孫正義コミッショナー待望論

 ホークスが「めざせ世界一」を目標に掲げて、育成に力を入れているのはご存じでしょう。もしMLB優勝チームに真剣勝負で勝ったとして、ホークスの格が上がるとは思えないので、違和感があります。

 例えばプロアマ問わず、ヤンキースやドジャースのような名門チームからオファーが来るだけでも喜ぶと思いますが、ホークスからオファーが来たとして、MLBの選手が喜ぶでしょうか。MLBのチームに勝ったのはわかるけど、ピンと来ないという反応になると思います。

 ドジャースタジアムやフェンウェイパークのような、MLBでも歴史のあるスタジアムに行きたい日本のファンや選手は多いと思いますが、paypayドームに行きたがるMLBの選手やファンがいるとは思えません。申し訳ないのですが、フェンスが高く、ファールゾーンが広い旧式のドーム球場であるpaypayドームに魅力を感じるMLBの選手やファンはいないでしょう。「時代遅れのクッキーカッター」と一言で終わるでしょうね。

 ホークスを強化するのはいいのですが、NPB全体の格を上げるのはもっと大事だと思うのです。NPBの選手が活躍するたびに、「MLBに行って欲しい」という声を聞くたびに、「MLBで活躍した選手が日本に行けと言われるという逆はないよね」と寂しく感じます。NPBのチームが強気に今年FAになる大谷にオファーを出したところで、「NPBに帰ったらチャンピオンリングも取れないし、野球殿堂にも入れない」とあっさり断られるのは目に見えています。

 新日本プロレスの木谷会長は「新日は世界の中でもWWEに次ぐ二番目のプロレス団体なんです。でも、首位に大差着けられている二位だから、面白くないし、意味がないんです」と語っていたのをなにかで見ました。だからWWEに並ぶために、ネット配信を全世界に流したり、新日本が海外で興行を打っているわけです。そこには選手にWWEからオファーが来ても、「新日にいても世界規模のスターになれるし、ギャラも満足しているから行く理由がない」と引き抜きを断って、逆にWWEのスターを引き抜けるようになりたいという思いがあると思います。そういう発想がNPBにも必要だと思うんですよね。

 そこで、対MLBの考えが強い孫正義がNPBのコミッショナーになってはどうかと。「ホークスだけではMLBには対抗できない、全チームMLBを超えることを共有しないと、MLBは超えられない」と強化策を出すでしょうし。強化にお金が必要なら、欧州サッカーからアメスポまでやっている、球団株売買などのアイディアを出すでしょう。そうなるとNPBはもっと魅力的になると思うのです。

 「NPBのチームからオファーが来て嬉しい」という選手が増えたり、「魅力的な球場がある日本に行ってみたい」というファンも増えるようになって欲しいです。そうなると自然にNPBの格も上がるので、「MLBに行く必要がない」とスターがずっと日本にいてキャリアを終えたり、逆にMLBのスターを引き抜けるようになるかもしれません。

 そこまでNPBの格を上げてこそ、NPBとMLBのチャンピオン同士による真のワールドシリーズが実現すると思うのです。

追記 金子達仁が「Jリーグの選手が欧州に行くとき『世界への挑戦』というのは違和感がある。欧州の選手が自国以外のリーグに行くとき『世界への挑戦』なんて言わない。もっと大きいクラブでプレーしたい、契約条件がよかったという現実的なことしか言わない。Jリーグはもっとリーグの格を上げねばならない」と書いていたのを以前たまたま読んで、「これプロ野球にも当てはまるよね。」とずっと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?