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ひとりで美術館ハシゴ旅/4.富山県ーArtとTalk㉜ー

皆さんこんにちは、宇佐江です。
今回は、1つの都道府県に的を絞り美術館を複数めぐる「ひとりで美術館ハシゴ旅」第4弾、富山編をお送りします!
ちなみに前回はこちら↓

かねてから、行ってみたい施設が沢山あった富山県。調べてみると、お得な「アートのまちめぐりパスポート」というのも販売されているそうで。こちらについても最後にまとめを書きますね。
早速、出発!


☆「ひとりで美術館ハシゴ旅」について☆

・記事の内容は宇佐江個人の主観や感想に基づくものです。公式なものとは一切関係ありません。
・タイムスケジュール優先の旅ですので、各展の適切な鑑賞時間より短い場合があります。
・美術館に関する情報は、各施設のHPや広報等を一部参考にしております。
・館内はスタッフさんに確認の上、写真撮影しております。
・情報は当時のものです。実際に行かれる際は各公共交通機関や施設の最新情報を必ずご確認ください。


(本文はエッセイ形式でお送りします)


①11:35~12:30/富山県水墨美術館

◆開催していた主な展示『川合玉堂展』

美しい日本庭園に面した「和」の美術館

訪れた日:2023年8月の平日
移動①…名古屋7:37発→米原8:02着(新幹線)/米原8:10発→金沢10:05着(しらさぎ)/金沢10:34発→富山10:57着(新幹線)
富山駅→トヨタモビリティ富山Gスクエア五福前(市内電車)から現地まで徒歩約10分

少しでも早く現地に着きたくて、名古屋発のしらさぎをパスして米原経由で。帰りの電車は18時20分発、約7時間の富山滞在。
さて、いくつ美術館をまわれるかな?

久しぶりの富山駅はめちゃくちゃ発展していて、まるで未来都市!駅構内を貫通するように走る市内電車に乗り込んで、ひとつめの美術館、富山県水墨美術館へ向かう。最寄の市内電車駅からは1本道。天気が良いのは嬉しいが、暑い~と参っている私の行く先に、涼やかな日本庭園が広がっていた。

平成11年に開館。館の名称の「水墨」は、単に水墨画を指すだけでなく、広く日本の美を表す意味がこめられているそう(同館ウェブサイトより)。贅沢な平屋造りで、建物内から眺めるお庭がまた、美しくてうっとり。
玉堂は、色んな場所でたびたび企画展が開催されるけれど、いつ観ても背筋が伸びる。日本画は、描く人の心の美しさがそのまま絵にあらわれる画材だなといつも思う。

館内からの眺め

移動②…トヨタモビリティ富山Gスクエア五福前→(丸の内で乗換)→グランドプラザ前(市内電車)

ーお昼休憩(13:05~13:30)ー


お気づきと思いますが、宇佐江は食欲旺盛です。


②13:35~14:30/富山市ガラス美術館

◆開催していた主な展示『日本近現代ガラスの源流』

中も外もキラキラ!

移動③…グランドプラザ前から徒歩数分

たくさんの商業施設が密集する「グランドプラザ」周辺でとんかつを食べ、リフレッシュして午後の鑑賞へ。

世界的建築家・隈研吾氏の斬新なデザインが遠くからも目をひく、平成27年開館の富山市ガラス美術館。「TOYAMA キラリ」という名称の複合施設に、富山市立図書館と共に美術館も入居している。
外観はクールな印象だけれど、中に入ると木材のあたたかみが感じられ、スタイリッシュなのに落ち着く。観光客にも人気なようで、外国の人や若者たちが多く訪れていた。鑑賞スペースは2階から6階まで。中心の吹き抜けになっているエスカレーターでの移動が楽しい。そして常に視界に図書館スペースがあるので、思わず寄りたくなってしまう。逆に、子どもたちも美術館を身近に感じられそうで、いいつくりだなあと思った。


③14:40~15:00/ギャルリ・ミレー

◆開催していた主な展示『常設展』

商店街に突如現る、ミレー。

移動➃…富山市ガラス美術館から徒歩10分弱

今回、富山ハシゴ旅を計画して初めて、
「ここ、どんなとこだろう?」
と気になったギャラリー。フランスの巨匠、ミレーの風格ある写真の下に「越中富山」という旗が揺れているのが、なんともシュールである。

2012年に開館し、9月1日で11周年を迎えるというギャルリ・ミレー。ウェブサイトによると、収蔵作品はミレーをはじめバルビゾン派や写実主義の先駆者・クールベなど。入場料300円也を払い、たった1部屋ではあるけれど、薄暗い空間に鮮やかな19世紀フランス絵画がずらりと並んでいた。

作品と展示空間は富山市に本店を置く北陸銀行が提供。富山県、富山市、富山大学、中央通商店街などで構成された運営委員会によって運営されている(同館ウェブサイトより)。
都会であるパリを離れ、フォンテーヌブローの森のはずれにある、バルビゾンの美しい風景に魅せられて移り住んだミレー。
色々と便利で都会的な機能もありつつ、街を囲む山々の青い稜線や、広い空がハッとするほど美しい富山の景色を実際に目にしたら、この場所に、ミレーを選んだ人のセンスは素敵だなと思った。


