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【詩】照らし続ける

 闇の大地に浮かぶ明かり
 これは一体だれのものだろう
 明るく小さく
 ときおり揺れる
 だれのものかはわからない
 吹けば消えそうな
 踏めば消えそうな
 ちいさな明かりが広がる

 闇の宙に浮かぶ明かり
 これは一体だれのものだろう
 明るくちいさく
 ゆらゆらと揺れる
 だれのものかはわからない
 手で触れれば消えそうな
 ぶつかれば消えそうな
 ちいさな明かりが宙に広がる

 闇の水中に浮かぶ明かり
 これは一体だれのものだろう
 明るく小さく
 ふんわりと揺れる
 だれのものかはわからない
 波がくれば消えそうな
 気づかぬ間に消えそうな
 小さな明かりが水中に広がる

 だれのものかはわからない
 なんのためかはわからない
 気づけば無数に広がっている
 揺らぐ光
 闇が濃ければ濃いほど
 燦然と輝く
 明るさを増す
 闇に押しつぶされることなく
 輝き続ける

 誰にも知られなくても
 輝き続ける

 いつのまにか
 ひとつふたつ
 明かりが増える
 ろうそくの火を移すように
 キャンドルリレーが続く
 最初の火はだれなのか


 無数の明かりの中にいる
 
 

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