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【巻き肩・猫背】自分でガチガチ肩甲骨を調整して正しい姿勢ゲット!

「この本質を知ってしまうと、それだけでエクササイズやストレッチ時間ゼロで施術も受けずに姿勢って改善するんですよね。でも、エクササイズもエビデンスがあるものがあって・・・」
今回は姿勢矯正に関する完全版動画です。習慣という本質から、エクササイズ、徒手療法などの施術まで徹底して語りました。

※このnoteでは整形外科医:歌島大輔が医学的根拠をもとに、わかりやく、かつ実践的な医療健康情報をお届けします。ときどき出てくる「ふんぞり男」とは、その名の通り、ふんぞり返って態度がデカい患者さんです。


良い姿勢ってそもそも何!?

ふんぞり男「おお、巻き肩とか猫背は無縁だな!なにせ、ふんぞってるからなぁ!そういうお前は猫背だよな。それは自信のなさの表れだぞ。俺を見習え!」

あ、いきなりごめんなさい、彼はふんぞり男さんと言って、まぁ、その名の通りふんぞってるわけです。あなたは大丈夫だと思うんですが、ふんぞることは、何も良い姿勢ではありません。おかげで、ぞり男さんは毎日、腰が痛い、肩が痛いと言っております。

ふんぞり男「うるせぇ!ぞり男って、略すな!じゃあ、何が良い姿勢なんだよ!」 そこら辺もしっかり話しますね!

こんなステキなコメントをいただいております。
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これまで巻き肩を治そうと色々試して来た事が思ったほどの効果が得られなかった理由に納得できました!そもそものデフォルトの認識を変えるべき!とは目から鱗です! 色んな事に応用できますね!有益な情報ありがとうございます^^ さっそくパソコンに「デフォルトを変える」と付箋を貼り今のコンフォートゾーンを抜ける意識づけに取り組んでいます。
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ありがとうございます。しっかりとご理解いただいたうえで、実践まで素晴らしいです。この巻き肩の記事で大事な点はちょっとストレッチやエクササイズしたくらいでは、長年染みついた姿勢習慣は変わらないこと。特に治療家さんにやってもらうタイプの〇〇矯正みたいな施術なんて、理論上無理だということ。

じゃあ、どうするかと言えば意識、認識を変えることが大事という話をしております。今回もそちらについて掘り下げますし、さらに、そうは言ってもセルフエクササイズが無意味、施術が無意味というわけではなく、活用方法によっては有効になり得ることをしっかり解説する、いわば姿勢矯正の完全版とも言える記事です。

そんな記事の最初に絶対伝えるべきは姿勢を正す意味、効果について。逆に言うと、姿勢が悪いとどんなデメリット、リスクがあるのかをしっかり理解することです。

ふんぞり男「は?そんなの知ってるぞ。老廃物が溜まって、痩せにくい身体になり、さらには内臓が」

あー、待って待って!ぞり男さん、思いっきり騙されてるじゃないですか!そんなん医学的根拠ないですよ!でも、ぞり男さんに限らず、こういう医学的根拠がない理由で姿勢を正す、もっと言うと、到底無理な骨格を矯正する必要性を植え付けられてしまい、そして、医学的根拠がない施術に時間とお金をかけてしまう。そんな人が多発しているようなので、ちゃんと根拠を提示しながら、姿勢を良くする意味、効果をお伝えします。

僕が言うことが全て正解だなんて、暴論を言うつもりはありませんが、最低限、この記事のように根拠を提示してくれているかは確認してください。根拠は「なんとなくそれっぽい」話じゃなくて、ちゃんとした医学論文や、多数の論文をもとに構成された医学教科書、ガイドラインなどになります。では、いきましょう。

