【詩】13日の金曜日

13日の金曜日は不吉な日らしい

どうして不吉なの?

たずねても誰も知らない

みんなそろって首を横にふる

そういえば13日の金曜日って今日だよね

うそうそ!

ほんとほんと!

みんなでそろってカレンダーを見た

13日の金曜日いったい何が起こるんだろう

クラス中がさざめいた

何が起こるかドキドキしてる

いつもどおり授業を受けて

いつもどおり給食を食べた

いつもどおりホームルームが終わる

そしていつもどおりの下校中

いったい何が起こるんだろう

そわそわしてるせい

友達との会話も弾まない

夕方にのびる影

いつの間にか早くなった日暮れ

そういえば逢魔が時っていうんだって

逢魔が時?

昼から夜にかわる黄昏時

妖怪や魔物に遭遇するんだって

13日の金曜日に逢魔が時

いったい何が起こるんだろう

いつもどおり友達と別れて家路を急ぐ

真っ暗になる前に着いた家の前はいつもどおり

いつもどおり家に入ると猫のキクがいる

まだまだ子猫の甘えたいさかり

足元をうろちょろするキクに話しかけながら

いつもどおり自分の部屋に行く

いつもどおり宿題をして

いつもどおり夕飯を食べる

いつもどおりお風呂にはいって

いつもどおり髪の毛をかわかす

いつもどおり寝る時間になったらベッドに入った

いつの間に忍び込んだのかキクがベッドの中で丸まってる

いつもどおり目を閉じるとウグイスの鳴き声がした

ホーホケキョ

小さいけれどはっきり聞こえる春の声

変だよね

ウグイスは春に鳴く鳥なのに

今は秋から冬にかわるころ

変だよね

寝返り打って気がついた

春じゃないのにホーホケキョ

フクロウが鳴きそうな夜にホーホケキョ

おかしいのかな

おかしくないのかな

みゃあというキクの鳴き声がして

まぶたがとたんに重くなる

いつもどおり夢の中

笹の葉ないのにざわざわと

窓の外でそよいでる

キクの金の目きらっと光る

ホーホケキョの鳴き声ぴたりとやんで

笹の葉ざわめく音はなし

散り終わった木々の枝

夜風にゆっくり揺れている



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?