だ。

細い道の両脇に所狭しと店が立ち並ぶ。
吊り下げられた照り焼きの鶏、大きい鉄鍋に入れられた惣菜、ぼんやりと明るい提灯。

たしかに、映画のシーンに似た雰囲気だ。

『ここで何か食べて豚になるんだよな』

昔を思い出し、懐かしむ。

ここに来たならば、やはり夜の崖に立ち並ぶ店の灯りの景色を見たい。

しかし時間はまだ16:00。
日没は18:30位との事。

もう一通り見たのだが、急いで帰る用事も無いので台湾ビールを飲みながら暗くなるのを待つ事にした。


しかし日没時間を過ぎても、いまいち思い通りにならない。

よく見ると、崖に立ち並ぶ建物は店だけではなく、むしろ民宿や民家の方が多い程で、それらが全て灯りを点けないと、有名なあの景色にはならない様だ。


『まぁそんな事はよくある。もう満足したし十分だ』


そんなわけで、帰りのバスとMRTを乗り継ぎ台北駅まで戻る。



これまで韓国、モンゴル、中国、香港と訪問してきたが、ここまで予定通りに進むのは初めてだ。
本当に不便無く暮らせる国だと思う。
※トイレットペーパーは水に流せない所が多い。


快適過ぎて、この先が少し不安になる。

2023年3月から世界中を旅して周り、その時の出来事や感じた事を極力リアルタイムで綴っています。 なので今後どうなるかは私にもわかりません。 その様子を楽しんで頂けましたら幸いです。 サポートは旅の活動費にありがたく使用させて頂きます。 もし良ければ、宜しくお願いいたします。