巻き肩 猫背が及ぼすリスク、デメリット

「ほら、あなたはこんなに肩が前に出ています。この状態はこんなに危ないから、放置しないでください。でも、この骨格矯正コースは回数券でお安く受けることができます」

ふんぞり男「あれ?お前か?この前の治療院の院長は」

いやいや、そんなわけないでしょう。でも、そんな感じのことを言われたんですね。

僕、こういうのは大嫌いなんです。先ほども言った通り、たいてい、「こんなに危ないから」に根拠はない、示されてない。それって、本当にそれで良いの?良心の呵責はないのかなって思うんです。ですが、やはり、そういう根拠ないことを言う人を責めるよりも、そういう根拠ないことを言う人のことは聞かないという状態を作るのが大事だなと思って、こういう記事をお届けしています。でも、根拠あるリスクなら知りたいし、それを避けるために姿勢を正そうとするモチベーションになりますよね。

なので、変な矯正屋さんに騙されないで欲しいのと、でも、姿勢を良くするモチベーションを高めてほしいというのが、このパートの目的です。以下に良い姿勢を獲得するメリットを研究ベースでお伝えしてまいります!

腰痛・坐骨神経痛の予防・改善

こちらの論文(*2)では座る姿勢での仕事自体は腰痛などのリスクではなかったようですが、前屈みや体幹がねじれた姿勢での作業やそのような不良姿勢で長時間座っていると、腰痛や坐骨神経痛のリスクになると報告しています。

このメカニズムは容易に想像できますよね。姿勢が悪ければ、腰回りの筋肉にバランスの悪い負担がかかり、筋筋膜性の腰痛を引き起こす可能性がありますし、なんなら、筋筋膜性ってことで言えば、肩こりまで及んでもおかしくないですよね。

さらに、坐骨神経痛については椎間板ヘルニアとの関連が疑われます。前屈み姿勢などは椎間板に対する圧力が高まることは知られていることですので、その結果、ヘルニアによる坐骨神経痛が起こる可能性が考えられます。さらに

腱板断裂予防

というのもありますよね。僕のチャンネルではおなじみの病気・ケガですが、こちらの論文(*5)では不良姿勢のタイプと腱板断裂の有病率を調べてくれています。結果、理想的な姿勢の人は腱板断裂が2.9%だったのに対して、不良姿勢では50%前後にまで跳ね上がるという驚異的な結果を報告してくれています。この手の研究が他にあまりないので、果たして、ここまで姿勢と腱板断裂の関係性は強いのか、また、不良姿勢が腱板断裂の原因なのか、はたまた逆で腱板断裂が原因で不良姿勢になってしまっているのかもまだ明らかではありません。

ちなみに不良姿勢のタイプは骨盤から首まで背骨を横から見た配列でタイプ分けされています。ただ、いずれのタイプも結局、巻き肩や猫背につながりやすいという特徴があります。骨盤や腰と、首や肩甲骨は当たり前ですが、背骨で繋がっていて、互いに影響し合っていますので、骨盤や腰の姿勢が良くなれば、首肩の姿勢も良くなりやすく、逆に首肩の姿勢、つまり巻き肩や猫背が改善すれば全体の姿勢が良くなるという可能性は十分にあります。

頭痛予防

また、巻き肩や猫背などは結果として首回りの筋肉のバランスが悪くなって緊張が高まります。その結果、筋緊張性頭痛というタイプの頭痛を起こしやすいというのは昔から言われていますが、実際、こちらの学童を対象にした研究(*3)があります。こちらの研究では、まず不良姿勢は38.3%にみられ、男児に多かったと報告し、さらに、巻き肩と思われる不良姿勢が50%、反り腰と思われる姿勢は32%、猫背が31%だったようです。そして、姿勢の悪い子どもは、頭痛や首腰の痛みを訴える頻度が高かったと報告しています。さらにはメンタルにまで影響は及びます。

自信・自己肯定感アップ

こちらの論文(*1)は、世界中の論文を集めて、俯きがちの、まさに猫背&巻き肩のような姿勢と胸を張った開かれた姿勢を比較し、感情、メンタルに及ぼす影響を整理してくれています。その結果、誇り・プライドに関する感情の増大や、自分の考えに対する自信が高まることが報告されています。

