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上位1%投資家になる第一歩:SEC開示を読み解く②


こんにちは、米国株式義塾です。 

「米国株式投資で必須の武器!SEC開示分析講座」第2回を始めましょう。

この連載では、米国証券取引委員会開示(以下SEC開示)を見て理解する方法についての講座を行います。 

第一回はこちらから


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伴走

短期筋であっても長期投資を狙う投資家であっても、会社のすべてを知って投資するのと、何も考えずに投資することには雲泥の差があるでしょう。 

これまでSEC開示分析に関する専門的な説明を提供するコンテンツはほとんどありませんでしたが、アメリカ株式義塾が、SEC開示のすべてを一つ一つ丁寧に解説していきます。

第2回では、SEC開示を実際に見ていきます。


SECの開示はどこで見られるの?

まず皆さんにお伝えしておきたいことがあります。 
SEC開示の見方は非常に難しく、量も非常に多いです。
年間報告書(10-K)、四半期報告書(10-Q)などの文書の場合には100ページを超える場合も多くあります。当然、内容は全て英語で書かれており、ある程度以上の英語読解能力があってこそ、無理なく内容を把握することができます。 

でも、「え、そんなのハードルが高すぎる!」なんて思わないでください。
グーグルの翻訳機能を活用すれば、はるかに簡単に読めてしまうのがSEC開示分析です。

100ページのレポートを最初から最後まで読む必要はありません。


よ、、よかった、、。


私たち、米国株式義塾がSEC開示の中で、必ず読まなければならない部分だけを丁寧に解説し、開示に登場するあらゆる財務会計用語を一つ一つ分かりやすく説明します。 

では、SEC開示の見方を一緒に見てみましょう。

まず、このサイトにアクセスしてください。 

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米国証券取引委員会が運営するEDGARというウェブサイトですが、日本の有価証券報告書などが見られる電子開示システム、EDINETと似ているものです。 
開いてみると、このようにティッカー(銘柄コード)を検索できるウィンドウが表示されます。

とりあえず、TELL(Tellurian Inc)を検索してみましょう。TELLと入力すると、下に自動で銘柄が表示されるので、クリックします。

Form & Fileと書かれた欄にあるものがそれぞれの開示です。見てみると、同じ月であっても何度も開示が行われていますね。まるで秘密の書棚を明けてしまったかのようにたくさんの文書がずらずらと並んでいます。
「うわぁ、これを全部読まなければならないなんて絶望的だ…」
いいえ、お忙しい皆さんは全部読まなくても大丈夫。重要な開示だけに絞って分析すればよいのです。


最初に読むべき開示は

まずは、10-K(年次報告書)、10-Q(四半期報告書)、424B5(重要発表公示)を順番に読んでみましょう。残りはほとんど見る必要はありませんが、このコンテンツでは後に順番に扱っていく予定です。

#10-K開示とは?

1年に1度提出される年間決算報告書です。最も詳しく、会社の状況に関するほぼすべての内容が記述されています。ただし、企業ごとに会計年度締め切りの基準が異なっていて、ある企業は6/30が会計年度の締め切りである一方で、ある企業は12/31であったりするので、ここに注意する必要があります。

#10-Q開示とは?

四半期(3ヶ月)ごとに1度開示される四半期報告書です。会計年度締め切り基準で第1四半期、第2四半期、第3四半期、第4四半期と1年に計4回上がります。10-Kの内容と重複する多くの部分は省略されているので、四半期別の財務諸表や企業に起きた変動事項のみをチェックすれば良いです。

#424B5開示とは?

