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15年ぶりの京都 Vo.2

前回の続きです。
夫婦2人で、修学旅行みたいな京都めぐり。ならば金閣寺も見なければと訪れてみた。15年前と違うのは、金ピカのお寺本体よりも、水面に映る金閣寺の方に心を奪われるようになったことだ。

もちろん金閣寺も美しいけれど
草木のこういう姿に惹かれる

もっというと、どこをめぐっても、建造物や記念写真よりも、そこにある草木の美しさに心惹かれる自分がいるということ。

「今日の夕陽はなかなか綺麗だったよ」と、オフィスから撮った写真をLINEで送ってきたり、
「ほら月が綺麗だから、うさみみも見てみなよ」と晩酌しながら空を眺めたり、
「角のお家の花が綺麗に咲いていたよ、あれはなんていう花なんだろう」
とランニングから戻ってくるなり、報告してくる夫を見て、

「花鳥風月大好きおじさん」なんてからかっていたけれど、近頃は、私もそれを追いかけるようにして、草木や空の美しさを愛するようになっていくのを感じている。美しい季節だな、と純粋に思った。

それともうひとつ、前回にはなかったものといえば、「映え」という感覚だ。伏見稲荷大社と嵐山の竹林の小径ではとくに、それはもう熱心に人々はシャッターを押していた。

竹林の小径

伏見稲荷大社の千本鳥居の前で夫は、外国人女性にスマホの撮影を頼まれた。
夫は縦に横にと向きも変えながら、何枚もシャッターボタンを押して、彼女にスマホを戻した。そのときは、彼女もニコニコしていたのだけれども、その後すぐに別の人にも撮影をお願いしていた。それを見た夫は「気に入らなかったのかな」と落胆していた。━たぶん、夫は自分の撮影センスにはそこそこの自信をもっているのだ。SNSはあまりやらないのに、気に入った写真をしょっちゅう私に送ってくる━「まあ、そんなこともあるよ」と、私は夫に言った。

しばらく周囲を散策してから戻ろうとしたときに、またその女性が、同じスポットで別の人に撮影をお願いしているのが見えた。
どう見ても、同じような立ち位置とアングルに思えるんだけどなあ(笑)。それに、彼女も連れの男性も、サングラスはかけたままポーズを決めていたのだから、目をつむってしまったという問題も発生しないはず。

彼女の求める正解は、どんな「映え」だったのだろうか。わかったのは、彼女は気に入ったショットが撮れるまで、人にお願いし続けるということだ。ならば、夫もあまり気にしなくてよさそうかな。

先斗町にて

私達が訪れたときの京都は、日中は夏日みたいに暑くて、夜は冬に戻ったのかと思うくらい寒かったりして、おまけに雨がバラついたり、と。1日の気温差がずいぶんと激しかった。

日中はノースリーブやタンクトップになっている欧米人たちも、夜はライトダウンジャケットを着ていたりなんかして、その万全な装備に「さすがは気温差の激しい国から来た人たち!」と感心したのである。

ヨーロッパの人たちによくある、Tシャツの上に革ジャンという服装がピッタリくるような気温変動をする1日というのは、日本ではあんまりないですよね。
日本で、日中Tシャツでいられる季節には、朝晩だって革ジャンを着るほど気温が下がらないし、革ジャンがしっくりくる季節には、インナーがTシャツ1枚では寒くて……ということになる。
彼らのような、気温の振り幅への対応力を、ぜひとも身に着けておきたい。

そうそう、この旅行ではモバイルバッテリーを持ってくるのを忘れてしまったし、スマホケースをストラップつきのものに替えてくるのを忘れてしまった。致命的に不便なことはなかったけれど、「ああ、持ってくればよかったなあ」と思う場面がちょこちょことあった。

旅行や遠出を頻繁にしていれば、装備に関するスイッチも研ぎ澄まされていて、忘れ物をしないのだけれども、その頻度が下がるとそういう感覚も鈍ってしまう気がする。
今更ながら、今年はもっと出かける機会を増やしていきたいと思ったのだった。

鴨川沿い

鴨川沿い。ここで座っておしゃべりやピクニックをする人。自転車で通る人。ランニングをする人。観光客も地元の人も入り混じっている。周辺の風情や川の水の美しさと。
鴨川のある暮らしっていいなあ、と思った。なんにせよ、水辺の暮らしは私の憧れだ。

ここでお弁当食べたりとか、ぼんやりしたりするのもいいね。「でも、待てよ、暮らすとしたら、気を付けるべきことがあるかもしれない」と考えてみる。

最近読んだ小川糸さんのエッセイ集『卵を買いに』の「ルームメイト」の中で、鎌倉暮らしには、ムカデがよく現れるということが書いてあった。

ムカデに刺されると痛いらしい。ムカデは決してつぶしてはならない。なぜならつぶすと

仲間を呼ぶ信号のようなものが出るらしく、

『卵を買いに』小川糸・著 の「ルームメイト」より

だそうだ。つぶすと、もっと集まってきてしまうから、生きたまま熱湯をかけるだとか、ムカデを油につけておく(その油が、刺されたときの薬になる)だとかの対策があるらしい。

鎌倉暮らしも憧れのひとつだけど、ムカデが出るなんて想像したことがなかった。熱湯をかけるにしろ、油につけるにしろ、自分がそうしなければならない場に出くわすとしたら、ちょっとゾワっとしてしまう。

暮らし、ってそういう現実も込みなんだと、改めて気づかされる。

きっと、知らないだけでその土地土地ならではの「ルームメイト」がいるのだろう。バンコクで暮らしていたときは、ゴキブリだの、イモリだの、ネズミだのが現れたし。

実家では、ルームメイトではないけれど、庭への訪問者として、ハクビシンやヘビとかいましたよ。みなさんのお住まいには、変わったルームメイトなどいるのでしょうか?

次は15年も経つ前に、京都を訪れたいと思っています。

おしまい。

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