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【詩】そーっとそーっと

むくむくした雲の中を走り抜く

しめった空気がほほにあたる

長い体をくねらせて

雲の切れ間から地上を眺める

青い海の上にはキラキラ光る太陽の明かり

すぐに雲でさえぎられた

黒く長い体をもつ龍が一直線に雲の中を走りゆく

白い雲

灰色の雲

光の加減で虹色に光る雲

鋭い光が走りそうな黒雲の中に飛び込んだ

それまで縦横無尽に駆け巡っていた龍の動きが小さくなった

ぐーごーがー

ぐーごーがー

雷神様の高いびき

起こさないように通り過ぎよう

起きたら刃のような金の光が走り回り

通り抜けるのが大変になるから

ぐーごーがー

ぐーごー……

いびきがとまって龍もとまる

ちろっと雷神様に目玉をぐりんと向けたら

がーぐーごーがー

どうやら大丈夫みたいでひと安心

雷様のそばから離れて

いびきが小さくなったらもう安心

黒雲を抜けて空に向かう

空の向こうにいるいとこの龍に会いにいこう

月にすまう龍と結婚して仲良く暮らしてる

小さい頃からの仲良しに会いに行こう

ゴロ!ゴロゴロがラ―ン!

下を見たら黒雲が光がちかちか光ってる

さっきの雷様が起きたんだ

龍はくっくと笑って黒い体をぐんっと上にのばした

地上は雨と雷で大変だろうな

青い空と太陽のひざしをあびた龍は高く高くあがっていった

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