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大学生の頃、

関西の新しい空港として、

関西国際空港がオープンした。

そのオープン前に、

新しい空港を見に行こうという話になり、

友達6人で、

関西国際空港に行くことになった。


自転車で。


私たちが住んでいるのは、

大阪で言うと、大体だが真ん中より少しだけ北の位置。

南に自転車を走らせる企画。

条件としてはママチャリ限定。

その当時、

変なノリが流行っていて、

喉が渇いたから牛乳を飲みに六甲牧場に行こう!

とか、よくわからない展開を楽しむことが、

私たちの中での青春だった。

しかし未だに、

どうしてオープン前の関西国際空港をわざわざ見に行こう!

ということになったのかはわからない。


確か、

朝6時集合でスタートした記憶がある。

行きは迷いながらもあってか、

8時間くらい自転車を走らせたと思う。

最初は会話しながら楽しくペダルを漕いだり、

意味もなく競争し始めたり、

元気いっぱいで過ごしていたが、

だんだん口数も減っていき、

休憩も多くなった。

「 誰なん、行こう言うたん!!」

と言うセリフが飛び交い始めたが、

誰も言い出しっぺとは名乗り出ず、

「 でも、ここで引き返しても面白くないしな〜 」

と、結局再び自転車を漕ぎ始めることを繰り返した。

到着したのは午後3時ごろだったと思う。

海の上に浮かぶ新しい空港に渡る大きな橋は、

オープン前で開通していなかったので、

結局、橋の向こう側に関西国際空港が見える場所から、

新しい空港をみんなで眺めた。

しばらくみんなで眺めた後、

「 誰や、行こう言うたん!!」

とみんなで笑い合った。


なぜか帰りのほうが自転車を漕ぐスピードが早く、

6時間くらいで住みなれた町に戻ってこられた。

どんどん疲れが見えて口数も少なくなり、

ただ早くこの旅を終えたいと、

一心不乱でペダルを漕いだ。

朝に集合した場所に無事到着して、

近くのファミレスでみんなで晩御飯を食べる予定だったが、

自転車を乗り続けていたことで、

全員のお尻の皮がベロンベロンにむけてしまい、

座る痛みを理由にご飯はキャンセルとなり、

そのまま各自、帰宅することになった。

「 誰が行こう言うたんや!!」。

いつしかその言葉が、笑いながら叫ぶ合言葉になっていた。


若かりし思い出。

有り余るエネルギーを、

意味のないことに捧げては、

意味のないことに、ただただ笑った。


それが今の自分にプラスになっているのかはわからないが、

「 とりあえずやってみようや!!」

「 面白いことになるかもしらんで!!」

と職場で、

周りのスタッフに声をかける自分がいる。


誰や、行こう言うたん・・・

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