さらに、(*4)良い直立姿勢をとると、自尊心の維持、否定的気分の低下、肯定的気分の上昇、発話速度の増加などが見られたと報告されています。猫背や巻き肩って客観的に見ても自信なさそうで、気分も落ち込んでいるように見えますが、実際にそういうマインドになる傾向があるってことなんですよね。

逆に言うと、気分が乗らない、凹んでいるときなども、ただ姿勢だけ胸を張ってみるとか、そういう対処法も選択肢かもしれませんし、そもそもベースの姿勢が良くなれば、気分良く、毎日過ごすことにつながりそうです。さらに、

痛みに強くなる

さきほどのこちらの論文(*1)では、痛みに対する耐性が高まる、つまり痛みに強くなるというような報告もあります。

例えば、シンプルな研究として、血圧を測る駆血帯で腕を締め付けて、どのくらいの圧力がかかったら痛みを感じるかというシンプルなテストなどで、開放型の姿勢だと、前屈みの猫背より痛み耐性が高まることが示されています。興味深いですよね。

さて、こんなにあるんですよね。僕が調べただけで。すごいですよね。姿勢の影響。しかし、逆に考えると、老廃物ドバドバとか、痩せやすい痩せにくいとか、リンパがどうこうとか、そういう根拠は見つからなかったということです。

ですから、これをご覧いただいた方には、この根拠を引用した情報のお伝えの仕方が、人の健康に関わる情報であれば、最低ラインであるとご認識いただきたいんです。そうじゃないのは、「ああ、根拠がない話をしているな」と思って欲しいんです。そうなると、情報を伝える側も根拠がある情報じゃないと、みなさま聞いてくれないんだなってことで、勉強するようになると思うんですよね。逆に情報伝える側が先に頑張れよって話なんですが、でも、誰でも情報を伝えられる現状では、受け取る側の意識の変化の方が近道だし、確実だと思っております。よろしくお願いいたします。

で、その上で、今回のたくさんあるメリット。逆に、姿勢が良くないと全部ダメってことじゃないです。そこまで大きなインパクトではないです。例えば、すごいインパクトがありそうだった、腱板断裂のリスクだって、姿勢をよくすれば腱板断裂が防げるかっていうと、そんな簡単な話じゃないし、当たり前ですが、腱板断裂してしまった患者さんの治療として、姿勢を良くしましょうでは何の解決もしないということもお伝えさせてください。 さて、では、この姿勢をよくする。特に今回で言うと、巻き肩と猫背を改善するための具体策について解説していきたいと思います。

ほとんどの場合は意識・認識で変わる

まずこれはお伝えさせてください。

こちらの動画▲で詳しく解説したのですが、こちらでは医学的根拠となる研究はご提示できておりませんでした。ですから、改めて解説したいと思います。と言いつつも、この場合は当たり前過ぎて研究結果を提示する必要があるか疑問に思う話でもあります。

それは、姿勢を変えるには習慣を変えるしかないということです。なぜなら、おそらくあなたを含めほとんどの人は、今、猫背巻き肩の姿勢を維持することもできれば、逆に極端に胸を張った姿勢を取ることもできるはずです。で、極端に胸を張らずとも、その間くらいのバランスが取れた姿勢をベースの姿勢とするために、まず意識を姿勢に向け続ける習慣や工夫がなにより根本的だってことです。逆にたとえ頑張って毎日通ったとして、1日24時間中の30分くらいストレッチしたり何かしらの施術を受けたところで、それ以外の時間を巻き肩猫背で過ごせば、何の意味もありません。

この後、ストレッチやエクササイズ、治療家さんの施術についても語りますが、本質はこの習慣を変える、そのために意識を変える、認識を変える、意識の維持のための工夫をする、これに尽きると言えます。そこで、