➃15:15~15:35/秋水美術館

◆開催していた主な展示『徳川家・大名家の宝刀』

すべりこみの出会い。

移動⑤…ギャルリ・ミレーから徒歩約15分

ほんとうなら、ギャルリ・ミレーのあとはグランドプラザ前の市内電車駅まで戻り次の美術館へ行く予定だったけれど、時間に余裕がある。急遽もうひとつ、足を延ばしてみることに。

大通りに面した渋い佇まいの秋水美術館。下調べなく入ってみると刀剣の展示をしていたので見学。ふだんは全く見ないジャンルなのだが、唯一、長曽祢虎徹が展示されていて「『るろうに剣心』(©和月伸宏)に出ていた名前だ!」とテンションが上がった。空いていたけれど、刀剣女子(推定)が何人か、単眼鏡を手にじっくりと熱心に鑑賞していた。
ロビーの椅子が刀剣の形になっているのが凝ってておもしろかった。

スタッフさんにも「もしかして刀剣型ですか?」と思わず確認。


⑤16:20~17:40/富山県美術館

◆開催していた主な展示『大竹伸朗展』

空が映りこんでいる~。

移動⑥…グランドプラザ前→富山駅(市内電車)/富山駅から徒歩約15分

ああ~誰にも~見えない~涙を~乗せて走るよ、特急三日月宗近♪(「びじゅチューン!」特急三日月宗近 by井上涼さん)

秋水美術館の余韻で鼻歌を歌いながら、富山駅まで戻り徒歩でてくてく最終目的地、富山県美術館へ。方向が分からなくなったら、手前にある赤十字病院が目印になる。
「わあ…」とちかづくだけでわくわくする、大きな、空の映った美術館。

以前からぜひ!と思っていた美術館でしかも、東京会場に行き逃した「大竹伸朗展」が開催中。まずは展示をこころゆくまで堪能する。それにしても、富山県美の監視員さんのイッセイミヤケ制服、めっちゃ可愛い~。
私も着たい~。

富山市出身の滝口修造が構想に関わったという富山県立近代美術館が2016年に閉館し、翌2017年、新たなコンセプトのもと「富山県美術館」がオープン。展示室は広々としていて、ロビーの窓からは富山の絶景が一望できる。
また、富山県美といえば有名な「オノマトペの屋上」。
アートな遊具であそべる庭園で、美術館の閉館時間以降も、22時まで入場できるみたい。ちょうど暑さも和らいだ時間で、芝生に寝転がって広がる空を眺めた。

なんというか、

今日1日まわってみて思ったけれど、富山の街づくりってすごいな。


新しいものを臆することなく取り入れて、同時に、富山の持つ魅力を最大限に生かしている。「地元が美しい」という富山人の誇りを心地よく感じた旅だった。

オノマトペの屋上からの景色


「アートのまちめぐりパスポート」について

結果的に、日帰りで5つも施設をまわれた富山はアートめぐりにぴったり!そこで気になるのが、冒頭で紹介した「アートのまちめぐりパスポート」

富山駅の観光案内所やコンビニ、ネットでも購入(その後現地にて要引き換え)可能なのだけれど、使い方が少し難しくて私は今回、利用せず。

「600円で3ポイント綴り」のクーポン券で、最大3つの美術・博物館を巡れるが、施設によって必要ポイントが1だったり、2だったりとさまざま。そして観られるのは常設のみ。企画展が観たい場合はポイント使用プラス差額を払う場合や、企画展には全く利用できない展示もある。今回訪れた各施設のスタッフさんに都度確認してみた結果、もし私がこのパスを購入していたら、通常より500円ぶんくらい得したかなという計算になった。

企画展ではなく常設だけをゆったり巡りたい人にはおすすめ。企画展で使いたい場合は、施設によってではなく展示内容によっても使い方が変わるみたいなので、事前に直接施設へ確認してからが良さそう。





今週もお読みいただきありがとうございました。
金沢の美大に通っていた頃は名古屋からしらさぎ1本で行けた富山。しかし北陸新幹線が出来て以降、しらさぎは金沢止まりになり、富山へ行くにはだいぶ不便になってしまいました。その上、これは旅の後で知ったことですが2024年にはさらにしらさぎが敦賀止まりになって、金沢にすら直通で行けなくなってしまうそう……。もう、「敦賀、武生、鯖江、福井、芦原温泉、加賀温泉、小松、金沢…」という旅情を誘うあのアナウンスが聴けないなんて。ああわが青春のしらさぎ号。
でも、その前に富山行けて良かった。

何事も永遠ではない、思い立ったが吉日ですね。

◆次回予告◆
『美大時代の日記帳⑱』

それではまた、次の月曜に。


*今回訪れた施設*


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