【詩】いつもの風景に誰がいる
ビルの合間を何かがかけぬけた
青い空がうつるビル
真っ白な雲が横切っていく
当たり前の風景の中に何かがまざってる
誰も気づかない
誰も気にしてない
自分だけが目を凝らしてみてる
白くて細くて長いもの
ビルの窓にうつった雲だと思った
でも動きが変だった
ゆっくり動く雲のそばで
にゅるっにゅるるっ
長い体をくねらせてすいっと動いていく
じーっと
じーっと
じーっと
ぼうっとしてると思われたみたいだ
手をつなぐお父さんが強く引っ張った
ああ、もういちどみたいな
君が誰なのかはっきりさせたいんだ
うしろを振り向きながら横断歩道を渡る
人の中にまぎれて何も分からなくなってしまった
ビルの合間を白い雲がゆっくり動く
誰もみてない
誰も気づいてない
しゅんっと飛び出して空へ向かっていくのはだあれ
白くて長くてすばしっこくて空を悠々泳ぐもの
あなたはだあれ
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