こちらの動画▲では肩甲骨のスタートポジションという表現を使いました。パソコンでブラインドタッチができる人はおわかりと思いますが、

パソコンのキーボードには指を置く基本のポジションがあります。それは両手の人差し指がFとJのキーに来る位置になりますが、そこに小さな突起がついています。ですから、キーボードを見ずして、常にスタートポジションに指を置けるわけです。このスタートポジションとして肩甲骨を内側に寄せて、そして、落とした位置をご提案しました。

極端にやるとお笑い芸人のオードリー春日さんみたいな感じになるので、そのイメージもお伝えしましたが、そこまで胸は張らなくても大丈夫です。ただ、猫背巻き肩の真逆の姿勢が春日さんの姿勢だというのはイメージしやすいですよね。また、胸を張るというだけでは肩甲骨が上に上がって、力んでしまいがちです。それでは逆に肩が凝ってしまうので、

胸を張るというよりは肩甲骨を内側、背骨に寄せつつ、大事なのは、力を抜いて肩甲骨を下げるという意識です。これによって理想に姿勢に近づくと考えています。

さらに、これは肩甲骨の位置の問題で巻き肩の改善の話ですが、結果的に猫背にもポジティブに働きます。なぜか。シンプルに言うと、巻き肩と猫背はほとんどの場合、セットだからです。巻き肩が完全に解消されて良い肩甲骨の位置を維持できる人は猫背にするのはしんどいです。それは肩甲骨と首背中をつなぐ筋肉の働き、バランスを考えれば当たり前の話です。

ためにし、このスタートポジションの肩甲骨の位置を維持したまま、頭の位置、もしくは首背中の姿勢をいろいろ試してみてください。

猫背は猫のようや背中、つまり丸まった背中を意味しますが、別の定義をすると前方頭位と言って、頭の位置が身体の軸より前に位置した状態です。しかし、その状態で肩甲骨だけスタートポジションに持っていくと、首や背中の筋肉がかなり張って、しんどいなって感じる人が多いはずです。ですから、楽な自然な姿勢は頭の位置も身体の軸上、つまり、猫背が解消された状態になる。そういう理屈です。

さて、ここで、コメントなどでもいただいたのですが、ごく少数の方で、このスタートポジションの位置に持って行けません。というお話がありました。春日さんの例を出したせいで極端な姿勢をしないといけないと思わせてしまったかもしれません。ごめんなさい。でも、肩甲骨の位置を無理に持っていく必要はないんです。これは意識の話ですし、現状の筋肉の状態は人それぞれ違います。ですから、肩甲骨を内に寄せながら、力を抜いて肩甲骨を落とした位置、姿勢が人と少し違ったとして、それでまずはOKです。胸を張れば張るほどいいわけじゃないです。現代医学においても、実は理想的な姿勢を厳密には定義はできていません。その上で、でも、どう考えても猫背巻き肩は良くないし、それは前半で話した通りですよね。

ただ、それでも側弯症や後弯症など明らかな骨格的異常がある人に対する理想的な姿勢が多少の猫背巻き肩である可能性はあります。そう言った意味で、スタートポジションは自覚的に力が抜けて維持できる良い姿勢という、ある意味、曖昧で抽象的な表現にしています。

と、スタートポジションのお話はこのくらいにして、このスタートポジションをまず知ること、つまり認識することと、意識することができるようになったかと思います。しかし、その意識を維持できないと、気がついたらまた、巻き肩猫背になる。そりゃ、長年染みついた姿勢であれば致し方ありません。

なので、意識の維持、もしくは頻繁に思い出す工夫が必要です。これはもう、自分に合った方法を可能な限りたくさん取り入れてみてください。いくつか例を挙げていきます。

1つ目。スマホのリマインダーアプリを使用する。僕はiPhoneを使っていますが、Androidも同じような機能があると思います。最初は1時間ごとにリマインドとしてメッセージが表示されるようにして、例えば「スタートポジション」というメッセージがスマホの画面に出るようにすれば、1時間に1回は思い出せます。それは流石に煩わしいと思いますよね。だからこそ、さっさと習慣化してそのリマインド頻度を落としていけばいいという、モチベーションにも、その煩わしさを活用できます。

