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仕事ができなくて悩んだ私がGTDに出会うまで

入社して5年めの2006年5月28日に、私は『仕事を成し遂げる技術―ストレスなく生産性を発揮する方法』(デビット・アレン著)と『Life Hacks PRESS ~デジタル世代の「カイゼン」術~』(田口元著)に出会いました。

同じ日の日記には「月曜のミーティングの準備を金曜中にかならず終わらせ、週末の夜にぎゃーぎゃー言って妻に心配かけることをやめる」と書いています。「もうこれ以上は繰り返さないようにしたい」という当時の気持ちが思い出されます。

『仕事を成し遂げる技術』が提唱するGTD(Getting Thngs Done)というメソッドが目に入ったのは、憧れの自分とかけ離れた姿をなんとかしたかったからかもしれません。想定外のことがあれこれ起こったとしても的確に対応できる「水のような心」に惹かれました。

この3年前の2002年、新人研修を終えた私は、社内のソリューション開発プロジェクトに配属されました。当時のリーダーは紙のノートを愛用していて、自分のやることをびっしりと書き込んでいたのはもちろん、会議で新しく提案されたアクションをその場でメモしたり、チーム全員の計画表を見ながらメンバーの進捗を確認したりしていました。

ある同僚は、エクセルで独自のフォーマットを作り、タスクやスケジュールを管理していました。私とは別の部署に配属になったもうひとりの同僚にいたっては、自分のタスクだけでなく、リーダーや上司の進捗までつぶさに記録していて、プロジェクトの遅れを見つけては彼らに改善を働きかけていました。

仕事のできる人はみな、自分なりの管理術を身につけていたのです。

その一方で、関連プロジェクトの先輩が「いくら新卒ほやほやの若手であっても、自分の予定や行動を管理できるのは最低限のスキルだ」と言っているのを耳にしました。

前記事で書いたとおり、もともと私は、膨大なタスクやいくつものプロジェクトを格好よくさばいていくコンサルタントの姿に憧れていました。けれども、それはまだこの仕事のいろはの「い」に過ぎなかったのです。

もちろん、私も優秀な同僚や先輩たちのやり方を真似て管理表らしきものを作ってみました。ところが、なかなか期待した効果は得られません。ひとつのタスクさえ思いどおりに進まないことも多く、一日の終わりや週末には、予定どおりに終わらない仕事が山のように残っていました。

タスクやプロジェクトを管理することが特別なスキルを必要としたわけではありません。もっと基本のところでつまづいていました。会議で話されている内容がわからず議事録もまともにとれなかったし、割り振られた作業をどういう手順で進めればいいかや自分が作るもののイメージがわかなくて手が止まることもあれば、それでも周りにうまく質問できず、焦りながら時間だけが過ぎていくこともありました。

2005年、参加しているプロジェクトでも少しは活躍できている実感をもてるようになっていたころ、別の現場から週に2回だけ来てくれるアドバイザーの話をいつも楽しく聞いていました。自分が率いるチームで困っていることを相談しているのに、それはまるで楽しい課外授業のようでした。いつしか、仕事に関わる原則を教えてもらう貴重な機会になりました。

妻に心配をかけないようにといううしろ向きな理由だけでなく、師匠からの学びをもっと活かすためにも、自分のタスク管理をレベルアップしていきたいと考えるようになりました。状況に左右されることなく流れるように仕事をさばき、完了したものにチェックマークをつけていくGTDのやり方は、当時の私にとって希望の星だったのです。

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この記事は、倉園佳三さん・佐々木正悟さん主催「書き上げ塾 第九期」を受講して書いたものです。マガジン形式で更新していきます。


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