主に会社の資本と株価に大きな変動を引き起こす内容、すなわち有償増資やオファリング、社債発行、新株発行などを公示する文書です。例えば、オファリングの場合、「9/5から1株当たり5ドルで7千万ドルをオファリングする予定です」のような内容の公示がありますが、現在の株価に直接的かつ即座に大きな影響を与える公示であるため、必ずチェックする必要があります。

ここまで見てきた皆さんなら10-K、10-Q公示が一番大切なもののようだと掴めてきたでしょう。

「でも…見たい!と思ってもこれだけ膨大だったら探すのにも一苦労…簡単に見る方法はないの?」

もちろん、あります。
先ほどみたように、開示が頻繁に上がると、1年に一度の10-K、3ヶ月に1度の10-Qを見つけるのが大変です。フィルタリングする必要がありますね。
さっき検索したページでFiling categoryをクリックしてみましょう。
そして上から2番目にある「All annual, quaterly, and current reports」を押してください。

これで、上の画像のように、会社の年次報告書、四半期報告書のみを表示させることができました。 8-Kはそれほど気にする必要はないので、10-Kや10-Qの最新の日付のものを見つけて押すと右下にOpen Documentというボタンが出てきます。このボタンを押せば、フルバージョンの開示を見ることができます。
では、24/2/3に上がった10-Qをポチッと押しましょう。


Tellurianの10Q報告書

これで10-Q開示を開くことができました。
一度やってみればもうマスターできたはずです。


では、もう一つ便利な機能をご紹介!
先ほどのティッカー検索する欄の下にある「Browse filing types」ボタンを押して10-K、10-Q、424B5だけをチェックし、検索をすると、見るべき公示だけをもっと簡単にまとめて見ることができます。

おやおや。やってみると、10-K、10-Qの開示が全くない企業もありますね。なぜでしょうか?

通常、そのような企業があった場合、その理由は2つ考えられます。
1つはアメリカの企業ではない場合です。Legend Biotech Corp(LEGN)のような中国企業が中心ですが、米国証券市場に上場した外国系の企業があります。最近、中国の企業の株式はナスダックでスポットライトを浴びていました。これらの企業は、10-K、10-Qの代わりに20-F開示を年次報告書として発行します。こっそり10-Kを提出しなかったなんてわけじゃありません。
同様に、フィルタで20-Fと検索すれば見ることができます。

別のケースは、IPOを通じて米国証券市場に上場されたばかりの企業です。たとえば、上記の写真のCandel Therapeutics Inc(CADL)は、おそらく2021年8月に上場した可能性があります。上場後から行われた経営について年次報告書や四半期別報告書が出てくるため、当然上場してから一ヶ月も経たないこの企業は10-K、10-Qを見つけることができません。


新規上場企業の分析方法

では、新たに上場した企業はどのように分析すればよいのでしょうか?
上場したばかりでは10-Kなどの企業の「説明書」は開示されていないよね…?と思ったみなさんはさすがです、やっぱり分析したいですよね。
そんな場合でも大丈夫。
これらの会社がナスダックやニューヨーク証券取引所に上場する前も、当然経営活動をしっかり行ってきたとすれば、10-K、10-Qがなくても、代わりにDRSやS-1開示で情報を全て見つけることができるはずです。

DRS、S-1開示とは? 

DRSは登録明細書草案といい、上場前に投資家がその企業に関する情報を事前に読んで投資できるようにした投資説明書といえる文書です。10-Kと同様に、その企業の説明や財務諸表を含む非常に多くの情報が記載されています。 S-1は最終的に確定された登録明細で、DRSとほぼ同じではありますが、より最新の登録明細ですので、S-1だけ見ても構いません。


本日のポイント

  • SEC開示を見るとき、米国国籍の企業の場合は10-K、10-Q、424B5の開示を見る

  • 新規上場企業の場合はDRS、S-1の開示を見る

  • 外国国籍会社の場合は20- F開示を一番最初に見る。

第2回は、企業の特性ごとにみるべき開示文書をお伝えしてきました。
SEC開示の海原はまだまだ広いです。
今後も連載で読み解き方をご紹介していきます。
この連載で一緒にSEC開示分析をマスターしましょう。

※「米国株式投資で必須の武器!SEC開示分析講座」は連載となります。次回投稿までしばらくお待ちください※

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