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連載小説【フリーランス】#10:完璧な仏像に似た

 最後の物件は井田が潜り込ませたダークホースだった。古くもなければ新しくもなく、駅から近…

illegirl
1年前

連載小説【フリーランス】#9:割れた風船の中には

 四軒目は駅近、近所にスーパーとコンビニがそろっており、クリーニング店や24時間営業のファ…

illegirl
1年前

連載小説【フリーランス】#8:マッチ&デートツアー

 日曜日の朝、不動産屋で幸代と正和の前に座ったベテラン風の女性スタッフは井田と名乗った。…

illegirl
1年前

連載小説【フリーランス】#7:人生はレディメイド

 一度口にしてしまうと、五年前から決まっていたように、“結婚”の二文字は当然の現実として…

illegirl
1年前

連載小説【フリーランス】#6:残されたまばたき

 あれから五年。五年もつき合っていれば二人しかいない車中の会話はささやかなものだ。あとひ…

illegirl
1年前
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連載小説【フリーランス】#5:マスゲーム襲来

 公演の一週間ほど前から、正和たちのグループは、連日仕事終わりでCLOSETに出入りを始めた。…

illegirl
1年前

連載小説【フリーランス】#4:風の強い日

「電話で予約した原ですが」 「少々お待ちください」  事務所のデスクでインターフォンのコールを受けた幸代が、エントランスまで出迎えに行くと、紺のスーツにビジネスリュックを背負った正和が立っていた。 「原さんですね、お待ちしておりました。このたびは当スペースをご予約いただき  ありがとうございます」  幸代が今も働く「CLOSET」は、イベントスペースとはいっても、限りなくマンションの一室に近い物件だ。ワンフロアに三部屋と給湯室、シャワールームとトイレのついた間取りはミニ

連載小説【フリーランス】#3:渋滞のハイウェイ

 20年後--。  山梨から東京への道に流れる時間はうんざりするほど煮詰まっていた。一本の…

illegirl
1年前

連載小説【フリーランス】#2:神々の大量虐殺

 幸代は少し離れたところで隠れるようにして立っている自分の像を手に取った。釈迦にも観音に…

illegirl
1年前

連載小説【フリーランス】#1:夜の教室

 闇が手足を投げ出して転がっていた。日増しに伸びつつある昼の名残で、生ぬるい夜気に当てら…

illegirl
1年前
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