2つ目は古典的ですが壁に張り紙したり、トイレに張り紙したり、PCのモニターに付箋を貼ったり、さらにスマホの待受に思い出すための工夫をします。これらは言葉としてスタートポジション、とか、肩甲骨、とかを書くのも良いですし、理想的な姿勢をしている写真も良いですね。さらにそれが憧れの人だと、マインド的にも良いかなと思います。

3つ目は周囲の協力です。単純にお願いするってことです。これから姿勢を良くしていこうと思うから猫背や巻き肩になってたら教えてと伝えることですね。見られている意識は姿勢改善には有効です。それに関連して鏡やガラスに写る自分を見るクセも良いかもしれません。他にも何か良い工夫があればぜひコメント欄で教えてくださいね。

この意識や認識に関して医学論文を紐解くと、例えば、こちらの論文(*7)では、手術室で働く看護師さんが対象の研究です。看護師さん82名に対してmotivational interviewingと呼ばれる面談による教育・指導を行ったグループと行わなかったグループにわけられました。そして、1ヵ月後、教育指導したグループではしなかったグループに比べて正しい姿勢をとる傾向が高まったとしています。この場合は、このような研究結果を持ち出さずとも、意識や認識の変化と維持が本質だって言うことに異論を唱える人は少ないかと思います。さて、ここまでが本質的な話です。

この本質を知ってしまうと、それだけでエクササイズやストレッチ時間ゼロで施術も受けずに姿勢って改善するんですよね。でも、エクササイズもエビデンスがあるものがあって、上手に使えれば、エクササイズが姿勢改善に役に立つことは間違いありません。ということで、

巻き肩・猫背改善エクササイズ

まずエクササイズの目的や効果効能みたいなものを確認しておきましょう。しつこいですが、どんなエクササイズもここまで解説した意識や認識、習慣という本質にアプローチしなければ無意味だというのが大前提です。そこに踏み込んでない、ただ、猫背矯正、巻き肩矯正を謳って、エクササイズプログラムをひたすら流すような記事は・・・もう言わなくても大丈夫ですよね。

さらに、そういう記事って、何種目もエクササイズを紹介して動画の尺を持たせようとしていたり、視聴者さんの満足度を上げようとしますが、そんなに数や種目の種類は必要ないです。もっとシンプルに習慣化しやすくするべきだと常々考えています。

そのためにも、エクササイズやストレッチの目的を整理して理解していただきたいんです。通常のエクササイズやストレッチは筋力強化、筋肥大、筋肉や関節の柔軟性向上が目的です。そして、この場合もそれは1つの目的です。

しかし、もっとはるかに大きな目的があります。それは意識・認識・体感の強化です。なぜなら、本質は意識や認識にあるからですね。しつこいですが。逆に言うと、良い姿勢ができず巻き肩、猫背になってしまう人って筋力不足や筋肉がカタいからそうなってしまうわけではありません。もちろん、不良姿勢の結果、筋肉のバランスが崩れることはありますが、意識すれば良い姿勢を取れるというほとんどの人においては、そこは本質じゃありません。 さらに言うと、良い姿勢の意識を維持さえできれば、自然とその良い姿勢の筋バランスになっていくに決まっています。ですから、筋力が上がれば、筋肉の柔軟性が上がれば、良い姿勢になるというのは妄想です。本質を見失わないでいきたいですね。

その本質である意識や認識ですが、それはセルフエクササイズで感じる体感が大事です。セルフエクササイズでは少なからず筋肉が使われてたり、伸ばされたりして、時に疲労感、時に心地よさを感じます。これはセルフエクササイズをしないと感じられないものです。その疲労感や心地よさは良い姿勢を維持するためのトリガーになります。きっかけですね。

