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【詩】とどめておこくことはできない生きているから

ころっとした青い実がたわわに実る

早めに収穫しないとね

黄色くなって地に落ちてしまう

だけど早すぎてもだめだよね

今は白い花が咲く

枝の先まで埋め尽くし

青い実を思わせる

すっぱいような

ほんのり甘いような

さわやかな香りが木の下に香る

香りを浴びて

今はまだ遠い梅雨の時期を思う

桜の花を通り過ぎ

初夏の陽光にめまいを起こしそうになりながら

黒雲に稲光が走るのを見る

蟻が巣をつくり

蝶が舞い

薔薇の香りがただよう

すっかり春を満喫したら

長雨の季節がやってくる

長雨の季節が来る頃に

ころりころりとした青梅を手のひらにのせよう

ジャムにしようか

梅酒にしようか

シロップにしようか

それとも大切にとっておこうか

ああ、でもそれはできない相談だ

大切にすればするほど

きっとこの手のひらからこぼれ落ちる

みずみずしい青さを失ってしまう

閉じ込めておくことはできない

生きているのだから

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