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【詩】一生に一度だけの

星のかけらが流れていく
あっちからもこっちからも
いつもなら
流れ星は貴重なもの
ひとつの星のかけらが流れていく
そのたったひとつのために
夜通し空を眺めて待った
待っても待っても流れないこともある
あまりにネオンが明るくて
見逃したこともあった

それがどうしたことだろう

広い草原に陣取った
眼下に暗い森が広がる
どこかで流れる川の音
凍りそうな白い息を吐いて
空を見上げた
惜しげもなく流れる星のかけら
冬の星座をかすめていく
しゅうっと音を立てるように
星の尾が青白く光って消えた

望遠鏡はいらない
瞬きをする間も惜しんで
待たなくていい
ひとつの欠片にかける願い
いつもは追いつく間もなく消えていく
今日は追いつきそうだ
いくつもの願い
消えていく星の尾
思いついても言葉にならない
言葉にするよりも
言葉にするよりも


あまりに明るい夜の星
降るような星のかけら

願い事など浮かばない
星のかけらたちとの会合

広い宇宙のどこかからやってきた
星のかけらたち
宇宙のダンス
一瞬の出会い
一生に一度だけの
彼らとの会合

願い事が浮かばない
願い事が浮かばない

星のかけらたちの一瞬の出会い
彼らとの一瞬の出会い

何も浮かばない


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