毎日繰り返せば、毎日、強烈に体感として良い姿勢を思い出すことができる。そこに本質があると考えます。あとは、人の感情として、誰もが持つ、損得感情も活用できます。

ふんぞり男「あー、待て待て。ありがち過ぎる間違いをするな!損得勘定のかんじょうは、こっちの勘定だぞ!漢字が違う!」

わ、物知りですね!ぞり男さん。でも、ご安心を。敢えてです。損得を人は気にするじゃないですか。その傾向、その気持ちを損得感情として、日本語的には間違ってますが、使ってます。

で、続けますが、やはり、わざわざエクササイズに時間と労力をかけたら、そりゃ効果を出したいじゃないですか。じゃないと、その時間と労力は無駄ですから。そうなると、毎日エクササイズしたら、その分、姿勢に対する意識も高まるのは当然と言っていいでしょう。

それをご理解いただいた上で、具体的なエクササイズにいきたいのですが、今回はこちらの論文(*6)をご紹介します。こちらは猫背といってもいい、前方頭位という頭が前に出た姿勢と巻き肩に対して、効果的なエクササイズを3種類比較してくれています。その3つはマッケンジーエクササイズ、一般的なセルフストレッチ、ケンドールエクササイズの3種類です。それぞれの名前は覚える必要ないのですが、いずれのやり方でも、1日25分のエクササイズを週3回、2ヶ月行っています。そして結論、すべてのやり方で、猫背も巻き肩もどちらも数値的に明らかな改善が見られました。その中で一番数値的に改善したものを、僕なりに勝手に修正して、やりやすいように紹介しますが、何より大事なのは、どのやり方でも改善したってことです。

もちろん、何でもいいってわけじゃないんですが、良い姿勢、つまり、猫背や巻き肩が改善する方向に刺激を加えるエクササイズやストレッチならばたいてい改善すると考えています。なぜか。それは僕の仮説ですが、先ほどの本質である認識と意識と意識の維持に役立つからです。なぜなら、エクササイズやストレッチによって、「なるほど、この感じが良い姿勢、猫背巻き肩が改善した状態で、そういう方向性なんだな」っていう体感を認識できます。そして、その感覚は25分もやればしばらく残りますし、今日も姿勢改善の為に頑張ったというマインドの影響もあって、その良い姿勢の体感、その意識を維持させてくれます。25分もエクササイズして、姿勢変わらなかったら、ホント時間の無駄じゃないですか。それって嫌ですよね。だから自然と、本質である意識と意識の維持ができるんだろうという僕の仮説です。

ふんぞり男「いや、お前、性格悪いな。素直に、筋力アップしたり、柔らかくなったんじゃないのか?」

はい、もちろん、それもありますよね。否定はしません。ただ、たった2ヶ月でどこまで筋力が上がるのか、週に3回だけでどれだけ柔らかくなるのか、ちょっと疑問です。

ですから、この仮説にはかなり自信を持っていますが、一方で、結局仮説ですし、さらに、どっちにしたってエクササイズで効果がでているのが事実ですから、やってみてもいいですよね。

ということで、この論文で数値的に特に巻き肩が改善したエクササイズが実はケンドールエクササイズでした。論文は全文が公開されているので興味ある人はぜひ読んでみていただければと思いますが、ここでは25分なんて大変なエクササイズじゃなくて、むしろ1回30秒でOKだと言えます。というか、そういうものに僕が勝手に変えてしまいました。

ではやってみましょう。(▼の動画の21:36からご覧ください)

1.まず両手を後頭部で組んで胸を思いっきり張ります。結果、肘も後ろに張ります。これによって肩甲骨が寄りますよね。これだけで巻き肩の真逆の状態で、さらに、背中の背骨である胸椎が反るんですね。これも猫背と逆の状態です。

