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温泉宿、夕食までの至福の時間ーおでかけがしたい。⑲ー


旅や散歩にまつわるエッセイ+写真のシリーズ『おでかけがしたい。』第19回。今回は、旅の悟りをひらいた、いわき湯本温泉とアクアマリンふくしまの旅。

名古屋から東京に出て、旅仲間・友人Rと合流し、特急ひたちに乗って福島へ。いわき湯本温泉の湯質がめちゃくちゃいいとテレビで観て、それを目的に旅を計画したのだけれど、その前に、寄りたい場所があり常磐線に乗り換えて大津港(茨城県)でいったん下車。駅から15分ほど歩くと、のどかな景色に突然どピンクの建物があらわれる。
最初の目的地、シーフードレストラン「メヒコ」。

カニ料理が有名なお店だそうで、けれど、鍋じゃなく洋食というのが珍しく気になったので来てみた。人気のお店らしく予約がいっぱいで、1時間ほど待つ。注文したのはカニクリームコロッケとカニグラタンと名物カニピラフ。どれもどっさりカニがのっていてちょっとお値段は張るけれど、味は庶民的な懐かしい味。他のテーブルを見るとほとんど団体客だった。地元の人が「ハレの日」に行くちょっと特別なレストランみたい。

ちなみに、交通の関係でこの店舗を選んだのだが、福島や東京にもお店があるらしい。一部店舗では、フラミンゴを見ながらカニをいただくというシュールな演出もあるそうな。

満腹になり、あらためて宿へと向かう。今回は奮発して良い宿をとったのでお部屋も広々。和室だがふかふかのベッドがある。
時刻は15時。
夕食は18時45分からで予約済。大型テレビ、机にはお茶セットと温泉饅頭、窓から見ればすぐ向かいに「温泉神社」なるものがある。宿内の大浴場はすぐに入れるし、近隣には風情ある公衆浴場も。そういえば、1階にはおしゃれなブックスペースがあった。
そんな魅力的な選択肢のなかから、我々が夕飯までのあいだに何をしたかというと、
昼寝である。


私もRも実は昨夜、仕事やら何やらでかなりの寝不足。しかもカニで腹を満たしてしまった今、もう、目を開けていることすら辛い。というわけで、揃ってふかふかベッドに包まれてなんと3時間も昼寝した。

片道約5時間かけて辿り着いた温泉宿で3時間昼寝。
これを勿体ないと思う人もいるだろう。いや、私だって20代の頃だったら、きっとそんな時間の使い方などせずとにかく「何か」をしたがったはず。けれど、30代後半の今はこの昼寝こそが至福のひとときだと悟ったのである。
見知らぬ土地の温泉街で、清潔なふとんにすっぽりおさまりぬくぬくと、何の憂いも焦りもなく眠る。しかも真昼間。
これこそ真の旅の贅沢ではないのか?

眠りからさめ、大広間で豪華な夕食を楽しんだ後、お風呂の前に件の温泉神社でお参りし、向かいのローソンで風呂上がり用のアイスを買い、温泉に行った。大浴場も気持ち良かったが、露天はさらに気持ち良かった。
24時、ふたたびお布団に包まれて熟睡。
ああ、幸せ。

翌日は湯本駅に戻って電車とバスを乗り継ぎ、アクアマリンふくしまという環境水族館へ。
ここの施設は外見がおしゃれなだけじゃなく、展示の見せ方がとても斬新。屋外と室内をうまく組み合わせて順路が成り立っており、水族館独特のこもったような匂いをほとんど感じない。また、水槽の配置も、人の目線などを計算して設計されており、珍しい角度からいきものたちを観察できる。

エトピリカ(ウミスズメ科)のラインダンスみたいな水かきと、水槽に映った私の脚。


いちばん驚いたのは、釣り体験コーナー。釣った魚は「全て食べて帰っていただきます。」というルールで、食べきれる分しか釣ってはいけない。調理法は唐揚げ一択らしく、目の前の調理場で店員さんが忙しそうに揚げていた。

ただ見世物にするのではなく、自分たちが生きるこの世界で共存するものたちのことを考える、そんなきっかけになるような素敵な水族館だった。

12月だったので、クリス「鱒」ツリーが。





今週もお読みいただきありがとうございました。いわき湯本温泉、噂に違わぬ良いお湯でした~。
アクアマリンふくしまは、水族館好きな方にはぜひおすすめです!

◆次回予告◆
成人式の思い出

それではまた、次の月曜に。


*宇佐江のおでかけシリーズ。その他はこちら↓


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