知る由もなく
2024/1/12
支度を済ませた私達は、市内の名所へ。
『おぉぉ…』
エジプト入国3日目にして初めて見る“それらしい”遺跡。
巨大な石像も然ることながら、至る所にびっしりと謎の絵柄が浮き彫りにされており、これが数百年前に記されたものかと思うと気分が高揚する。
昔よく見ていたテレビ番組「世界・ふしぎ発見!」そのもの。
思えば世界一周など夢にも思わなかった子供の頃から、こういった映像に釘付けだった。
それが今、こうして実際に目の当たりにするなんて、しかも台湾人女性のナスジャと一緒に…。
人生は本当にオモシロイ。
そんな私以上に魅了されているのが彼女だ。
ナスジャは「王家の紋章」という、エジプトをテーマにした日本の少女漫画に魅せられ、今でも自宅に置いて読んでいるらしい。
「夢みたい…!夢なのかな…♪」
と、彼女はいつもの本当にのんびりした口調ではしゃぎ、自分の頬をつねって笑う。
その嬉しそうな表情を見て私は初めて
『あぁ、エジプトに来て良かったな』
と安堵した。
時刻19:00。
すっかり暗くなった空を見上げつつ、相変わらず鬱陶しい客引きを躱しながら市内中心部の食堂へ。
夕食を終えた私とナスジャは宿に戻る。
彼女は女性専用の相部屋、私は男女混合という実質の男部屋だ。
いつもの様にバックパックから荷物を取り出し、シャワーを浴びる準備をしていると、隣のベッドから視線。
ふと見ると、そこには中国人の若者
いや子供だ
ニコニコとした笑顔で私を見つめている
私は「Hi」と軽く挨拶を交わし
シャワールームへ向かった
その後の事など当然
知る由もなく
2023年3月から世界中を旅して周り、その時の出来事や感じた事を極力リアルタイムで綴っています。 なので今後どうなるかは私にもわかりません。 その様子を楽しんで頂けましたら幸いです。 サポートは旅の活動費にありがたく使用させて頂きます。 もし良ければ、宜しくお願いいたします。