2.つぎにその両手で後頭部を前に押します。この時に胸を張った状態を維持します。そして、後頭部を押します。これちょっと難しいですよね。通常、胸を張った状態を解除したら、後ろから押しやすいんですけど、胸を張ったままです。肘も後ろに張ったまま。そうすると、後頭部の押し方はこんな感じで手も反った形で押す方が押しやすいです。そうすると、首の後ろがストレッチされるんですね。このときの首の動きはお臍が見えるような感じでうつむく感じになります。顎を引くと言ってもいいですね。逆にアゴが上がってしまうと、思いっきり不良姿勢方向になるので注意してください。

3.最後に後頭部を押していた手の力を緩めますが、首の位置、アゴの引きっぷりは変わりません。これはつまり、自分の顎を引く筋肉を使うということです。

この状態で10秒。これを3セットやりましょう。結構、キツく感じるかもしれませんが、それがいいですよね。そして、30秒ちょっとで終わります。

この30秒ちょっとを1日に3回とか4回やるほうが、意識や意識の維持には効率的じゃないかなって思います。人間は忘却の生き物ですから、1日1回集中してやるよりも、1日に何度もちょこちょこやるほうが意識は維持しやすいんですね。ですから、僕はこちらの方法をオススメします。

もう1回やってみましょうか。

1.両手を後頭部で組んで、肘と胸を張ります。

2.その姿勢のまま両手で後頭部を前に押して、首の後ろをストレッチします。アゴを引くような動きになるように注意します。

3.その状態を維持するように両手を離し、10秒維持します。維持するためにはアゴを引く筋肉、胸を張る筋肉に力を入れないといけませんし、逆に猫背、巻き肩で緊張、短縮してしまう胸周りの筋肉、首後ろの筋肉はストレッチされます。

これは巻き肩と猫背、両方に一気にアプローチしちゃう欲張りエクササイズで、ちょっと難しいなと感じる場合は、1つめの胸を張るという動きと、2つめのアゴを引く動きを別々で10秒ずつストレッチしても良いかと思います。ぜひ、やってみた感想を教えてくださいね。では次、

猫背矯正・巻き肩矯正にお金を払う意味は?

ここまでのお話を理解していただくと、じゃあ、世にある〇〇矯正を謳う施術をされる治療院について、疑問が出てきますよね。まず、

こちらの動画で徹底解説した通り、骨盤矯正や背骨矯正など骨格を矯正するような施術は医学的な正しさは僕には見つけられません。よくあるのが、「ほら、ここがズレてるから、矯正しましょう。30回通ってもらえれば治ります」みたいな話です。本当に骨格や関節がずれているなら、それは手術で金属を使って関節を矯正した状態で固定するなど、かなり大きなことをしなくては変わりません。それを徒手療法など、手術以外の方法で達成するのは無理な話です。100歩譲って、四六時中装着する前提で側弯の矯正装具をつけることで、側弯症の進行予防ができるとする研究はありますが、それも進行予防でしかありません。

ふんぞり男「はいはい、わかったよ、わかった。それが正しいんだろうよ!でもよ、やってもらいたいんだよ。なんか、やってもらったら、良くなる気がするんだよ。その気持ちをわかってくれ!」

いや、わかります、わかります!ですから、ちゃんと選べば、僕はお金を払って姿勢を改善する施術に通うことも選択肢だと思っています。ただ、そのためには通う治療院の選び方と通い方がめちゃくちゃ大事です。

まず選び方で言うと、少なくとも先ほど言った通り、骨格を矯正するという医学的にどう考えても正しくないだろうっていう説明があったらアウトだと思ってください。このシンプルな基準で考えると、現状では大抵の治療院は厳しいということになるので、まずよくよく調べることが大事です。さらに大事なのは、痛みを伴う施術をするところは選ばないということです。姿勢を改善するという意味で、施術そのものが果たす役割は大きくありません。施術をしないと改善しない姿勢などというものはないと言ってもいいくらいです。

