見出し画像

【詩】満月の下の花吹雪

夜でも明るい

満月のあかりに照らされた

花びらがひらひら散っていく

遠くについた街灯は

満月にくらべてほの暗い

暗闇にとけそうな

黒々とした幹に

薄紅色というよりは白と言いたくなるほどの

花々が笑ってる

お日様の下とはずいぶん印象が違うんだね

幹にそっと手を触れて見上げると

誰かが微笑んだような気がした

ひらひら踊る花びらを

捕まえようと手を開く

一枚の花びらが

手のひらにのりそうになったとき

ざっと風が吹いてどこかへ行ってしまった

散ってしまった花びらは

明るい闇の中でぼんやりと光る

ねえ、明日もまた逢えるかな

どうかしらね

ざわめく木々から降りしきる

花びらで前が見えない

頬を何かがなでていく

しっとりとした感触

きっと花びらが頬にあたったんだよね

そうだよね

今度は夜風がひんやりなでていった




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?