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【詩】お月様がひとりじめ

 暗闇の中から浮かび上がる
 一輪の赤い花
 赤いつぼみは固いまま
 いつになったら開くのでしょう

 暗闇の中から浮かび上がる
 一輪の赤い花
 赤いつぼみはやわらかい
 いつになったら開くのでしょう

 暗闇の中から浮かび上がる
 一輪の赤い花
 赤いつぼみがふっくらと
 いつになったら開くのでしょう

 暗闇の中から浮かび上がる
 一輪の赤い花
 赤い花びらふんわりと
 いつになったら開ききるのでしょう

 暗闇の中から浮かび上がる
 一輪の赤い花 
 赤い花びらふわふわと
 いつになったら開ききるのでしょう

 暗闇の中から甘い香りが浮かび上がる
 一輪の赤い花
 満開というにはまだ早い
 いつになったら開ききるのでしょう

 暗闇の中から甘い香りが浮かび上がる
 一輪の赤い花 
 月の光に照らされて
 誰にも見られず開ききる

 誰もみてくれない
 誰もみてくれない
 赤い花びらひとひら落ちる
 見えぬ涙をこぼしながら

 誰もみてくれない
 誰もみてくれない
 赤い花びらふたひら落ちる
 緑の葉っぱにもたれかかるように

 赤い花びら散っていく
 お月様の明かりに包まれて
 ほうっとため息つくように
 光の中で咲き誇っていた

 最後の花びら散り終えて
 お月様の明かりが消える
 暗闇の中で香りだけ
 誰にも見られず残ってる

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