ですから、施術は可能な限りノーリスクであるべきで、そうかんがえたら痛みを伴ったらダメです。それだけ、強い力が加わっているから痛みが出るわけで、もしくは、もともと悪い場所に悪い負荷をかけているから痛みが出るわけで、その痛みが必要な痛みであるわけがない。そう考えていただきたいです。手術で背骨や骨盤などのズレを矯正するときって、万が一、麻酔なしでやったら一瞬で気絶するくらいの激痛だと思います。つまり、骨格を矯正する、動かす時に激痛が走るのは当然なんですが、それは本当に骨格が矯正されるならば許される話で、それもちゃんと麻酔をした上でやるべきです。「あなたの骨格を矯正するために必要な痛みだから我慢しなさい!」って言われて、実際は何も骨格は変わってないってヒドくないですか?

ふんぞり男「そりゃヒドいけどよ、ホントに骨格変わってないのか?なんかラクになった気がするぞ」

それはオフセット鎮痛と言って、痛みを感じた後に痛みがラクになるという脳の働きでしかありません。僕が知る限り、徒手療法で骨格が矯正されたとするレントゲンやCT画像を拝見したことが一度もありません。

もちろん、そういう情報も僕はアンテナ立てているので、時々拝見するんですが、画像の条件が違うだけとか、ズレじゃなくて、単に関節が通常可動域内で動いてるだけとか、そんなんばっかりです。骨格が変わると言うなら、それを医学論文として証明しないといけないわけですが、それがなされてない現状、痛い施術は受けないとするのを強くオススメします。

ふんぞり男「わ、わかったよ。そこまで熱く言われると、そうするよ。じゃあ、どんな施術、どんな治療院ならいいんだよ」

ここまでお話しした内容をもとに、僕の個人的な意見を述べますと、まず痛くない施術を大前提とした上で、目的を「姿勢の意識・認識の改善・維持」とする治療です。この時点でほとんどの治療院が脱落します。なぜか。それは、そういう指導はほんのわずかで、ヒドいところになると回数券を売りつけて、ひたすらに同じ施術をする。というところが多いからです。そんなもので姿勢が良くなるわけがありません。あ、そういうところが多いというのは、僕が実際に調べたわけではないので、科学的ではありませんね。あくまでも僕の印象です。そうじゃないところもあるでしょう。つまり、そうじゃないところがオススメということです。

回数券を売るとしても、何回目でも解約できるところ、同じ施術をひたすらするのではなく、良い姿勢とはどういう状態なのか、徒手療法も用いて、あなたに教えてくれて、そして、その維持方法を指導してくれるところ。これに尽きます。そんなところがあるのか?と言われると、わかりませんが、もしあればぜひ教えてください。僕も猫背なんで、一度行ってみたいなと思います。

ふんぞり男「やっぱり、お前が猫背なんかーい!」(ちーん)

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参考論文

【*1】 Carney, D. R., Cuddy, A. J. C., & Yap, A. J. Psychological Science (2015). Review and Summary of Research on the Embodied Effects of Expansive (vs. Contractive) Nonverbal Displays.
【*2】 Angela Maria Lis, et al. Eur Spine J.2007 Association between sitting and occupational LBP
【*3】 Jana Kratenová , et al. J Sch Health. 2007 Prevalence and risk factors of poor posture in school children in the Czech Republic
【*4】 Nair. S, et al. Health Psychology. 2015 Do slumped and upright postures affect stress responses? A randomized trial.
【*5】 Atsushi Yamamoto et al. J Shoulder Elbow Surg. 2015 The impact of faulty posture on rotator cuff tears with and without symptoms
【*6】 Do Youn Lee, et al. J Phys Ther Sci.2017 Changes in rounded shoulder posture and forward head posture according to exercise methods 【*7】 Z Moazzami, et al. Journal of Research and Health, 2013 Correct body posture in nurses: an application of motivational interviewing

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